%e9%80%8f%e8%a6%96%e8%a3%85%e7%bd%ae%e3%81%ae%ef%bd%81%ef%bd%82%ef%bd%83%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f-2

透視装置のABCとは?

今回は少し専門的なことをお話したいと思いいます。病院では、様々な装置を使いますが、その機能に関しては学校で習っても入職後には忘れてしまっているものです。

 

そこで、透視装置のABC機構についてお話いたします。

 

教科書にも載っている機能なのですが、流される程度にしか教わらず、覚えている人は少ないのではないでしょうか?思い出す刺激になれば幸いです。

 

知らない方も、診療に便利な機能の一つを知っていただければ嬉しく思います。

 

スポンサーリンク

透視装置の用途

病院では、治療や検査の際、X線像をリアルタイムで動画として見ながら活用することがあります。このとき、使われる装置が透視装置と呼ばれ、動画像を透視画像と呼ばれています。

 

透視画像は、基本記録して残すことはできず、患者さんのもとに還元されることはほとんどありませんが、必要であれば普通のX線画像を撮影することも可能であり、幅広い治療や検査に使われています。

 

検査や治療は、主に、放射線診断科、消化器内科、外科、整形外科、泌尿器科、循環器内科、麻酔科などなどホントに様々な診療科で異なる目的で使われています。

 

多種多様な場面で求められているので、動画で確認しながら、診療行為を行う有用性は高いといえます。ただ、透視画像を観察している際は、自ずとX線を患者さんに照射しているため、透視画像の観察時間が長ければ長いほど被ばく量は多くなります。

 

その場合でも被ばく量が考慮されており、放射線による障害が起こることはほぼありませんが、一般的には連続1時間を超える透視画像の観察は、皮膚が赤くなるなどの影響が出る恐れがあるため注意が必要です!!

スポンサーリンク

透視画像の観察にABCを使う

普通のX線画像は、撮影する一瞬のみ身体の動きが止まっていれば見やすいX線画像を得ることができます。

 

が、

 

透視画像は、動いている身体を対象にするため、診療に有効なX線像を出力するために、X線の強度(kVp)や量(mAs)をマニュアル(操作者)で変更するのは、変化する場面に対応しきれずほぼ不可能です。

 

結果的に、患者さんの居る位置や体の厚さによって画像の明るさが変わってしまい、真っ黒や真っ白など診療に使えない画像を見ることになります。

 

その対応策にABC(auto brightness control;自動輝度制御)機構があります。ABC機構を使うことで、透視画像を見やすい明るさに自動的に制御することが可能になります。

 

この機構を使うことで、患者さんの居る位置を画面中央に合わせるだけで、

 

「あらっ!不思議!!」

 

診療に有用な見やすい画像を見ることができるようになるのです。

【目的の場所・部位をX線画像を出力する画面の中心に!!】

 が、透視装置で行う治療や検査で見やすい画像を出し続けるコツというか鉄則になるでしょう!!透視装置が横に動いているときなどは、その調整を行っていることが多いです。

 

でも、どうやって画像の明るさを調整しているのでしょうか?

 

それは、画面に映し出されるX線画像をフィードバックして、照射するX線の強度(kVp)と量(mAs)を制御することで行われています。

 

少し詳しく話すと、方式には2種類あります。

➀フルオート方式

X線強度(kVp)と量(mAs)を連動して制御する

➁mAオート方式

X線の強度(kVp)は変化させず、X線の量(mA)を変化させ制御する

一般的には➀フルオート方式が使われています。

 

この制御装置は、透視装置全般に搭載されており、常に使われていることが多いです。

透視中は真剣で集中~時間を忘れる~

透視画像を確認しながら、治療や検査を行うときは、医師を始め、看護師や放射線技師は集中しています。(当然ですが)

 

ただ、集中するあまり、時間を忘れがちになるものです。

 

そこで、検査中は、患者さん1人当たりの透視時間(X線を照射している時間)を常に積算して管理しています。透視を出し続けていたり、全体の透視時間が一定の時間を経過すると警報ブザーがなるようにもなっているのです。

 

施設によって5分や10分と異なりますが、透視(X線)を使いすぎないための措置といえるでしょう。

 

また、ブザーを被ばく線量の目安として使うことも可能です。放射線の影響が現れる恐れがあると言われる透視1時間を超える場合は、

5分設定なら12回

10分設定なら6回

ブザーが鳴っていることになります。

 

気になる方は、数えてみると自分がどのくらいの時間X線を照射されていたか、大まかにわかるはずです。