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放射線計測とその機器とは?

どんな種類の放射線が、どの程度の強度で、どくらいの量があるのかというのを計測するのが放射線計測です。

 

今回はそんな計測機器についてまとめてみたいと思います。

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放射線計測とは?

放射線計測というと、放射線そのものがどの程度の量や強さで存在しているのか、または、どのような種類の放射線があるのかということを測定できることを想像するのではないでしょうか。

 

私自身、学ぶ前にはそんな勝手な想像をしていたことを思い出されます。

 

しかし、実のところ放射線という存在そのものをそのまま計測するということはありません。放射線計測という言葉を使っておきながら、「なんだ!?そりゃっ!!」と思われるかもしれませんが、実際にそうなのでしょうがありません。

 

では、どうやって放射線計測を行うのでしょうか。

 

その答えは、放射線が引き起こす様々な相互作用と呼ばれる現象を利用して間接的計測を行うことになります。

 

どういうことか。

 

一般的には、『放射線』と一色胆に言われていますが、その正体は粒子や光と同じような電磁波です。

 

空気の中にも含まれる粒子や紫外線のような太陽光から降り注ぐ光の仲間であるのです。

 

ただ、その放射線と呼ばれるのは、人体に害をもたらすほどの高いエネルギーを有しているという一点ということになります。

 

つまり、放射線は高いエネルギー持った粒子や電磁波であると定義されています。

 

さらに高いエネルギーをもつ放射線は、ただ人体に照射されただけにその作用を持たらすわけではなく、空気中に含まれる粒子や金属といった個体にも作用をもたらすことになります。

 

この作用は、何も照射される目的となる気体や個体にだけ作用されるわけでなく、その目的に達するまでの道中に存在する空気であったり水中であったりと目的に達する過程でも起こることになります。

 

この作用が相互作用であり、もっと細かく分けて言えば『励起』や『電離』いって呼ばれています。

(相互作用の種類はもっと他にもあるのですが、今回の話に主に必要なのはこの二つなので、ややこしくなる前に引いておきます。)

 

ここで、少しだけ励起と電離を復習するためにも簡単に以下にまとめてみたいと思います。

 

・励起 ➡ 放射線に含まれるエネルギーの一部を他の粒子や物質に分け与えて、元々も状態より高いエネルギー状態にする作用。

・電離 ➡ 気体に捉われて存在している原子または分子がイオンとなること。原子や分子が放射線からエネルギーを与えられて、飛び出すようなもの。

 

ここまで、復習したところでこの2つが放射線計測にどの関わってくるのか説明していきたいと思います。

 

といっても、ここからの話はなるべくシンプルにしたいと思います。

 

放射線計測というのは、放射線そのものを計測しているわけではなく、放射線がもたらす相互作用によって引き起こされた反応を計測することになります。

 

なので、励起作用を利用すればそのエネルギーを使用し発光する物質を用いたり、電離作用を利用すれば、放射線による電離で起こった電子や陽電子を集めて測定したりすることになります。

 

放射線よる相互作用を前提とした方法であるため、放射線計測には様々な制約があります。

 

その代表的なものとしては、万能な計測機器は存在しないことです。

 

放射線の中でもエネルギーの強いものや弱いもの、または、多くの量であれば少ない量であったりもします。

 

また、放射線は粒子であれば、電磁波でもあり種類が豊富であるであるため全ての放射線を一つの計測機器で計測しようと思ってもできません。

 

必ず、測定対象となる放射線がどの種類で、どのような程度、どのくらいの期間に渡って測定する必要があるのかなどと明確な目的に合わせて計測機器を選択必要がでてくることになります。

 

このような話になると、計測機器にはどのような種類があるのか気になるところです。

 

なので、以下に計測機器を計測法の違い毎に簡単にまとめたいと思います。

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計測機器の種類とは?

・気体の電離を利用

放射線が気体中を通過するときに、気体分子から電離が起こり電子と陽電子を生成します。(電子対生成)

 

気体検出器は、電離作用によって新たに生じた電子対を集め放射線の種類や量、強さを知る機器です。

 

具体的には、気体を封入した容器の中に、陽極と陰極を配置し、2極間に電圧を印加します。電圧がかかると容器内で電界作用が起こり、電子は陽極に陽電子は陰極側に磁石のように引き寄せられ、回路内には電流が流れることになります。

 

この電流値を測定することで放射線の計測することができます。電流値を測定する以外にも、抵抗を介して電圧の波形から計測することもできます。

 

この電離作用を利用した検出器の代表的なものは以下の通りです。

電離箱、比例計数管、GM(ガイガー-ミュラー)計数管、半導体検出器など

 

・励起を利用

蛍光物質に放射線が入射すると、放射線からエネルギーを与えられて蛍光物質は励起状態と呼ばれるエネルギーが高まった状態になります。しかし、高いエネルギーは必ず消費されるもので元の状態に戻ろうとする働きが起こります。この時に、蛍光物質は光を発することになります。
この光の量を測ることで放射線の計測を行う機器です。

 

主に、シンチレーションと呼ばれる検出器がこれにあたります。

他には、熱ルミネセンス線量計、光刺激ルミネセンス線量計、蛍光ガラス線量などです。

 

・写真作用の利用

写真フィルムの乳剤が、放射線によって黒化する作用を利用した検出器です。

 

写真の黒化の濃度と放射線量は比例関係が成り立つので、濃度が濃いほど放射線量が多いことを示します。

 

フィルムバッジ、非破壊検査の透過写真など。