X線(レントゲン)撮影は原則としては、専用の検査室で行なわれるべきですが、例外として、様々な理由で検査室に来られない、病室をでられない患者さんに対しては、移動型のレントゲン撮影が行われることがあります。
検査室まで行かなくてもレントゲンを撮れる撮れるというメリットがある反面、病室にいる関係ない他の患者さんやお見舞い者、看護師さんへの放射線被ばくが心配されます。
この病室でのレントゲン撮影における被ばく防護の知識が足りないために、過度な行動を促してしまうところがあります。
どのような被ばく防護が必要になるのか考えたいと思います。
スポンサーリンク
ポータブル撮影時の被ばく線量分布
右に線量分布図を示します。
撮影のためにX線を照射されている患者さんへの被ばくが比較的高いものの、距離が離れるに従い、線量が小さくなっています。
2m離れた場所では、腹部撮影の場合0.5μSv、胸部撮影の場合は0.2μSv程度です。
自然放射線源の一つである宇宙線からの一日に受ける線量が1μSvなので、普段生活しているだけで、受ける被ばく線量と同程度といえます。
なので、照射中心から2m離れれば、被ばくは気にする必要がないということになります。
ポータブルレントゲン撮影の被ばくに関して、これが大前提にあることを覚えていただきたいと思います。
スポンサーリンク
医療法から見た同室患者さんの被ばく防護
ただ、個室の病室であれば、他の患者さんへの影響を考える必要はないのですが、病室のほとんどは4人部屋です。
4人部屋でレントゲン撮影を行う時には、関係のない方も多くいることが大半です。
その場合、部屋にいる他の患者さんへの被ばくが大丈夫かどうかが問題になることが多くあります。
しかし、医療法によって病室の床面積が厳しく規則されています。子のことから考えると、隣の患者さんと1.5m以上は最低離れているでしょう。
ということは、例え隣りのベットの患者さんがレントゲン撮影を行っていても、被ばくを心配する必要はないことになります。
医療従事者の被ばく防護
同様に、医療従事者の被ばくを考えてみましょう。
病室に行くと、看護師さんがいることが大半ですが、ポータブル撮影時には手伝っていただける、大切な存在です。
なにより、患者さんの状態を一番に理解しているため、安全に検査を行う上でも欠かせないといえるでしょう。
ただ、撮影時、つまり、X線が照射される際は無用な被ばくをしないように配慮しなければなりませんが、何度も言うように2m以上離れれば問題はありません。
「走って離れる」「病室の外まで離れる」といったことまで必要ないといえます。
注意点
ただ、頚椎や腰椎を横から撮影する場合は、照射方向に他の患者さんがいることがあります。
この場合は、照射方向にいる患者さんはベットから移動出来る状態であれば、異動したほうがいいでしょう。