MRIでは、RFパルスを送って陽子を励起させたり、組織から出てくる信号を受け取ったりするのに、ラジオ周波数コイルと呼ばれるものが必須になります。
RFパルスを送信することと、信号を受信することを一つのコイルで行う場合もありますが、それぞれ役割を分けて行う場合もあります。現在では、色々なコイルが使われているので代表的なものだけでもまとめてみました。
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ヴォリュームコイル;Volume coils
ヴォリュームコイルは、全てのMR装置で使われています。
主な形は4種類ほどあり、下に載せたいと思います。
装置内に搭載されているRFコイルのことで、装置がどれだけ広範囲にわたって撮影できるかは、このコイルによって決定されます。なので、このコイルは、検査しようとする部位を完全に取り囲んでおり、その部位の大きさと同じような大きさである必要があります。
どんな検査の場合でも、送信用コイルの役割を持っていますが、体の比較的大きな部分が検査されるときには、受信用としても使われることがあります。
送信用と受信用の両方の行うことができるということですね。現在では、このコイルだけ撮影するということは、非常にまれです。
なぜなら、撮像部位に合わせた専用コイルを使用するほうが、良好な画像を得られるからです。
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シムコイル:shim coils
MR装置内に搭載されている磁石には、磁場の均一性が求められていますが、どんなに均一に保とうとしても、磁場には必ず不均一性が伴ってしまいます。
より均一な磁場は、電気的および機械的な調整によって確保されますが、この調整過程をシミングと呼ばれています。
このシミングに使われるコイルがシムコイルといいます。
傾斜磁場コイル:グラディエントコイル
傾斜磁場コイルは、主磁場に負荷するための挑戦的な電磁場を作りだすことによって、全体の磁場を規則的に変化させるために使われています。これによって、スライスの位置を決めたり、空間情報を取り出すことができるようになるのです。
ここで確認したいことは、空間は3次元の世界だということです。
なので、3次元の情報を得るためには、傾斜磁場コイルは必然的に3組必要になります。
一組で1次元ずつ情報を取得するということです。このコイルを作動させると、それを繋ぎとめている部分に対して衝撃を与えています。
結果、コイルは揺れて、撮影中にトントントンといった音を起こす原因となっています。
表面コイル:Surface coils
表面コイルは、見たい部位の近くに直接置かれるコイルで検査される部位によって、様々な形をしています。頭には頭用、足なら足用にといった感じで本当に色々な種類があります。
このコイルは、基本的に受信専用であることが多く、コイルの近くにある組織からの信号を受信しています。
そのため、組織から発せられた信号が届きにくい、体内の中心部ほど検査が困難になります。なので、体格の大きいひとほど、画質は乱れることになります。