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MRI原理➁-横磁化ができるまで-

今回は、人がMRI装置(磁石の中)に入った後のことを考えていきます。

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磁石の中に入った後には

人がMRI装置、つまり磁石の中に入った後、ラジオ波を送ります。ラジオ波は、無線放送で使われているような周波数域にある電磁波のことのです。

 

実際に、送る電磁波は、長時間にかけて連続的に送られるのではなく、短時間に集中したものです。この送るラジオ波をラジオ周波数(radio frequency:RF)パルスと呼ばれています。このRFパルスの役割は、外部磁場の方向に並んでいる陽子のじゃまをすることです。

 

じゃまをして何をしているのか?

 

それは、特別なRFパルスを使って、陽子とエネルギーを交換しているのです。

 

少しわかりにくいので、少し、道を歩いていることを想像してみてください。

もし、道を歩いているときに、誰かに遠くから見られていても気づかなければ、そのまま歩いていってしまうでしょう。

 

これは、エネルギーの交換がなかった状態だからです。見られているだけでは、気づかないことがほとんどです。
でも、もし歩いているときに突然、押されたらどうでしょうか。

 

ある程度体制が崩れてたり、立ち止まったりすることになりますよね。この歩いている状態を直接的に乱す行為がエネルギーの交換が行われている状態です。
こんな感じで、エネルギー交換のために特別なRFパルスが必要になってくるのです。

 

ただ、RFパルスはいつでも陽子とエネルギー交換ができるというわけではないのです。

 

エネルギー交換するためにはRFパルスは陽子と同じ周波数、すなわち同じ速さで送られる必要があります。

 

これは、駅伝中のランナーに送る伝令みたいなものです。
通常、走者は大会中に止まるわけにはいきません。止まっている間に他の選手に抜かれるかもしれないし、タスキを渡せないかもしれないからです。

しかし、自分のチームの選手にだけでも伝えたい伝令があったり、水を渡したりと必要なことが多いのです。

 

では、どうやって、伝令や水を渡せばいいのか。

 

簡単です。走っている選手と同じ速さで走り、言葉を伝え、水を渡せばいいのです。
ただ、速さが違うと、言葉は途切れてしまうし、水を渡そうにも、渡しにくくなったりするものです。

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どれくらいの速さ(周波数)を陽子はもっているの?

陽子はラーモア方程式で計算される周波数で歳差運動をしています。

 

よって、ラーモア方程式から、使用するRFパルスの必要な周波数がわかります。

 

RFパルスと陽子が同じ周波数の時にだけ、陽子はラジオ波からエネルギーを受け取ることができ、この現象を共鳴と呼びます。

 

では、この共鳴の時に陽子はエネルギーを受け取るわけですが、どうなるのでしょうか。

 

それは、陽子の中には、エネルギーを受け取るものがあり、低いエネルギーレベルから高いエネルギーレベルにランクアップするのです。

 

足で立って歩いていた陽子の中から、逆立ちをして手で歩きだすものが出てくるのです。

 

そして、このことは磁石の中にいる人の磁化に影響を与えます。

 

RFパルスが送られた後は、上を向いている合計6個の陽子の中から、2個の陽子が下を向きます。その結果、この2個の陽子は、上を向いている同数の陽子の磁力と打ち消し合います。

そのために実質上、縦方向の磁化は6個から2個に減少し、総合の縦磁化は小さくなるのです。

 

しかし、ラジオ波による役割はそれだけではありません。
もうひとつ、重要な効果をもたらしているのです。

 

ラジオ波は歳差運動をしている陽子を同調させます。

 

普段の陽子はそれぞれが個性をもっているかのように、左を向いたり、右を向いたり、後を向いたり、前を向いたりしてバラバラの状態です。

 

そして、バラバラの方向を向いている時の陽子の磁力は、それぞれが打ち消し合っています。

 

が、RFパルスを送ることによって、バラバラだった陽子を同じ方向を向かせ、同じ速さで動くようになるのです。

 

まるで、軍隊の整った行進の姿のようです。

 

この状態では陽子は同時に同じ方向を向き、磁気ベクトルはこの方向に足し合わされます。

 

結果、ベクトルは歳差運動をしている陽子が向いている方向、すなわち横方向を向きます。このベクトルを横磁化と呼びます。

ここでは、RFパルスは横磁化を作りだすこと。新しく作られた磁気ベクトルは、本来はジッとしていることはなく、歳差運動している陽子と調和して、歳差運動の周波数で動いているということが重要となります。