毎年のように出題されるIVR画像。対策をしていないと、見慣れないため解答時に悩むことが多いように感じます。特にIVR画像は、DSA画像、つまり骨が無い画像のことが多く、血管だけの画像が出題されることになります。   といっても、明らかに出題される頻度が高いのが、頭部血管と出血病変に対する止血処置画像といったものです。なので、その辺を中心にまとめてみたいと思います。 スポンサーリンク 頭部血管画像 頭部血管は最も出題頻度が高いため、解剖名だけでも必ず覚えておいた方がいいでしょう。   内頸動脈を造影することが多いので、その画像しか出題されないでしょう。正面と側面画像の両方を押さえておけば、これまでの問題には対応できるようです。 国家試験問題から改変 スポンサーリンク 動脈塞栓術 次に出題頻度の高い、動脈塞栓術です。動脈塞栓術とは、カテーテルを動脈の中に入れて、血の流れを止めることです。実際に、国家試験で出題されるのは、一般的に行われることが多い、肝臓に関する画像が多いようです。   下の画像が、動脈塞栓術に該当する処置だということがわかれば、正解にはたどりつけるでしょう。 肝動脈塞栓に関する国家試験出題画像 ということで、肝動脈塞栓術について少しだけ復習したいと思います。   ・肝動脈塞栓術とは? 肝臓という臓器は、門脈と肝動脈という二つの血管から栄養を貰っています。その割合は、門脈80%、肝動脈20%です。つまり、肝臓という臓器で最も大事な血管は、門脈ということになります。   一方、肝細胞がんなど肝臓にできる癌は、肝動脈に栄養を貰って成長する性質を持っています。ならば、肝動脈をとめてしまえば、肝臓がんは栄養のもらいさきがなくなり成長できなくなるのです。がんを餓死させるわけです。よく『兵糧攻め』と例えられます。 肝動脈を止めることで、正常な肝臓にも少しダメージを与えることになりますが、門脈があれば大丈夫だとも言えます。   では、塞栓術はどうやって行うのか?   塞栓術は、足の動脈からカテーテルを入れて行います。 肝臓がんに栄養を与えている、肝動脈を造影剤を流しながら見つけたら、抗がん剤を注入し癌を集中的に攻撃します。さらに、肝動脈に詰め物をして血流を止めてしまう方法が主流になっています。   この肝動脈塞栓術は、肝動脈に抗がん剤注入と塞栓するTACE:Transcatheter Arterial Chemo-Embolization(肝動脈化学塞栓療法)と抗がん剤を使わないで動脈塞栓だけを行う、TAE:Transcatheter Arterial Embolization(肝動脈塞栓療法)と分けられています。     ちなみに・・・   最近では、UAE:uterus Arterial Embolization(子宮動脈塞栓術)というのも、子宮筋腫の治療に行われているようです。 出典:home.netyou.jp そのX線画像は・・・ 出典:www.rada.or.jp 参考までに。 選択肢になる処置画像 あとは、参考までに選択肢によく出る名前の画像を載せてみたいと思います。 ・動脈瘤に対するステント留置術 右の治療後は瘤がない ・経皮的冠動脈形成術:PTCA 狭くなった冠動脈を血管の内側から広げる治療。経皮的冠動脈インターベーション(PCI)とも呼ばれています。血管拡張術の一つです。 出典:en.wikipedia.org

理系の分野は、単位が少し違うだけで、呼び名が変わります。その一つに含まれるのが、LETです。 では、LETとはなんなのか?どういった作用に使われるのか?まとめてみたいと思います。 スポンサーリンク LETとは? LETとは、Linear enetgy transfer:線エネルギー付与の略です。 これは、単位距離を通過するときにどれだけのエネルギーを与えるかを表します。放射線に関わる単位の中には、他に単位時間あたりの線量を表す線量率がありますが、まったく異なるものです。線量率の単位はGy/minなど、秒を表す(s)や分を表す(min)などが分母に使用されていました。   が、LETでは、距離に対するエネルギー付与なので、距離を表す単位が必要になり、cmやmなどが用いられます。そして、LETの単位で良く使用されるのは【KeV/μm】と、mの1000分の1の単位となります。   ここで、線量率ともう一つ異なる点として、分子の単位にも注目してみましょう。線量率では、吸収線量を表すGy(グレイ)が使用されていましたが、LETの場合はKeVが使用されています。   これは、なぜか?   LETは元々、荷電粒子(電子や陽子など電気を帯びている粒子)に適応される量であり、非荷電粒子(X線やγ線などの光子)には定義上使用できないためなのです。   