TRとTEを長さを変えるとどのような画像が得られるのか?
今回は、そんなお話です。
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長いTRと短いTEの場合
こんな場合のT₁とT₂曲線の組み合わせは下のような感じになります。
長いTRを選んだ時には、全ての組織が、ものの縦磁化の大きさを回復しているため、T₁、縦緩和時間の違いによる信号に影響がなくなり、組織間のコントラストが乏しくなります。そして、非常に短いTEしか待たない場合には、T₂の違いがあまりないため、信号強度にも差がつきません。
結果として、画像はT₁、T₂強調にはならず、組織の陽子密度によってコントラストが決定されることになります。単純な話として、組織に陽子が多く含まれているほど、信号が強く、少ないほど信号は弱いということです。
実際の画像は、プロトン密度強調画像と呼ばれるものになります。
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長いTRと長いTEの場合
この場合の、緩和曲線は下のようなものです。
上の場合と同様、長いTRでは、T₁の違いは組織間のコントラストに影響しません。が、長いTEの場合、T₂の違いが画像コントラストに大きく影響することになります。
よって、画像はT₂強調画像になります。
短いTRと短いTEの場合
この場合の緩和曲線は下のようになります。
短いTRでは、組織は縦磁化を回復していません。
そのため、T₁の違い(どのくらい速く元の縦磁化のの大きさに戻るか)が信号強度の違いとして画像に現れることになります。一方、TEが短い時には、T₂の違いが組織間のコントラストに影響しません。
結果として、画像はT₁強調画像になります。
ちなみに・・・
非常に短いTRと非常に長いTEを使った場合には、倒される縦磁化は非常に小さく、そこから生まれる横磁化は大部分が消えてしまうことになります。よって、信号が小さすぎて十分な画像を得ることができません。
よって、緩和時間が影響する基本は、この3画像です!!
他の画像は、この応用編または原理そのものが違う場合になります。
画像の解釈には?
高速スキャンなどではなく、普通のパルス系列で撮影されている画像を見て、それがT₁強調画像であるか、T₂強調画像であるかは、どうしたらわかるのか?
確実な方法で経験則として、水を見るのが一番です。脳脊髄液や尿など白い水を見た場合には、それはT₂強調画像となります。さらに、液体が個体よりも黒ければ、T₁強調画像かプロトン密度強調画像です。
確認する場合は、上の画像で確認してみてください。さらに、T₁強調画像では、脳脊髄液(CSF)は黒く、灰白質は白質よりも黒くなっております。
プロトン密度強調画像では、CSFは少し黒くなっていますが、その信号強度はT₁強調画像よりも少し高いです。また、灰白質と白質のコントラストは逆転しています。
これは、灰白質は水分が白質よりも多く含んでおり、その分陽子も多いためです。