美味しいものや酸っぱいものなど、日々、よだれといった感じで意識されやすい唾液です。だた、その唾液ですら問題があれば、病気を疑われることになります。
その唾液の分泌や排泄に問題があるのかないのか検査する方法が唾液腺シンチグラフィです。
普段、意識されない箇所だけに、突然言われると「はてっ??」となりやすいかもしれませんが、今回は、唾液腺からその検査法までまとめてみたいと思います。
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そもそも唾液腺とは?
まずは、あまり意識されない唾液腺について簡単にまとめたいと思います。
当然のように思われるかもしれませんが、唾液腺とは、唾液分泌するところです。分泌された唾液は、導管というくだを通り、口の中へと排出されます。
なので、唾液がよく分泌されると口の中が唾液でいっぱいになるのです。
そんな唾液を分泌する、唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺のそれぞれ2個で1対、合計3対の大唾液腺と口内(口腔内)や口の中の奥(咽頭内)に多数存在している小唾液腺にわかれています。
ここで、今回テーマになっている『唾液腺シンチグラフィ』では、主に観察するのは大唾液腺のほうなので、大唾液腺の場所だけ確認したいとます。
といっても、耳下腺は耳の下、顎下腺は顎の下、舌下腺は舌の下にあるというごくシンプルです。簡単に図で見ると、以下のようになります。
唾液の役割にはどんな働きがあるのか気になる方もいるかもしれないので(ぼくが今回を機に気になったので)、代表的な役割について箇条書きにしたいと思います。
ただ、モノの役割や理由を知ると、理解が深まりやすいという理由でもあるので、参考までです。
・唾液の役割とは?
➀口内の潤滑作用・湿潤作用
口が渇くと、口が回らず話にくくなったり、ひび割れしたりするが、それを防いでいるのが、唾液であり、唾液が口の中を潤している。
➁消化作用
唾液の中には、消化酵素のアミラーゼが含まれている。アミラーゼは、糖質を分解し、体内に吸収しやすい状態にする。
➂飲み込みを助ける(咀嚼・嚥下作用)
唾液と口に入れた食べ物が混ざることで適当な食塊ができるため、飲み込みやすくなる。
➃抗菌作用
口や目、鼻などには、外から浸入してくる細菌などを防ぐ役割をしている生体防御機能がはたらいています。唾液にでは、リゾチームという酵素が抗菌作用をもち、その役割を果たしている。
よって、唾液がなくなると、食べ物の飲み込むこと(嚥下)や、話すことすら辛くなるという生活するうえで障害がでることになります。また、口内の抗菌作用も低下するため、むし歯にもなりやすくなってしまうため、唾液とは大事なのです。
そして、唾液腺や分泌された唾液を口内まで排出する管に異常があると、こういったことが起こることになります。
つまり、唾液を分泌し排泄するまでの機能が重要なのです。そして、その機能を調べる検査が唾液腺シンチグラフィとなります。
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唾液腺シンチグラフィとは?
では、唾液腺シンチグラフィではどういったことを検査なのでしょうか。
唾液腺シンチグラフィとは、放射性医薬品(ラジオアイソトープ)を体内に投与し、唾液腺(耳下腺と顎下腺)の機能を評価する検査です。
静脈から体内に投与された放射性医薬品は血液中から速やかに唾液腺、甲状腺、胃粘膜に集つまる性質を持っています。
その集まった放射性医薬品は、唾液となって排出され、その経過を画像で撮影しコンピュータ処理を行うことで唾液腺の機能を判定することが可能です。そうすることで、唾液を正常に作れているのか、また、作った唾液をうまく排出できているのか調べることができることになります。
検査方法とは?
先にも言いましたが、この検査では放射性医薬品を使用します。
放射性医薬品とは、放射線を発生している薬品のことで普段のレントゲン撮影とは違い、体外から放射線を照射し画像を作成するわけではなく、体内に放射線を出す薬を投与し、体内から体外に出てくる放射線を使用し、画像を作成しています。
・使用される放射性医薬品
⁹⁹mTc0₄⁻(pertechnetate)
・前処置
検査と言われると、最初に心配になるのは検査前の制限ではないしょうか。
この検査だけであれば、その心配はいりません。なぜなら、食事や飲み物の制限は検査には影響がないため、制限されることがないからです。
しかし、放射線を使用しての検査であることは変わりないため妊娠している方、授乳中の方は原則として検査できません。
・検査手順
➀検査台に仰向けで寝る。
➁放射性医薬品を静脈から注射。
投与する量は、体格によって決まります。
➂静脈注射直後から、経時的にガンマカメラで撮像。
顔面から頚部の前側を約15分間くらいの撮像するのが一般的です。
➃レモン(クエン酸または梅干しなど)を口の中に含む。
➄再度、約15分間、経時的に撮像。
全体で、45分間といったところです。
・レモンを口に入れる理由とは?
投与された放射性医薬品(⁹⁹mTc0₄⁻)は、投与直後から唾液腺に溜まることになり、約15~20分ほどで最大に達するとも言われています。
しかし、これだけでは唾液が生成される様子を観察できても、機能を評価する意味では不十分です。なぜなら、生体機能とは、生成から排出までを総合的に評価する必要があるからです。
つまり、唾液が排泄される様子も生成時と同様に重要なのです。
そこで、レモンやクエン酸といった酸っぱいものが使用されることになります。
人は酸っぱいものを想像するだけでも、唾液が口の中に溜まってしまうものです。さらに実際に食べようものなら、口の中は唾液でダラダラになるはずです。
そうやって、唾液腺で生成された唾液の排出を促すためにレモンやクエン酸といった酸っぱいものを口に含まされることになります。
酸っぱいものであれば、いいので、レモンそのものであったり、ポッカレモンだったりクエン酸だったりと施設によって使用されているのは異なるようです。
・検査後
投与された放射性医薬品は尿と便となって体外に排泄されます。ただ、膀胱などの被ばくを少なくするために、検査後は水分を取り排尿を促すと良いです。
対象となる病気とは?
では、どういった病気がこの検査の対象になるのでしょうか。
その多くはシェーグレン症候群や放射線治療による照射後のようです。シェーグレン症候群とは、自己免疫性疾患の一つです。唾液腺の唾液分泌、涙腺からの涙分泌が障害されるのが特徴です。
そして、この病気の診断基準の一つに、唾液腺シンチグラフィがあり行われることになるのです。