ですが、光子や中性子線についても、相互作用後に放出される2次荷電粒子に着目して使用されるのが、実際のところです。LETの大きさは、単位距離あたりに物質に与えるエネルギーが大きいほど大きいことになります。   では、どういったものがLETが大きく、そして小さいのでしょうか?これには、粒子が大きな電気を帯びているのかどうかが大きく関わることになります。   例えば、光子と呼ばれるX線やγ線などは、粒子に電気を帯びていません。なので、低LET放射線にあたります。   では、電子線や陽子線はどうか?電子とは、マイナスの電気を帯びた粒子で、陽子は、プラスの電気を帯びた粒子になります。この電気の量を個数で表すと1個といったところになります。   みなさんは、モノが1個あっても沢山あるとか、思わないですよね。それと同じで電気の数が1個あっても電気量的には大したことはありません。   なので、電子線や陽子線は、粒子に電気は帯びていますが、電気量が少ないということで、低LET放射線と位置付けられます。   では、どういったものが高LET放射線と呼ばれるのでしょうか?それは、α線や炭素線といった、重粒子線と呼ばれるものになります。   α線はヘリウムの原子核が放射線になったものです。ヘリウムはプラスの電気を4つ帯びているため、単純に陽子線の4倍もの電気を帯びていることになります。   こうなると、単位距離に与えるエネルギーも陽子の4倍となり、高LET放射線と呼ばれるようになってくるのです。   代表的な高LET放射線が重粒子線なのですが、実は、非荷電粒子の中にも高LET放射線と呼ばれるものがあります。   それが、速中性子線と呼ばれる中性子線の一種です。   そもそも、中性子線は水素原子核(陽子)とぶつかりエネルギーを陽子に与えて、その陽子が物質を電離させるという反応をおこします。   そのエネルギーによって名前を分類することになるのですが、その中でも速中性子線は数MeV程度のエネルギーをもっています。   その程度以下のエネルギーの陽子線は非常に高いエネルギーを持っており高LET放射線に分類されることになり、生体組織に局所的に大きな電離を生じることになります。   結果的に大きな電離を起こし、生体細胞の破壊を起こすために、速中性子線は高LET放射線になるのです。   LETの大きさは生物学的効果の面から見ても重要です。   LETが大きくなるほど、物質に与えられるエネルギーが大きくなるとなりますが、これはつまり、必然的に人の細胞や組織に与える損傷も大きくなることに繋がるためです。   このことを生物学的効果比(RBE:relative biological effectiveness)が大きくなると表し、LETが大きくなるほど、RBEも大きくなると考えるのがわかりやすいと思われます。  …

最近、MRI専門の書物をはじめ、新聞や雑誌でもf-MRIという単語を見かける機会が多くなっているように感じます。   そのためか、f-MRIは脳機能を画像化することができるということを知っている方は多いのではないでしょうか。   しかし、どうやったら脳機能をMRIで画像化しているのか?   なぜ、脳機能を知ることが出来るのか? という、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。   そこで、今回は機能的MRI、つまりf-MRIについてまとめていきたいと思います。 スポンサーリンク f-MRIとは? f-MRIとはFunctional MRIの略で、機能的MRIという意味です。   つまり、その名の通り、MRIを使用した機能的画像を撮像する技術のこといいます。   ただ、機能的画像といっても体の全ての機能を画像化するわけではありません。   現在では、主に脳の様子を画像化することだけにこの言葉が使用されているのが一般的であるといえます。   では、どうやって脳機能を画像化しているのか。   それは、脳活動による脳血液の微小灌流が変化することを検出することで行われています。と、難しくいっても理解しにくいと思うので、活動している脳は血液が増加しているので、その血液の増加の影響を画像化して表していると思っていただくの近道かもしれません。   そのため、f-MRIでは最低でも2回の撮影が必要です。   脳の血液量が増加しているのかどうかわかるためには、まず被験者の安静時(何も考えていない時)の基準となる脳血流状態を表した画像が必要です。そして次に、被験者に(親指を動かす、計算をするなど)課題してもらいながら、また撮像します。   