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ガリウムシンチグラフィとは?-受け方と有用疾患とは?-

最近では、少しずつ行われる件数も減っているガリウムシンチグラフィです。

 

ですが、炎症疾患や悪性腫瘍の転移や治療判断に使用されていた重要な検査項目であるので、今回はガリウムシンチグラフィについてまとめてみたいと思います。

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使用する放射性医薬品とは?

 

⁶⁷Ga-citrate(クエン酸ガリウム)

 

74MBqが標準とされる医薬品でありますが、今はSPECT検査を併用する機会が多いため、111MBqを投与する施設が多いようです。
それでも、年齢、体重、被験者の状態を確認は必須です。

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集積の機序とは?

集積機序は、なぜガリウムシンチグラフィでは、悪性腫瘍の存在や炎症疾患の有無を判断できるのかという理由そのものです。

 

ですが、実は、ガリウムシンチグラフィでは、他の核医学検査とは違い、なぜこのような集積機序が起こるのかという、詳細はわかっていないというのが現状です。それでも一応、このような理由からではないかというのはあるので、紹介したいと思います。

 

まず、なぜ悪性腫瘍に集まるのか。

 

⁶⁷Ga(ガリウム)とは、3価の金属です。そのため、体内存在する同じ3価の金属であるFe(鉄)と似たような挙動を取ることになります。

 

そのため、血清蛋白質のひつつであるトランスフェリンと結合し、腫瘍細胞膜表面にあるトランスフェリン受容体を介して腫瘍細胞内に取り込まれることになるのです。よって、トランスフェリンの取り込みが亢進した腫瘍細胞に多くの集積が見られると考えられています。

 

また、炎症疾患への集積機序もはっきりとされていません。

 

ただ、炎症組織での血流の増加、毛細血管の透過性亢進、細菌への取り込み、白血球への取り込み、組織間質への結合などが同時に関与していると考えられています。

検査の受け方とは?

それでは、前置きを終えたところで、具体的な検査の進め方をまとめてみたいと思います。

・前処置

ここでひとつ確認しておきたいことは、ガリウムシンチグラフィとは、1日だけ病院に行けば終わる検査ではないということです。

 

どういうことか。

 

ガリウムシンチグラフィでは、検査後に腫瘍など病変部の集積と健常部の集積の比を確認します。そのため、この2つのの比率を高くするために、静脈注射して2~3日後に撮影するのが一般的です。

 

よって、撮影を行う予定日から2~3日前に静脈注射を行うことになります。

 

それからは、検査前日までは通常の生活を行うことになります。食事制限等もありません。

 

ただ、⁶⁷Gaは投与24時間に約10%前後が尿中に排泄され、それ以降は便となって排泄される医薬品です。そのため、検査当日に腸内に⁶⁷Gaが残っていると腫瘍への集積の観察が邪魔になることがあるのです。

 

そこで、それを防ぐために検査前日には下剤投与が必要となります。

 

撮影前日に下剤の投与が必要です。

 

それでも、便として残っているが画像上目立つ場合には、浣腸を行うこともあります。

・検査の流れ

 

ー検査前ー

➀撮像の2~3日前に⁶⁷Gaを静脈注射。(111MBqが一般的)

➁検査前日まで通常の生活。

➂検査前日に下剤の投与。(検査に必要ない⁶⁷Gaを排便によって出す。)

 

ー検査当日ー

➀検査台に仰向けで寝る。

➁被験者の前後2方向からの全身を撮像。(15~20分程度)

➂必要に応じてSPECT撮像。(行う場合は追加で15~25分)

➃腹部の集積と腸管内の排泄された⁶⁷Gaが区別できなかった場合には、浣腸や下剤を追加して4日後の撮像を行う。

・解析法

得られた画像で病変部と健常部との集積比を計算することで、病変の活性度を評価します。

 

また、SPECT収集時にCT検査も同時に行える場合には、両方の画像を合体させて表示することができます。これによって、より詳細な検査を行うことが可能となるのです。

正常と異常とは?

・正常の集積

他の核医学検査同様、ガリウムシンチグラフィでは、病変部以外にも生理的に集積する部位があります。

 

その代表的なものが以下のものです。

 

骨、涙腺、鼻腔、唾液腺、肺門、乳腺、脾臓、外陰部

 

となります。

 

さらに、排泄時に肝臓、胆管、腸管と通るためそこに集積が見られることがあります。もし病変部と紛らわしい場合には時間を置くと、集積箇所が変わっているか排泄によってなくなっていることがあるため、その場合には正常と判断することができることになります。

 

正常な画像例を以下に挙げます。

・適応疾患

ガリウムシンチグラフィでは、以下のような種類の病気の検査に使用されます。

 

○悪性腫瘍
悪性リンパ腫、悪性黒色腫、肺腫瘍、甲状腺未分化癌、原発性肝癌などの診断や治療効果判定、転移診断。
ただ、その役割はPET検査に置き換わっている部分もあります。

 

○感染性・特発性などの原因に関わず、活動性の炎症性疾患。
サルコイドーシス、間質性肺炎、骨髄炎、関節炎などの診断や活動性の評価。

悪性リンパ腫

これらの代表的な疾患を総称してSLIMと覚えると良いとされています。

・Sarcoidosis(サルコイドーシス)
・lymphoma(悪性リンパ腫)
・inflammation(炎症・感染)
・malignant melanoma(悪性黒色腫)