CT検査はMRIに比べて高い空間分解能を持つことが特徴の一つです。
つまり、CTはMRIよりも物がはっきりと描出されることになります。
しかし、その高い空間分解能も装置や撮影法、表示法によって影響を受けます。
そこで今回は、CTで高い空間分解能を実現するために必要な要素をまとめてみたいと思います。
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方法➀:サンプリングレートの増加
サンプリングレートは、ビュー数と表現されることがあり、撮影の際、1回転するまでにどれほど多くのデータを得られたか表すものです。
よって、【より多くの情報】=【詳細な画像】と想像できるように、サンプリングレートは値が大きいほど高分解能な画像を得ることができるのです。
では、サンプリングレートを高くすためにはどうすればよいのか。
その答えはよくあげられるのは・・・
1回転にかける時間を長くする(回転時間を大きくする)方法です。
そもそもCT検出器では、その処理速度は決まっています。
そのため一回転する間にも、【X線を受け取る】⇒【情報を処理する】⇒【受け取ったX線情報を消去し、次に備える】といった過程を行うため、X線を受け取った後には、必ず次のX線を受け取るまでの準備時間が必要になるのです。
すなわち、X線を連続的に照射しても受け取り側が処理しきれないということです。
この処理時間は、検出器の性能によっても異なるため、処理時間が高いほど高分解能な画像が得られることになりますが、基本的に装置に備わっている検出器は一つであるため、撮影時にできる工夫は回転時間を大きくする一手になります。
回転時間を大きければ大きいほど多くの情報を得ることができるので、不確実性が薄れモノの位置や大きさを正確に描出することが可能になるのです。
よって、【サンプリングレートの増加】=【回転時間の増加】は高分解能な画像を得られることになります。
逆に、回転時間を減らすとサンプリングレートも少なくなり、結果、画像の分解能も低下することになります。
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方法➁:検出器セル幅の減少(狭くする)
検出器セル幅とは、検出器そのものも幅(大きさ)を指します。
そのセル幅を狭くすることで、セル幅の逆数となる応答特性の最高周波数が上昇する性質を持ちます。
すると、より小さな物質でさえ区別することが可能となり、分解能が向上することになります。
ただ、この時、X線検出効率を一定にするには、セル同士の隔壁の厚さも薄くする必要があるのですが、機器メーカー側の努力次第といえるでしょう。
方法➂:FOVの最小化
FOVとはfield of viewの略であり、撮影視野を表す言葉です。
画像の分解能とは、ピクセル数によっても影響を受けます。
ここまで、デジカメやスマホやらの画素数が増えた時代であれば、想像がつきやすいかもしれませんが、画素数(ピクセル数)が多いほど、画像は綺麗に表現されます。
が、CT画像のピクセル数は512×512と決まっているため、この領域で病気をどのように表現するのかが重要となるのです。
例えるなら、同じ大きさのキャンパスに小さく絵を描くか大きく絵を描くかの違いの酔うものです。
当然、同じ絵を描こうとした場合、大きく書いたほうが詳細をはっきりと描けるため見る側も何が描かれどんな色が使われているのわかりやすくなります。
つまり、大きく描かれたほうが分解能が良いのです。
CT画像も同様です。
512×512という決まった領域に小さな病変を小さく表現するのか大きく表現するのか違いがあるのです。
小さい病変を小さく表現することは、少ないピクセル数で病変を表現することに繋がるため、分解能も低くなります。
逆に、小さい病変でも大きく表現することは、小さな病変を多くのピクセル数で表現することになるため、形もはっきりと表現されやすく、分解能が高くなるのです。
といっても、小さすぎるFOVは、他の弊害を招く恐れがあるため、被写体の大きさに合わせた最適なFOVというのが求めることになります。
方法➃薄いスライス厚
スライス厚が薄いほど、小さなものを表現するのに適しています。
それは、スライス厚が厚いほどパーシャルボリューム効果の影響を受けるためです。
方法➄高周波領域を強調する関数による再構成
高周波数領域は画像の辺縁を表すのに、重要な役割を果たしています。
そのため、高周波数領域を強調することで、辺縁がはっきりとした高分解能な画像を得ることが可能です。
方法➅小さな焦点サイズ
焦点サイズは、X線像ではとても重要な意味を持ちます。
焦点サイズが大きくなるほど、画像はボケやすくなる性質をもつためです。
しかし、大線量のX線を照射しようとすればするほど、焦点サイズは大きくなりやすく、小さな焦点サイズのまま撮影しようと、そもそもの撮影に必要な線量が足らないという事態も起こりかねません。
最近では、機器メーカー側の技術も上がり焦点サイズを変化させることなく、あらゆる照射線量を実現しているようです。
それでも、限界はあるようですが。。。。
高分解能による欠点とは?
ここまでCTによる高分解能画像を得るための方法をまとめてきましたが、高分解能な画像を得るためには犠牲なるものを知る必要があります。
それは、高分解能な画像ほどノイズが目立ちやすい傾向にあるということです。
そのため、S/N比が低下しやすい傾向にあるため、画像にざらつき感が否めないといえるでしょう。
なので、最近では、ノイズ削減アルゴリズムも併用されることが欠かせないものとなっているようです。