すると、2番目に撮像した画像は、課題をこなしながら撮像しているので、課題をこなすのに使用した脳の部位の血流が増えていることになります。   そこで、2番目の画像から1番目の画像を引くと、その間に信号が変化した領域だけが残ることになります。その信号が変化した領域が、2回目の課題をこなすのに活動していた脳領域と判断することができるのです。 スポンサーリンク 脳機能と脳血流の関係とは? では、なぜ活動する脳の微小な血流状態を画像化し手表すことが出来るのか。   それを理解するためにも、脳の活動と脳血流の生理学の勉強が必要です。   人が活動するには酸素とは欠かせない存在です。酸素がなければ、息もできず、酸素を身体の中に送り込むこともできなくなるからです。   それは、人の体を構成する脳も同様です。   脳も活動するためには、酸素を必要としているのです。   そして、酸素を脳まで運んでいるのは血液になります。もっと正確にいうと血液中に含まれるヘモグロビンに酸素は結合して運ばれていることになります。この酸素を多く含んだ血液を動脈血と言い、ヘモグロビンに酸素が結合している状態をオキシヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン)と呼びます。   脳に運ばれた酸素は、一度にすべてということではありませんが、脳が活動する度に脳組織によって消費されることになります。   その結果、生まれるのがデオキシヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン)です。   そのため、脳の組織から離れていく静脈血では、オキシヘモグロビンの量は減少し、デオキシヘモグロビンが多くなっていくことになるのです。   脳が活動するためには酸素が必要となりますが、その活動量が増えるほど消費する酸素量も多くなります。そのため、ある領域の脳活動が増えるとその領域での酸素の需要が高まり、需要を満たすために微小循環が増加することになるのです。   こうやって、体は十分な酸素を流入させて使えるようにしているのです。さらに、脳は重要な臓器であるため、実際に必要な分量以上に微小循環を増やすことになります。…

から、まとめてみたいと思います!!検査の信頼性を示す指標として用いられるのが、感度と特異度です。感度が低ければ病気を発見できないし、特異度が高ければ病気がないのに間違えて陽性と判断することがない(誤診や見落としと言われることも)と言えたりと、とにかく頭の中でごちゃごちゃしやすいです。   ということで、どう計算されて、なにを表しているのか一つずつ見ていきます。 スポンサーリンク 病気の有無と検査結果の考え方 病気の有無と検査結果の関係を表す場合、4つの項目に分けることができます。 それが、真陽性、偽陽性、偽陰性、真陰性です。 この4つの関係を表にまとめると。。。 それぞれ、用語を解説すると・・・   真陽性:病気があり、検査でも陽性と判定される 偽陽性:病気がないのに、検査では陽性と判定される 真陰性:病気がなく、検査でも陰性と判定される 偽陰性:病気があるのに、検査では陰性と判定される(誤診や見落とし)   理想は真陽性と真陰性のように、病気がある場合は陽性、ない場合には陰性とでる検査が理想的です。 スポンサーリンク 感度とは? では、感度とはどういうものでしょうか?   まずは感度を表す式から見ていきましょう。 病気がある人に対して、陽性と判断された人の割合を示していることになります。   つまり、感度が高い検査は、病気を持つ人をほとんど見逃すことがなく、病気の発見率が高い検査といえるのです。   逆に、感度が低い検査は病気を持っていても陰性と判定される可能性が高いことになります。   よく、感度の低い検査は、病気を持っていない人に対しても陽性と判定されると勘違いをされますが、 感度が低いということは、病気そのものを見つける能力が低いため、病気の有無に関わらず陽性にはなりにくいのです。   特異度とは? 一方、特異度とは、病気がない人に対して陰性と判断する割合をいいます。   その式は・・・ で表すことができます。   そのため、特異度の高い検査は、病気が無い人を陽性と判断することはほとんどないといえるのです。   逆に、陽性と判断されることがほとんどない検査で陽性と判断されれば、絶対に病気があるぞ!!と診断することができます。 感度と特異度の使われ方 では、感度と特異度が高い検査はそれぞれ、どのような検査に使われているのでしょうか?   それは、 感度が高い検査⇒検診など病気の有無を調べる検査(除外診断) 特異度の高い検査⇒病気を確定する検査(確定診断) なら、感度と特異度の両方が高い検査を行うのが一番だと思うのですが、そんな究極な検査は存在しないのが現実です。 なぜなら、この二つはお互いにトレードオフの関係があるからです。 感度が高い検査は特異度が低い検査であり、感度が低い検査であれば特異度が高い検査となります。

