MRIの画像が作られていく過程で必ず出てくる言葉がフーリエ変換です。実際は、MRIだけに限らず、CTでも使用されていることを思い出す人いるのかもしれません。
それでも、CTやMRIでは欠かせない言葉なので、大学の授業には必ず含まれるのですが、いざ教科書を見てみると式がごちゃごちゃと書かれていて、「こんなの理解できるのか!?」と理解を諦めた方も多いのではないでしょうか。
しかし、フーリエ変換は式を見なければ、案外理解しやすい内容をしているのです。その過程が難しいだけなのです。
そこで、今回はフーリエ変換とはどういったものなのかイメージを掴むことだけを目標にまとめてみたいと思います。
専門家の方々は、式がどれだけ大切かわかっているのかと怒られるような内容になるかもしれませんが、めげずに頑張りたいと思います。
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フーリエ変換とは?
MRI装置が受信(測定)する波形は、複雑波と呼ばれるもので、いくつかの異なった成分から成り立ち、様々な単一波動の重ね合わせによって作られたものです。
測定される信号がどんな信号であれ、全てsin波(正弦波)と呼ばれる波形の組み合わせによって成り立っているのです。
これは、オーケストラの音が多くの楽器によって構成されていることに似ています。
オーケストラでは、ヴァイオリンやフルート、トランペットなど様々な楽器によって、異なる音を出しながらも全体として一つの曲を演奏しています。多くの楽器が一つの音楽を作り出すからこそ、その迫力を感じ、満足できるだと思います。
でも、私のような初心者は、オーケストラの演奏を聴いてもどんな楽器が使われ、どんな高い音、低い音が組み合わさっているのか知りたいと思っても、全体の演奏から判別することはできません。まさに、複雑な波形を観察し、頭に「?」が浮かんでいる状態と言えるでしょう。
では、どうやったら楽器の種類と音の組み合わせがわかるのか。
それは、楽器ごとに演奏してもらうのが一番です。ヴァイオリンならヴァイオリンだけ、フルートならフルートだけといったように、オーケストラで演奏していた楽器すべてを個別に演奏してもらい、それだけを聴くことで理解することができます。
全体の音では分からなかった楽器の構成も音の構成も、楽器ごとに順番に演奏してもらうことで知ることができるはずです。
この全体の音の構成を、一つ一つの楽器ごとに分解する作業が、実はフーリエ変換なのです。
フーリエ変換とは、複雑波のような一見不可解な波形でさえも、その波形を構成している各々の波形に分解し、シンプルで理解しやすいものに変えてしまおうという作業なのです。
なので、フーリエ変換を行うことで、波動全体を構成している周波数成分あるいは波動を一覧することができます。
さらに、個々の信号成分の強度あるいは輝度の情報まで得ることが可能になるという大きな利点があるのです。
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具体例を一つだけ
オーケストラの説明だけで終わってもなんなんで・・・
下の図のような周波数の異なる波動を2つ用意し、それぞれフーリエ変換をした場合どうなるのか参考までに載せたいと思います。
単一周波数の波動に対してフーリエ変換を行うと、頂点が一つだけ周波数方向に見られ、その高さは信号強度に対応したもになります。
さらに、単一波を複数重ねて出来た複雑波信号波形を対象ににすると、2つピークが見られるようになります。
これは、波形が2つ波動で成り立っていたことを示し、それぞれのピークの高さは波の強度を示します。