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診療放射線技師・国試対策に!!~腹部レントゲン症例~

最近は診療放射線技師に読影補助業務が認められたためか、臨床に関係する画像問題が国家試験によくでているような印象を受けます。

 

もし、自分が現役で今、国家試験に向けて勉強しているのだとしたら、画像問題は不安要素の一つになります。

 

なので、過去問の画像から画像問題対策をまとめてみたいと思います。

 

パターンを覚えてしまえば、案外、わかるものです。
これから、国試に向けて頑張る方やレントゲン写真に興味がある方の助けになれれば嬉しいです。

 

今回は、腹部X線写真ついてです。

 

ただ、診療放射線技師の国家試験の画像問題は選択肢に惑わされることがありますが、基礎的な要素が強く、代表的な所見が出題されることが多いので、そんな感じのだけを載せたいと思います。

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正常な腹部X線写真

なにが異常なのかわかるためには、正常な画像を頭に入れないとわかりにくいですし、ヤマが外れても異常な部分がわかれば、正解に辿り着きやすくなります。

 

ということで、まずは、正常な腹部X線写真を覚えましょう。

き腹部X線写真では、横隔膜下から骨盤部(恥骨結合)までを撮影範囲としており、消化管内のガスや臓器の形を見ることを目的にしています。

 

ガス像は難しいかもしれませんが、上の写真のようなところまで分かればいいのではないでしょうか。
立つ(立位)と寝る(背臥位)、横向きに寝る(側臥位)など、患者さんの状態と検査目的によって撮影体位は異なりますが、

撮影時は最大呼気時(息を吐いた状態)による呼吸停止下で行います。これは、腹部全体を広く見せて、診察を行いやすくするためです。

 

主に胆石・尿管結石などの石灰化病変や、イレウスや消化管穿孔などの病気の発見に有用です。

 

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実際に国試に出た症例

では、過去にどんなものが出題されたのか傾向を見るために、58回~67回までに、実際に国試に出た腹部に関するX線画像を拝借して、勉強させていただこうと思います。

 

といっても、そのパターンはそれほど多くありませんでした。3~4つほどです。

一つ一つ見ていきましょう。

 

パターン➀異物が写っている場合

第65回に出題されたものでは、描出されているのはどれかというもので、出題された腹部X線画像は。

その選択肢は、以下のようなものでした。
1.異 物
2.胆石
3.ニボー
4.尿管結石
5.腹部大動脈の石灰化

でも、選択肢に惑わされてはいけません。画像を見ると、綺麗な四角い白いもの(おそらく湿布かなにか)が写っているのがわかります。

体内にあるもので、このような写り方をするものはありませんので、病気とか云々の前に突っ込むべきはそこです!!

病気が原因となるような選択肢の2~4が出題される場合はもっと典型的な画像が出されるはずです。

検査前に取り外さずに撮影してしまったときの失敗を教訓にして、就職後にこんな画像を撮影するなよというメッセージのようにも思われます。

実際の臨床でも診断に影響があるようなものが写ってしまった時点で、再撮影をしなくてはなりません。

 

パターン➁治療に必要なものが体内にある場合

63回と66回時に問題で聞かれる内容な異なりますが、同じような画像が使われています。

左63回 右66回に出題された画像

これは、勉強している方にはお決まりパターンの一つ。でたらチャンスですね!!

骨盤部(恥骨結合付近)に小さい粒が沢山写っています。

 

これが写っているのを見たら、「あっ!小線源に関する問題だ!!」と思っていいでしょう。
出される内容も決まっており、どんな病気にどんなものが挿入されていて、いつまで留置しなくてはならないのかに関連するものがほとんどです。

これに準じて、解説を書いてみると、

前立腺がんに対する放射線治療が行われてて、小線源と呼ばれる125-ヨウ素(I)が前立腺に挿入されている。

そして、定期的にレントゲン撮影を行う理由は、小線源の脱落がないか確認するためであり、挿入された線源は取り除くことはなく、永久的にあり続けるもの。

 

と、この一連を覚えておけば、この小線源問題の大体大丈夫でしょう。

 

パターン➂解剖を答えさせる問題

矢印で示すのはどれかというものです。

この時の選択肢は、いじわるであり全部、腸と名がつくものでした。

1.空 腸
2.回 腸
3.結 腸
4.盲 腸
5.十二指腸

でも、ハウストラが写っている時点で⒊結腸です。

ちなみに、十二指腸、空腸、回腸は小腸ですが、ケルクリングひだが見えるのが特徴です。

こんな写真が出てくると思われます。矢印のあるようなしわのような見え方をするのがケルクリングひだです。

あと、盲腸に触れる意味でも、大腸の解剖をすこしだけ触れておきましょう。

 

パターン➃腹部レントゲン所見への理解

67回に出題

実際の問題文はというと・・・

腹部立位X線正面写真(別冊No.8)を別に示す。 画像所見で正しいのはどれか。
1.総胆管の拡張
2.大腰筋の線維化
3.腹腔内遊離ガス
4.鏡面形成〈ニボー〉
5.腹部大動脈の石灰化

でした。が、上の所見は鏡面形成(二ボー像)の典型的な画像です。

二ボー像とは、腸がなんらかの理由で閉塞している(腸閉塞)を起こしているときの所見です。

立位撮影が重要とされており、下に腸内に溜まった液体が上にはガスがある状態のことをいいます。

こんな感じですね。

で、上の画像のどこにこの二ボー像が見えているかというと、

オレンジ色で囲っている部分です。
わかりにくいですかね。

 

二ボー像は就職後も良く見る所見の一つです!!

絶対に覚えておいて損はしないはずです。

 

他の押さえておきたい腹部X線所見

上の国試問題の選択肢にもでるような他の所見を最後に紹介したいと思います。

 

腹腔内遊離ガス(free air)

主に消化管穿孔(消化管のいずれかに穴が開く状態)が原因となる時に見られる画像です。
立位や側臥位の撮影時に見ることが出来ます。
特徴は、横隔膜と肝臓の間に黒く溝のようにガス像が見られることです。

尿管結石

尿菅結石はレントゲン画像ではわかりにくいことが多いのですが、一応、どんなものか見ておくといいでしょう。

矢印のところがそうです。

引用;www.lab.toho-u.ac.jp-

胆結石

そして、結石シリーズということで、胆結石にも触れてみましょう。

矢印のところがそうです。

が、尿菅結石も胆結石も矢印がなかったらと思うと、国家試験受けるときに自信をもって答えられる人は少ないのではないでしょうか?!

そのような画像が出題されることは、個人的には稀なのではないかと思います。

 

あと、腹部大動脈の石灰化の画像を用意してみようと思ったのですが、なにせ動脈の石灰化は脊椎と重なってわかりにくいのものしかありません。

わかりやすいとなると側面の腹部画像になると思い、下の画像を拝借いたしました。

あと、出題される可能性があるとすれば、下肢血栓を受け止めるためのIVCフィルターの留置画像か動脈瘤治療時のステント挿入の画像かな?
と思うので、参考までに!!

左;IVCフィルター
右;ステント留置後