CTとMRIなど画像検査を行った結果として病気が見つかった場合、その病気が悪性で治療が必要なのか良性で治療の必要がないものか判断できない場合があります。   その場合、病気の一部を実際に採取し、細胞を調べる生検なる検査が行われ、確定した診断を得ることになります。   ただ、その病気の一部を取るためには、内視鏡や手術のような外科的、もしくは体外から針を刺す(穿刺)が必要です。   その中でもCTガイド下穿刺は、CT画像を用いた穿刺方法です。今回は、CTガイド下穿刺についてまとめたいと思います。 スポンサーリンク CTガイド下穿刺とは? 冒頭でも言いましたが、CTガイド下穿刺とは、CT画像を確認しながら身体に針を刺すことです。   といっても、普段検査を受けるためだけに使用されるCTを用いて穿刺を行うイメージはつかみにくいのではないでしょうか。   そこで、順を追って説明していきたいと思います。   そもそも、CTガイド下穿刺とは、超音波ガイド下穿刺では困難な場合に行われる手法です。具体的には、骨や空気(肺、腸管ガス)、そして、超音波の届かない身体の深部などがそれにあたることになります。   では、なぜ超音波では無理なものがCTでは可能なのでしょうか。   これには、超音波装置の性質が大きく関わってくることになります。   そもそも、超音波検査とは超音波を発し、体内で反射して戻ってきた信号を画像化するというものです。   そのため、超音波装置で画像を作成するためには、超音波が置くまで進み、かつ、正確に戻ってくる必要があるのです。   ですが、人の身体の中には超音波が伝わりにくい環境が多く、それが、骨や肺、腸管ガスになるのです。   また、音が聴こえる距離には限界があるように、超音波にも届く距離に限界があります。そのため、肥満体系であったり、身体の深部の画像化には適さない装置なのです。   つまり、そのような環境下に存在する病気に針を刺し、細胞を採取することは画像を参考しづらく、正常組織を不要に傷つけるリスクが高く成ることになります。経験と勘だけで行っているのとほとんど変わらないと考えることもできます。   そこで、使用されるのがCTです。   CTは、超音波装置とは異なり、骨や肺、腸管ガスの描出を苦手としておらず、かつ、断層画像であるため身体の深部にある病変であっても画像上に表示することが可能です。   そのため、超音波では観察できなった正常組織と病変が区別することも可能であるため、病変までの安全なルートを画像から検索することもできるのです。     そんなCTガイド下穿刺ですが、使用法によって2種類に分かれて表現されることがあります。   それが、以下のものです。   ➀CT補助下穿刺 現在のIVR用装置のなかには同じ検査室内にCT装置を備えている場合があります。(IVR-CT装置)CT撮影する際は、CT装置内に患者さんの寝ている寝台を動かしセットするだけです。その後は寝台は固定した状態でCT装置が動き撮影を行うというものです。そのため、X線透視も行える検査室内で部屋を移動することなくCT撮影することが可能となります。   つまり、カテーテルが体内に入っているような検査や治療の途中であってもCT撮影が行えてしまうのです。   この利便性を利用し、X線透視にて穿刺を行い、目測で針を進めながら目的まで進める。その後、現在の針と病変の位置関係を知るためにCT撮影を行い、針の位置が十分でなければ、再度やり直す。ということを繰り返しながら、目的となる病変まで穿刺を行う手技となります。   ➁CT透視下穿刺 CT透視といっても一般的なX線透視とは異なります。 X線透視はスイッチを押している限り、常にリアルタイムにX線画像が表示される技術のことですが、CT透視は常に画像がリアルタイムに表示されるわけではありません。必要なときだけ、足元にあるフットスイッチを押し、決められた数mmずつを3スライスだけ撮影することになります。   ここで、なぜ3スライス(3画像)を撮影するのかを説明を挟みたいと思います。  …

