心臓CT検査に使用される心電図同期再構成法の一つ、セグメント再構成法は異なるViewのセグメントデータを使用した再構成法で、ハーフ再構成法に比べて時間分解能を向上させるのが特徴です。
前回、心電図同期再構成法についてまとめましたが、セグメント再構成法と時間分解能の関係について説明しきれなかったので、今回は補足的な内容としてまとめてみたいと思います。
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セグメント再構成法のおさらいとして・・・
セグメント再構成法では、なぜ時間分解能が向上するのかまとめます。
ハーフ再構成法では、180°+ファン角分の1画像データを1心拍内で収集し、画像を再構成します。そのため、時間分解能は1回転0.4秒(0.4s/rot)で撮影を行った場合、単純計算すると約半分の0.2秒となります。
一方でセグメント再構成法では、数心拍から1画像データを収集し、画像を再構成します。これは、180°+ファン角分のデータを数心拍から寄せ集めることで行っています。2心拍からデータを得る場合には、最初の1心拍で約90°、次の心拍時に残りの90°を収集し、1画像を再構成するという、いわば、画像データを収集するのを小分けにしているようなものになります。
このセグメント再構成法の最大の特徴は、ハーフ再構成法に比べ時間分解能を向上させ、速く動く心臓(高心拍)でも、動きによるボケやアーチファクトのない画像を得ることができるようになることです。
なぜ、時間分解能を向上できるのかというのも、1心拍で得る画像データを小分けにハーフ再構成法に比べて、短時間で収集できる範囲であるためです。よって、セグメント再構成法では、収集するデータを小分けにするほどに時間分解能を向上できることになります。(といっても、実際は装置の性能によって限界は決まっています。)
しかし、セグメント再構成法では、被験者の心拍によって変動しに期待されるほどの時間分解能を得られないことがあります。
それをハーフ再構成法と比べて、時間分解能が高い場合、中くらいの場合、低くなる場合と分けてまとめてみたいと思います。例では全て3心拍から1画像を得る場合で考えたいと思います。(3セグメントでハーフ分のデータを得た場合。)
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時間分解能が最も向上する場合とは?
セグメント再構成法では、管球の回転速度と被験者の心拍により、指定した心位相での管球の位置が決まってきます。
3セグメントから1画像を再構成するときを考えると、3セグメントが均一にハーフデータ(この場合は230°とする)を分割できた場合に、もっとも時間分解能が高くなるのです。
それを図に表すと、大体下のようになります。
これは、異なる心拍で異なる管球角度(View)から、必要なデータを収集できたことになるのです。
時間分解能が中くらい向上する場合とは?
しかし、被験者の心拍が少し早くなると、均一な状態から管球の位置が徐々にずれていくことになり、3セグメントが不均一な状態になります。
この状態になると、時間分解能が若干落ちることになってしまいます。
これは、異なる心拍時に異なる管球角度からのデータを得ることがはできています。しかし、0°から230°までのデータを上手く収集できていないことになります。
不要なデータまで収集し、その分、本来欲しかったデータを収集できないと、他の部分で補わないとならず、結果、時間分解能は均一に収集出来た場合に比べ、若干劣ることなるのです。
それでも、異なるViewからのデータを収集し、画像再構成しているため、ハーフ再構成よりも時間分解能は向上している状態と言えます。
時間分解能が変わらない場合とは?
さらに、被験者の心拍が早くなると、回転速度と被験者の心拍が同期してしまい、3セグメントとも管球位置が同じ位置に存在する状態になってしまいます。(この状態をレゾナンスケースという。)
レゾナンスケースでは、セグメント再構成による時間分解能の向上効果がなくなってしまい、ハーフ再構成と同じ時間分解能になってしまうため、セグメント再構成を行う必要性がなくなってしまいます。