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放射線による影響~確定的影響と確率的影響とは?~

放射線による影響に対して、意識が強くなるなか、どれくらい被ばくすればどのような影響がでて、人体に影響がでるのか。ガンになってしまうのか。

 

不安になるとおもいます。

 

今回は、放射線による影響のお話です。

 

放射線による影響は、被ばくする量によってどれくらいの量からどんな症状がでるのか決まった値があるもの(確定的影響)と決まっていない値(確率的影響)があります。この二つの違いは結構単純なものなので、わかりやすいのではないかと思います。

 

少しでも、参考にしていただければ幸いです。

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放射線被ばくによる影響の原点とは?

最初に、少しだけ歴史をお話すると、1895年のX線の発見後すぐに、主に皮膚に対する影響が確認され、放射線は人体組織に有害と認識されました。

 

その後、放射線は人体組織に損傷を与えることが明らかになり、ショウジョウバエの遺伝実験により、生殖腺の被ばくがその子孫に影響をもたらすと証明されました。

 

人への影響を調べる際には、皮肉にも1945年の広島・長崎の原爆被ばく生存者のその後の疫学調査が、貴重なデータになっています。世間で言われているように、「放射線は有害」と実証されるだけの歴史とデータによる裏付けがなされているのです。

 

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身体的影響と遺伝的影響とは?

被ばくした当人に現れる影響を身体的影響

 

被ばくすることによって生殖細胞を通じて子孫に現れる影響を遺伝的影響とよびます。

 

どちらも心配される影響です。

 

さらに、身体的影響には「確定的影響」と「確率的影響」と呼ばれる2つがあります。一方、遺伝的影響には「確定的影響」しかありません。

 

確定的影響とは?

被ばくによって人体の細胞が死に臓器が機能不全や機能喪失をもたらす影響です。

 

確定的影響の特徴は、被ばくした量が多いときにのみ起こり、一定以上の被ばく量がない場合には影響がでないというしきい値と呼ばれるものがあります。明確にどれくらい被ばくしたらどのような影響がでるのか数値で判断することが出来るのです。

 

しきい値と呼ばれる被ばく線量を超えない限り、障害を起こす確率は0%ですが、しきい値を超えるような被ばくをした場合は、ほぼ確実に起こります。

 

また、被ばく線量が多いほど、より重篤な障害が起こります。

主な確定的影響

 

確率的影響とは?

被ばく後、長期間たってから発現する影響。主に、がんと遺伝的障害の発生確率の増加を表したものです。

 

確率的影響の特徴は、しきい値を持たず、放射線の被ばく量が多くなればなるほど発生確率は高くなります。ただ、がんや遺伝的障害の重篤度は被ばくした線量とは無関係です。しきい値がないため、被ばく線量が少なくても、影響が出る確率は低いもののゼロではないといえます。

 

確定的影響と確率的影響の留意点とは?

さて、確定的影響と確率的影響についてまとめてきましたが、ここで注意しておくことがあります。

 

それは、現在ある放射線被ばくによる影響のデータは1945年に起こった広島・長崎原爆時の被ばく生存者から成り立っているという点です。

 

 

 

原爆とは、凄まじい破壊力と多量の放射線被ばくをもたらす兵器です。その時に得られた被ばくによる影響のデータとは現在でも信憑性の高いデータであることも間違いではありません。

 

ただ、その被ばくによる影響のデータとは原爆によってもたらされたデータであるため、自ずと多量な被ばく時のデータということになるのです。

 

具体的にいえば、確定的影響が起こるといわれるしきい値である100mSv以上のデータです。つまり、2016年、現在、世界が持っている被ばくによる影響のデータとは100mSv以上からデータしか信憑性がないといえるのです。

 

では、どうやって100mSv未満の被ばくによる影響をグラフにして表しているのでしょうか。

 

当然ながら、100mSv 未満の実際のデータはありませんので、実は、100mSv以上の被ばくデータから推測されて作られていることになります。

 

そのことを考えて、もう一度確定的影響と確率的影響の図を考えてみることにしましょう。

 

確定的影響のデータは最も放射線感受性が高い胎児のデータが得られているため、このままでも大丈夫です。

 

問題は、発ガンのリスクを表す確率的影響です。

 

確率的影響は、放射線被ばくが多くなるほど高確率となって起こると考えられているのが一般的です。

 

しかし、ここまで述べてきたように100mSv未満の放射線被ばくによって確率的影響がどのようになっているのかは実際はわからないのが現状なのです。

 

では、なぜ確率的影響は比例して起こりやすいと考えられているのか。

 

それは、100mSv以上のグラフが右肩上がりの直線になっており、比例関係を表しているからです。100mSv以上で被ばく線量と発ガンのリスクが比例関係にあるのであれば、それ以下の被ばく線量でもきっとそうであろうという考えが一番有力だからなのです。

 

比例関係が最も有力な説であるというのであれば、それ以外の説にはどんなものがあるのでしょうか。

 

これには、他にもう2つほど存在しています。

 

1つ目は、確定的影響と同様、100mSvまでは確率的影響(発がんのリスク)はないのではないかというもの。

 

2つ目は、少量の放射線被ばくは悪影響を与えるのでなく、逆に老化防止効果など良い効果をもたらすのではないかというものです。

 

このことを、グラフに表すと以下のようになります。

 

 

現在は、この3つの説の中でどれが正しいのか?というのは誰も知りません。

 

が、実は、最近になってそのデータを得られる機会というのが訪れたのは確かです。

 

それが福島第一原発での事故です。

 

少し不謹慎な話でありますが、福島第一原発の事故で起こった放射線被ばくというのは、今まで知りたかった低線量被ばくによる影響を知ると言う意味では最適な場面であったのです。

 

そのため、福島原発での事故によって放射線被ばくを受けてしまった方々の経過を注意深く観察していけば、世界中がのどから手がでるほど欲しかった低線量被ばくが人にどのような影響をもたらすのかというのがわかり、確率的影響のグラフの完成に導くことになるかもしれません。