心臓は、全身に血液を送りこむという臓器の中でも特に重要な役割を果たしている臓器です。当然ですが、その動きが止まるということは、生命の危機ともいえるような状況です。   よって、心臓に病気が何か疑われる状況なので、一時的に心臓を止めて検査しようかなんてことは現実的でないというより、不可能なことです。しかし、CT検査では、動きというのは、ボケやアーチファクトに影響し、画質を劣化させ、診断能を低下させる最大要因の一つなのです。   そこで、CT検査では心電図で心臓の動きを観察し、その動きに合わせて撮影を行うという心電図同期再構成法というのが行われています。   ただ、この心電図同期撮影に関する内容は、少し複雑なので理解するのも難しいという一面を持っています。そこで、今回は心電図同期再構成法についてまとめてみたいと思います。 スポンサーリンク 心電図同期再構成の概要とは? 常に拍動している(動いている)臓器である心臓は、通常のCT撮影を行ってもボケやアーチファクトによって診断の出来る画像を得ることはできません。そのため、心臓をCTで撮影するためには、心臓の拍動と同期させる必要があります。   それが、心電図同期再構成法です。   この再構成法は、心電計から心電図同期信号(トリガ信号、R派信号)、心電図波形信号(ECG信号)を受けて、心拍位相に同期した画像を得ることで、ボケやアーチファクトのない心臓のCT画像を撮影できるのが最大の特徴です。     動いている心臓も、心拍位相に同期することで、止まっている心臓さながらの画像を得られるということです。   心電図同期撮影には、心電図同期ノンヘリカルスキャンと心電図同期ヘリカルスキャンの2種類があります。   これからは、それぞれに分けて説明したいと思います。 スポンサーリンク その前に・・・ 心臓CTでは、ボケやアーチファクトのない画像を得るために、撮影するタイミングが重要です。   そのタイミングとは、一瞬であれ心臓が止まっている状態であることです。   では、心臓が止まっている状態はいつあるのか。   それは、収縮期と拡張期、それぞれの切り替わりの時期です。   心臓は収縮と拡張を繰り返し行っています。その繰り返しのなかには必ず一瞬だけでも動きを止めているときがあります。それが、収縮末期または拡張中期と言われる時期です。   つまり、心臓CTでは、この二つのタイミングのいずれかを狙って撮影を行うことでボケやアーチファクトのない画像が得られやすくなるのです。   このことを、覚えてこの後を読んでいただけると幸いです。 心電図同期ノンヘリカルスキャンとは? 心電図同期ノンヘリカルスキャンとは、心電波形、または信号に同期してスキャンを行い、特定の位相の画像を得る方法です。心電図同期信号を任意心拍位相をスキャン前に設定し、コンベンショナルスキャンにて撮影します。   この撮影法は、収縮期や拡張期の一瞬だけを狙って、そのタイミングで撮影を行うため、いわば、一発勝負の狙い撃ちのようなものです。   高分解能画像と被ばく低減効果が望めるというメリットがあるのが特徴です。     しかし、この撮影法では被験者が安定した心電図波形であることが重要です。   特定のタイミングを撮影するために、撮影を行うタイミングから2~3前の心電図波形を機械が読み取り、次もその心電図波形が出てくるであろうという予測をしたうえで撮影を行います。   これは、大縄跳びで、回っている縄の中に入るために、数回ほど縄を見送ってタイミングを計るようなものです。心臓CTでも心電図というタイミングを測るために、2~3波形を見送り、タイミングを計っているのです。   よって、回っている縄に入るタイミングでスピードが変われば、縄に引っかかってしまうように、心電図の波形が不整脈といったことで乱れることがあれば、タイミングを外されてしまい、良好な画像を得ることができなくなってしまうのです。   (次に収縮から拡張に切り替わる瞬間がやってくると予想していたら、心臓が突然、痙攣したように震えてしまうような予想外な動きをされてしまった場合、急に撮影を止めることはできないため、ボケた画像ができてしまう。)   さらにもう一つ、この撮影法を行うためには制限があります。…

以前にまとめたk空間とはに続き、画像との関係性についてもまとめてみたいと思います。   k空間が画像にどう影響し、k空間からどうやって画像が作られているのか理解の助けになれば幸いです。 スポンサーリンク k空間と画像の関係とは? ここまでは、k空間がどういったもので、どういうルールがあるのかということをまとめて来ました。   ただ、これだけではk空間の話は十分ではありません。k空間と画像の関係性も少しだけ知る必要があります。   少しだけ復習になりますが、k空間の中央行には最も弱い位相エンコーディング傾斜磁場と使って得られた信号が書き込まれています。その結果、最も強い全体信号が中心行には書き込まれていることになるのです。   強い全体信号が発生したということは、この強い全体信号を作っている個々の信号も強いと予想されます。