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CT:CNR(コントラスト・ノイズ比)とは?

CTの画質評価には、ノイズ、高コントラスト分解能、低コントラスト分解能など様々あります。

 

その中で、CNRは低コントラスト分解能を評価するためのものです。

 

CNRとは、どんな方式で求められ、どう読み取り、評価されるのかまとめてみたいと思います。

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低コントラスト分解能とは?

まずは、CNRで評価する低コントラスト分解能とはなにかを知る必要があります。

 

低コントラスト分解能とは、どこまで少ない濃度差まで判別して認識することができるのか、画像の色の違いをどの程度まで判断できるのかという指標のようなものです。

 

画像のコントラストの違いと考えるとわかりにくいかもしれませんが、実は、日常生活でも自然と認識している内容でもあるのです。

 

コントラスト分解能とは、色の違いを見分けることが出来る能力と言う意味をもっています。

 

そのため、白い壁の中に、黒い染みができていれば、目立ち認識することも可能です。ただ、この場合は、白と黒というはっきりとした色の違い(コントラスト)があるために認識が簡単に行えるはずです。

 

なので、強いコントラストを見分ける能力が問われるので、高コントラスト分解能と言われる領域です。(誤解を与えるといけないので、もっと正確にいうと、高コントラスト分解能とは、コントラストの違いが大きい物質が接近して存在した場合の、見分ける能力という意味で使われているで注意してください。ここでは、この後の話を分かりやすくするための対比として進めます。)

 

しかし、今回、覚えようとしているのは低コントラスト分解能です。

 

つまり、高コントラスト分解能のように色の違いが強いものを見分ける能力ではなく、色の違いがわかりにくい場合に気づけるのかどうかを表すものなのです。

 

身近な例で考えるのであれば、女の子との髪色のようなものでしょうか。

 

人知れず、女の子が美容室に髪を染めるのを目的に行ったとしましょう。ただ、女の子的には、学校であったり、職場での立場も考え、髪は染めたいけれど、あまり目立つような感じで染めたくと考えます。そこで、元の黒髪に少し赤っぽい色を足したり、茶色っぽい色を足すだけでして、染めたのがわかるかわからない程度に抑えて髪を染め、結果的にはあまり髪色には変化はないように見えるような完成となるのです。

 

この髪色の変化に気づきますか。

 

というのが、低コントラスト分解能です。

 

女の子的には、気づいてほしいという気持ちがある反面、目立ちたくないという思いもあるから複雑でしょうが、元の色と変化はあるが、わかりにくい程度にあるというような色の違いを見分けることができるのかどうかというのを評価する低コントラスト分解能というものなのです。

 

また部屋の壁の話を戻すと、白色の壁に、壁色よりも少し濃い白丸の染みがあっても気づきにくいです。その丸は背景に溶けて混んでしまっているのか、はたまた、ちゃんと色の違いが判別できるのか、判別できるのであればどの程度の色の違いまで認識できるのかというのを評価したものになります。

 

 

そのため、低コントラスト分解能は、このような微妙な色の変化を見分ける能力を調べるため、実際に人が見て判断し、評価するのが理想的です。

 

しかし、その場合、どんな人が、どんな環境で、どのくらいの時間で評価したのかなど様々な要因が重なることになり、評価する人の能力や人数が乏しくなるほど客観性にも乏しい評価となってしまうのです。

 

そこで、CNRが使用されます。

 

CNRは、人の目によって影響されることのない、完全な客観性な評価法であるのです。

 

では、CNRとはどういったものなのでしょうか。

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CNRとは?

CNR(contrast to noise ratio)とは、その名の通り、画像のコントラストとノイズとの比を表したものです。

 

式はとても簡単で、以下のようにになります。

 

 

ここでいう、Contrastは、白い信号体の平均CT値と隣接したバックグラウンドの平均値の差で、Noiseとは、バックグラウンドの標準偏差つまりSD値を指します。

 

なのでもっと具体的に示すと・・・

 

 

この式からわかるように、信号体がノイズよってどの程度影響されているのか、信号がノイズによって埋もれてしまって見えなくなってしまってないかというのを具体的な値を調べる手法となるのです。

 

そのため、信号強度(CT値)が高いほど、ノイズ量が少ないほどにCNR値は高く、良くなる傾向にあります。

 

逆にCNR値が低く悪くなると、画像に含まれる信号体はそれだけノイズ内に埋もれてしまい、視覚的にも判別が難しいと判断されることになります。

 

そのため、CNR値を良くするためにはより高線量の撮影を行い、ノイズを多く含むといわれる高周波成分を抑制した画像再構成法を行うとよいとされており、それだけ小さな濃度差でも認識可能な画像であることを示すことなるのです。

CNRの測定法とは?

そんなCNRとはどうやって測定されるのでしょうか。

 

一般的には、catphanと呼ばれる専用のファントムを使用します。

 

catphanは、撮影する位置によって内臓されているものが異なり、ファントムの全てを撮影すれば、,スライス厚,円対称性,CTナンバーの線形性,均一性など様々な評価をすることが可能なファントムです。

 

CNR測定時には、その中の低コントラストモジュールと呼ばれる場所を使用します。すると、その場所には、CT値が高いものから低いものまで含まれ、どの程度のCT値まで判別できるのかというのを評価できるようになっています。

 

言葉ではわかりにくいので、実際のを見ると以下のようになります。

 

 

この得られた画像を使い、信号体の平均CT値、バックグランドのCT値およびSD値を測定します。

 

その後、最初に示した式に当てはめたものがCNRとなるのです。

上の画像の例では、一番CT値の高い信号体を測定しているときを想定しましたが、別のCT値を示す信号体にROIを置けば、そこのCNRを測定することができます。

そして、CT値が低くなればそれだけCNR値も低く、悪くなることになりますが、その時の目的によって測定をする信号体を変化させることが必要となってくるのです。

CNRの弱点とは?

CNR値が高いほど、画像に含まれる信号は認識するのに容易いということができます。

 

CNRは具体的な数値を持ち、さらに測定する人によって異なることがないため客観性に富んだ評価法です。

 

しかし、同時に視覚評価を行った場合、CNR値の結果と一致しないことがあるのです。

 

先にも述べましたが、一般的に軟部組織用として使用される低解像度な高周波成分を抑制した画像再構成関数を用いた場合、ノイズは抑制されるのでCNR値は高くなります。

 

一方、骨や肺野の撮影時に使用される高周波成分を強調した画像再構成関数を使用した場合、ノイズが増加するためにCNR値は悪くなる傾向にあります。

 

しかし、実際にその画像を見てみると、見え方こそ異なるものの認識可能なレベルが同じことがあるのです。

 

さらに、測定時にも注意が必要です。

 

CNRの測定にはROIを画像に置くことで行います。しかし、そのROI径が小さくなるほど、平均CT値の精度、SD値の精度が低下するため、その値に信用性が乏しくなってしまうのです。