僕も、最近まで知らなかったことなのだが、2013年初めに日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会の合同から衝撃のことが公表されていたのです。
それは、骨粗鬆症の診断基準を引き下げる!!
というものでした。
今まで、骨粗鬆症と診断されていない人も骨粗鬆症と診断される可能性がでてきたのです。いったいどういうことなのでしょうか?
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骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、骨量が減少し骨折をしやすくなっている状態のことです。
主に、その原因とされるのには、2種類あります。
それが、【原発性骨粗鬆症】と【続発性骨粗鬆症】です。
・原発性骨粗鬆症
原因とされる病気がなく、加齢や閉経にともなっておこる骨粗鬆症です。
男性よりも女性に起こりやすいと言われています。
・続発性骨粗鬆症
特定の病気や服用している薬が原因でおこる骨粗鬆症です。
原因となる病気は、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチ、動脈硬化や慢性腎臓病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病などの生活習慣病です。
服用している薬で原因となる、代表的なものはステロイド剤です。
そして今回、診断基準の引き下げになったのは、原発性骨粗鬆症です。
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どうやって診断をされていたの?
そもそも、今まではどうやって診断されていたのでしょうか?
骨折の有無と骨密度の値によって診断をされています。
骨折の有無はレントゲン画像で見つけることが出来ますが、骨密度の値は、X線を使った専用の装置を使って測定します。そのなかで、最も信頼性が高いと言われているのがDXA法といわれる方法です。
DXA法で腰椎と大腿骨の骨密度を測定することで、骨粗鬆症の診断を行っています。そして、骨密度検査で得られる数値には、様々ものがあるので、紹介したいと思います。
用語名 | 説明 |
---|---|
BMD(Bone Mineral Density)値 | 骨密度の純粋な値のこと。 単位体積当たりの骨量のことで、式で表すと、 骨密度=骨量÷面積(g/cm²) |
若年成人比較% 通称 YAM(Young Adult Mean)値 |
若年齢の平均BMD値(基準値)を100%として、被験者BMD値と比較したもの。骨粗鬆症診断基準に用いられる 。 |
同年齢比較% | 同年齢の平均BMD値を100%として、被験者BMD値と比較したもの。(年齢とともに平均値が下がるため、骨粗鬆症の診断には使われない) |
Tスコア | 若年齢の平均BMD値(基準値)を0として、標準偏差を1SDとして指標を規定した値をいう。骨粗鬆症診断基準に用いられる。 |
Zスコア |
同年齢の平均BMD値を0として、標準偏差を1SDして指標を規定した値をいう。 |
この値の中で、最も重要視されていたのがYAM値です。
YAM値によって、以下のように診断をされていました。
正常 | YAMの80%以上 |
骨量減少 | YAMの70%から80%未満 |
骨粗鬆症 | YAMの70%未満 |
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版」までは、YAM値に使われていた若年平均年齢は20~44歳であり、日本では、YAM値の数値で骨粗鬆症の診断が行われていました。
が、しかし、2012年度版は違います!!
ここから、どう診断基準が引き下げられたのか、見ていきたいと思います。
診断基準の変更点
では、どういった変更・追加点が出たのかまとめてみたいと思います。
変更・追加点 |
---|
若年成人パーセント比較に加え、Tスコア比較を追加。 |
従来の腰椎L2-L4部位に加え、L1-L4を追加。 椎体ごとの数値は示さない。 |
男女の腰椎部位と大腿骨(頚部と近位全体)部位を追加。 |
大腿骨の若年平均年齢(従来は20~44歳)を男女ともに20~29歳に変更。 |
従来の骨粗鬆症のカットオフ値を70%未満から以下に変更。 |
それに伴う、2012年に改訂された新しい診断基準は、脆弱性骨折(転んだりして骨折すること)の有無で変わりますが、まとめると以下のような感じになるようです。
脆弱性骨折あり | 脆弱性骨折なし |
---|---|
1.椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり 2.その他の脆弱性骨折)があり,骨密度がYAMの 80%未満 |
骨密度がYAMの 70%以下または-2.5SD 以下 |
さらに、Tスコア比較も追加すると、
正常 | Tスコアが-1SD以上 |
骨量減少 | Tスコアが-1 ~ -2.5SD |
骨粗鬆症 | T スコアが-2.5 以下 |
診断基準引き下げの影響は?
ここで、考えていただきのは検査結果がどのように変化するかということです。まず、YAM値が70%未満から以下に変更されたことで、今まで、ギリギリで骨粗鬆症と診断されていなかった人でも、骨粗鬆症であると診断されることになります。
また、大腿骨の若年平均年齢を20~29歳に変更したということは、より骨が丈夫な年齢を基準として設けたことになりますよね。つまり、骨粗鬆症と診断される基準が下がったことで、骨粗鬆症患者がもっと増加することになるのです。
実際に、従来の診断基準とこれからの診断基準を骨密度検査に反映させてみると以下のようなことが起こるのです。
今後は?
今まで、定期的に骨密度検査を受けていた方でも、ある日、突然骨粗鬆症と診断される日がくるかもしれません。
なぜなら、今はまだ、この新しい診断基準を検査に反映している施設も少ないかもしれないからです。
でも、基準の下がった診断基準が浸透する日は必ずやってくると思われます。
その時は、今までギリギリでセーフだった人は、骨粗鬆症と診断され、正常だった人も、骨量が少なくなってきていると判断されるようになるかもしれません。
診断基準の引き下げは、日本人に合わせての決定なのかもしれませんが、骨粗しょう症患者を増加させる一因としてなるのではないでしょうか。