そして、その成分信号が強い場合、その成分信号間の差異がはっきりと表れてくるのです。   どういうことか。   例えば、海を遠くから想像してみましょう。ある日の海の波はあまり高くなく、遠くから見ると波が立っているのかすら見分けはつかないでしょう。一方、波が高い海の場合、遠くから見ても波が立っていることがわかり、船に乗るのも危険なほどです。つまり、波が大きくうねるようであれば、その差はわかりやすいですが、反対に波が小さければ、近くに行かなければ、波の高さの差がわかりにくい状態であるといえます。   これをMR画像に置き換えてみると、中央行に見られる強い全体信号は大小様々な強度の成分信号から成り立っており、、外側に行くほどみられる全体信号は弱めです。しかも、その程度にはあまり大きな違いがない成分信号から成り立っているといえます。   信号強度が大きく違えばそれだけコントラストが大きくなり、その逆の信号強度が小さければコントラストも小さくなります。   中央行やその近傍に記録された波形は、情報量が多い強信号から成り立ち、信号強度の明確な違いが含まれています。信号強度の明確な違いは画像コントラストが良好であるということです。   これは、つまり中央行に書きこまれたMR信号がコントラストの情報が豊富に含まれていることに繋がります。よって、k空間の中央部ほど高い波形があるということは、それだけ豊富なコントラスト情報が含まれており、画像コントラスト分解能に関係しているといえます。   では、画像を評価するうえで欠かせない、空間分解能に関与する因子はk空間ではどこに該当するのでしょうか。   一応、簡単な復習を挟むと、空間分解能とは画像の先鋭度に影響している因子です。そしてk空間では、端に相当する部分が空間分解能に関係しています。   これを位相エンコーディング傾斜磁場と強度を変化させて考えたいと思います。 上の図で、上段には傾斜磁場をかけられておらず位相にズレは起こっています。中段には弱い傾斜磁場がかかっており位相は小さなズレが起こっています。さらに、下段は強い傾斜磁場がかかっており、位相にも大きくズレが起こっています。   位相が大きくズレているということは、その矢印の向きの違いがひと目でみてわかるほどです。それが大きな識別さによってあらわており、MRでは空間分解能という画像の先鋭度に大きく関わっているのです。   ここまでをまとめると、 ・k空間中央行 ➀弱い位相エンコーディング傾斜磁場によるMR信号である。 ➁信号強度が強く、コントラスト分解能に大きく関与している。 ・k空間の端 ➀強い位相エンコーディング傾斜磁場によるMR信号である。 ➁信号強度が弱く、空間分解能に関与している。     これを実際に、k空間の中心部分と中心部分を抜いたそれぞれで画像を作ってみると以下のようになります。 出典:dialogues-cns.com- k空間が全て埋められたものから画像は問題なく、全ての情報が含まれています。   一方、k空間データの辺縁部だけを使って作成した場合、高い空間分解能があり(先鋭度が高く、辺縁がくっきりしている)画像になっていますが、その反面、画像コントラストが乏しいものになっています。   また、k空間データの中心部だけでを使って作成画像では、コントラスト分解能が高く、組織差がわかりやすいですが、画像全体としてボケたような画像になっています。 スポンサーリンク k空間からMR画像ができるまで k空間に埋められたデータからどうやったら画像ができるのか。   この答えは、フーリエ変換です。…

脳梗塞の診断をはじめとする、頭部MRI検査の需要が高まっており、今では欠かせないものとなっています。それに伴い、国家試験でも頭部MRIに関する問題が多く見られます。   なので、画像解剖を始め、代表的な疾患くらいはわかるようにしておいたほうがいいでしょう。診療放射線技師国家試験問題を元にまとめてみました。 スポンサーリンク 頭部MRIの画像解剖 頭部MRI問題で多いのは画像解剖問題!!色々な解剖学の本で見ているかもしれませんが、とにかく事あるごとに解剖の問題が出題されるので、もう一度復習しましょう。   ここでは、国家試験に出題された解剖について触れますが、他にも無料で解剖の勉強ができるサイトやツール、動画などがあるので紹介いたします。画像解剖に関しては、覚えるしかないので、自分に合ったツールを使うことをお勧めします。 ・https://遠隔画像診断.jp/archives/15938 ・CT・MRI断面図ウォーカー ・脳の断面解剖学   断層像の解剖も重要ですが、頭の3D血管の解剖(MRA画像)も重要です!!ぜひ、押さえてください。   