CT検査は患者さん身体の周りをX線を発生させる機械を一回転させて、人体の輪切りの写真を撮影します。
ただ、この撮影法式には2種類あります。
それが、コンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンです。
CT検査ついて色々調べていると、「ヘリカルスキャン」という言葉だけは聞いたことがある人も多いかもしれません。
実際、検査室で患者さんから・・・
「これはヘリカルスキャンなの?」と聞かれたことがあるくらいです。
これは、きっとヘリカルスキャンのほうが優れているという話が世間的に広まっているためと思われます。
ただ、最初に注意しておくと、CT検査の現在はヘリカルスキャンが主流に使われており、使わない施設はほぼないということです。ヘリカルスキャンは当たり前になっているのです。
現在でも、コンベンショナルスキャンで撮影されることはありますが、それは頭や心臓といった撮影範囲が狭く、有用性があるところに限ります。
「いや、ちょっと待て!!」
そもそもノンヘリカルやらヘリカルやスキャンやらが、良く分からないと方のために
今回はこの二つの方式について解説していきます。
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ノンヘリカルスキャン=コンベンショナルスキャン
ヘリカルスキャンが主流になることで、後天的に呼ばれるようになったと思われますが、CT装置が登場した当初の撮影法はノンヘリカルスキャンです。
従来の撮影法と意味でコンベンショナルスキャンと呼ばれることもあります。
では、どういう撮影法なのでしょうか?
それは、
撮影する(止まる)⇒寝台(検査台)が移動する⇒撮影する(止まる)⇒寝台(検査台)が動く
という順番を撮影範囲まで繰り返すことです。
一つの輪切りのために止まって撮影し、次の輪切りを撮影する位置まで移動し、撮影するということを繰り返ため、長い範囲検査するとなると時間がかかり非効率な撮影法です。
全身撮影するとなると、15~20分かかります。
また、撮影は断続的に行われるため、一枚ごとのCT画像に連続性はなく、3Dで表現すると溝が存在するような写真になります。
エッチな写真で大事なところが、黒く帯が入っているのを見たことがあるでしょうか。あそこまであからさまに黒く抜けたりはしませんが、丁度そんな感です。
ただ、コンベンショナルスキャンで撮影すると、一回一回を丁寧に撮影するため、臓器の濃淡の差がわかりやすく表現されると言われています。(低コントラスト分解能に優れる。)
そのため、CT検査で表現の難しい脳梗塞の発見には、コンベンショナルスキャンで撮影する施設が多いです。
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ヘリカルスキャンとは?
一方、ヘリカルスキャンとは、
寝台(検査台)を動かしながら、止まらずに連続的に撮影範囲を検査する方法です。
患者さんを撮影する起動がらせん状になることから、ヘリカルスキャンと呼ばれています。
ヘリカルスキャンは、コンベンショナルスキャンよりも撮影時間が短く、全身撮影しても20秒前後です。
(10分以上かかっていた撮影が20秒で終わるとなれば、みなそっちを使いますよね。)
そのため、患者さんは一回の息止めで全身を撮影することが可能です。
また、ヘリカルスキャンは連続的に身体の情報を収集するため、輪切りの写真写真から身体を縦に切った写真など様々な方向から観察することが可能になり、3D画像も作成することができます。
骨や血管の3D画像は、手術説明に使われたり、医師のイメージ作りに寄与しています。
そして、ヘリカルスキャンとコンベンショナルスキャンで広く同じ範囲を撮影した場合、ヘリカルスキャンのほうが被ばくが低くなる傾向にあります。
画像の連続性、撮影時間の短縮、被ばく低減など利点のほうが強く、現在ではほとんど施設が体部を撮影る時にはヘリカルスキャンで行っています。
ヘリカルスキャンが出た当初は、画像に必ず風車上の線が見えてしまうことから(ヘリカルアーチファクト)画質はコンベンショナルスキャンのほうが良いとされてきました。
現在も画質だけの面を言えば、コンベンショナルスキャンのほうが良いのですが、CT装置の検出器の性能も上がっているため気になりにくいものになっています。
よく、検診施設などでヘリカルスキャンや多列検出器を特色のように紹介されていることがありますが、
実は、便利になったCT装置では主流に使われている当たり前の技術なのです。