解剖を覚えるのはめんどうかもしれませんが、覚えれば確実に点数を稼げますし、病院で働くことになっても重要になってくるので、めんどくさがらずに頑張るしかありません。   スポンサーリンク シーケンス名と画像を一致させよう!! MRI画像は一度の検査で、コントラストの違う画像を何種類も撮影します。どのシーケンスで撮影されたものなのかは、最低限知らないと画像問題に困ることもあるので、基本のものだけでも簡単に確認しておきましょう。 T2強調画像 T2強調画像の特徴は、水分が白く、脂肪が黒く写って見えることです。また、白質が暗くみえます。 脳における水分と言えば、脳室の脳脊髄液になります。なので、脳室が白く写っていれば、T2強調画像となります。水分が多く含まれる、脳浮腫など病変がわかりやすく描出できます。 T1強調画像 T1強調画像は基本的にはT2強調画像とは逆の濃度で表現されています。脳室が黒く、白質が白い。コントラストがはっきりとしているので、解剖学的な構造がわかりやすいです。 FLAIR 少しややこしいのですが、FLAIRはT2強調画像です!!T2画像の水を黒くしたのがFLAIR画像になります。   でも、脳室が黒いからT1なのでは?と思われるかもしれませんが、その他の組織はT2強調画像と同じコントラストなのです。なので、白質が灰白質に比べて暗く見えます。   なぜ脳室が暗くなっているかですが、水を黒くするように撮像しているからなのですが、納得できないかもしれません。この話は難しくなるので、また別の機会にお話することにします。 T2* T2スターと呼びます。T2*もT2強調画像と同じ特徴を持っていますが、脳全体が白く見えるのが特徴です。出血性の病変があるときに、その部分だけ黒くなるため、脳出血が疑われるときに使われます。   DWI(拡散強調画像) 画像全体がボケて見えるのが特徴です。脳梗塞が白く光って見えることから、脳梗塞の診断に重要とされています。そのほかにも悪性の癌が白く写るので、頭部以外の検査でも良く撮像されます。   なぜ、脳梗塞や悪性癌が白くなるかは別の機会にお話します。 ブラウン運動を画像化している 細胞の動きが悪くなると白く写る                 どの画像がなんの画像かを判断するのに見るポイントは・・・ ➀水が白いのか黒いか ➁灰白質と白質が白いのか黒いのか の二つです。MRI画像の多くはT2系の画像かT1系の画像です。(拡散強調画像は例外として)   しかし、画像を見るときに混乱するのは、水が抑制され、本来白く見えるはずのT2画像なのに黒くみえている場合(FLAIR)やT2では脂肪は黒く見えると思っていたのに白く見えるときです(FSE法で撮影されているときなど)。   水や脂肪の白黒では判断できないことが多いので、脳画像では、灰白質と白質を見るのが確実です。…

CT画像を観察するうえで、画質とはとても重要です。その中でも、モノを見分ける力、分解能は特に重要といえるでしょう。   分解能が高ければ、正常と異常を区別することが容易になりますし、分解能が低ければ、正常と異常を見分けることが困難になります。ただ、分解能にも、高コントラスト分解能と低コントラスト分解、さらには、時間分解能という概念があります。   この三つがどのようなものなのか、まとめてみたいと思います。 スポンサーリンク 高コントラスト分解能(空間分解能) CT値差が大きいものでどれだけ小さなものまで認識できるかの指標のことで、解像度とも言われます。ここで、押さえておく空間分解能の基盤となる内容は、2つです!!   ・CT値が高いものに限っているということです。 ・ノイズが影響しない純粋な環境下で小さいものを見分ける力だということ。   では、空間分解能はどういった要因に影響を受けるのでしょうか。   実は、結構あるので暗記は辛いです。が、一応要因となるのを、挙げていきたいと思います。   ・幾何学的なボケ X線の発生に関係することです。   空間分解能が高くするには、『焦点サイズを小さい』、『X線拡大率を小さくする』といったことが挙げられます。逆に、『焦点サイズが大きいほど』、『X線による拡大率が大きい』ほど、画像はボケるため空間分解能は低下します。   ・投影データ数 投影データ数とは、一回転の間にどれだけ多くのX線情報を検出できるかということです。   空間分解能を向上させるには、『検出器チャンネル数を増加させる』、『ビュー数を増加させる』、『ray数の増加』といったことが有名です。   最近は、特にGE社でビュー数を増加させる検出器というのが開発されて以来、ビュー数という言葉を多く聞くようになったと思われます。   また、CTは装置中心ほど、通過するX線数が増加することから最も情報が多い領域と言われています。自然と、原理的には空間分解能が高い場所になるということになります。   CT画像は中心と端では画質が異なり、端になるほど画質が低下するということを覚えておけばいいでしょう。   ・表示方法 画像の表示方法に関することで、具体的には、再構成関数やFOVの変化によるマトリクス数といったことが挙げられます。   『再構成関数では、高域強調関数』、『FOVはなるべく小さいほうが一つの物質を表現するマトリクス数が増加することになり』空間分解能は向上します。   CT自由自在より引用 ・スライス厚 スライス厚は薄いほうが空間分解能は高い。 厚くなるほど、画像がボケやすく、空間分解能は低下します。総合的に言うと、ボケない画像を作る方法が、空間分解能を向上させることになりますね。   スポンサーリンク 低コントラスト分解能(密度分解能) CT値差が小さいものでどれだけ小さなものまで認識できるかの指標です。   または、X線透過性が似ている物質でも,その微妙な違いを画像の濃度差として表現できるかどうかの指標と覚えるといいかもしれません。低コントラスト分解能に関わる要素もそれはもう多いです。   とても覚えきれませんが、意識して勉強してみると案外覚えられるものです。   ・X線出力 大mAsほど、低コントラスト分解能は向上します。 X線量が多ければ多いほど、良くなると覚えていいかもしれません。 CT自由自在より引用  …

確かに、放射線はガンの治療に使用されることもありますが、大半の方の認識としては身体にとって毒なものだということです。   実際、放射線は身体に害をなすものなので、がん治療時であろうとがん以外の正常な組織への放射線被ばくは大きな問題となります。その問題に対応し、かつ、より良い治療を行う方法の一つが定位放射線治療です。   今回は、定位放射線治療についてまとめてみたいと思います。 スポンサーリンク 定位放射線治療(Stereo Tactic Irradiation:STI)とは? Narrow beamという、ペンシル状の細い放射線ビームを用いて標的に線量を集中的に照射し治療を行う技術のことです。   通常の放射線治療では、ファンビームと呼ばれる横に広がりをもつ放射線が使用されており、正常組織への照射を避けられない場合ばあります。   一方、定位放射線治療では、細いビームを3次元的に多方向から集中的に照射を行うことができるため、病変には高線量の照射が可能なうえ、正常組織への照射が極力現象させることができるため、副作用も少なく、局所制御率が向上させる効果があります。   ただ、標的に高線量を照射を行う技術であるため、高い照射精度が求められており、目的の部位に±1mm以内の誤差範囲で照射できることが保証されていることが必要です。   つまり、それを超える範囲でしか照射を保証できない照射は定位放射線治療という定義から外れることになってしまうのです。 スポンサーリンク 定位放射線治療の種類とは? 定位放射線治療には、その照射方法によって、いくつかの種類があります。   その代表的なものをすこしだけ紹介したいと思います。   ただ、その主な方法はリニアック装置を利用したものと⁶⁰Co線源を使用したものの2つです。 ・リニアックを利用 リニアックを回転させながら放射線を照射することと治療ベッドの回転を組み合わせる方法など、さまざまな方法によって、標的に放射線集中効果を得る。 この方法、種々の画像診断の技術が向上と放射線治療の精度、放射線の照射量の計算などを行うコンピュータ技術の進歩によって可能になった。 そのうえで、以下の➀と➁とで分かれます。   ➀定位手術的照射(stereo tactic radio surgery:SRS) 1回の照射のみ。   ➁定位放射線治療(stereo tactic radio therapy:SRT) 数回に分割して照射。   ➂サイバーナイフ ➀と➁は通常のリニアック装置を使用して照射が行われていたが、サイバーナイフでは、ロボットアームに小型のリニアック装置が装備され、あらゆる任意方向からビーム照射が可能な装置をいう。 ・⁶⁰Co線源を使用 ➀ガンマナイフ(正式名称:Leksell gamma unit) 201個のCo線源をヘルメット状の照射ヘッドに半球状に配置した放射線照射装置。 おのおのの線源から放出されるガンマ線がヘルメット内の小さな穴を通過することでペンシル状のビーム(Narrow beam)となり、小領域に集まるように設計されている。 このようにして、多方向から一点に高線量の放射線を集中させる方法。   以上のことをまとめたのを下に表にしてみました。…