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CT:SD値とNPSの関係とは?

画像では、SD値はとても重要な要素です。なぜなら、SD値が大きくなると画質の劣化を招くからです。

 

しかし、SD値だけでは、画質を評価するということはできません。そこで、関連の深いNPS(ノイズパワースペクトル)が、算出されます。

 

今回は、SD値とNPSの関係のついてまとめてみたいと思います。

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SD値ではわからないものとは?

SD値に関しては、以前にもまとめてあるので参照いただきたいのですが、SD値とは、その画像に含まれる平均値からどの程度離れているのかその幅を示しています。そのため、SD値が大きくなれば、その画像は均一性が乏しい画質、つまりザラザラとした観察しにくい画像であるといえます。

 

 

これが、俗にいうノイズの多い画像です。

 

一方で、SD値が小さくなれば、画像は均一性が高く、良好な画質であるといえるのです。SD値は画質に大きな影響を与えおり、その値が小さいほど観察しやすい画像であるといえるのです。

 

しかし、SD値は画質を決定できる要素であることは確かな一方でその値が同じであってもその後処理方法で、画質が変わってしまうことがあります。

 

そういった場合、SD値を測定するだけでは、画像にどのような変化が起こっているのか把握できないという欠点があります。もし、その画像を劣化させるような変化をもたらしているのだとすれば、その対応策がわからないのです。

 

そのため、画像を構成する濃度成分だけでなく、画像を構成しているのはどのような強弱を持った粒子によって構築されているのか解析する必要性がでてくるのです。

 

これは、土壌の考えと似ているものがあります。

 

作物が良く育つ土壌と育たない土壌があったとします。しかし、土の色は見た目ではわかりません。しかし、水を流してみると、水気が適度に保たれ作物が育ちやすい土と水はけが悪く、すぐに水たまりになってしまい、少量の雨ですら問題になるように、作物を育てにくい。

 

これは、土を形成する粒子の成分など様々な要因が重なって起こることで、土の色だけで安易にわかることではありません。(ベテランの農家の方には怒られそうな話ですが、あくまで例えなので・・・)

 

土の色(SD値)を見ただけでは、その土壌の詳細はわからず、水をまいた時のはけ方やミミズの有無などありとあらゆる解析が良い土壌かどうかを見分ける手段となります。

 

その手段が、今回でいうNPSという存在なのです。

 

では、NPSとはなんなのか。

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NPSとは?

それをここから説明したいと思います。

 

NPSとはNoize Power Spectrumの略で、他の表現ではWS(Winer Spectrum)などと言われてもいます。(CT画像ではNPSと呼ばれるの一般的です。)

 

その詳細は、ノイズ(画像を構築するX線量子)の成分を空間周波数ごとに表現したものです。

 

そもそも、CT画像を構築するX線は、光子とも呼ばれ、光と波の性質を持っています。光子は粒子であり、粒の一つ一つが波の性質を持っているのです。波の成分を持つということは、波の大きさ(振幅)や頻度(位相)がX線のそれぞれによって異なり、その様々な波の成分をもつ粒子によって、CT画像は作られているのです。

 

そして、その波の成分を知るために、画像にフーリエ変換なる手法を使い得たものがNPSです。

 

よって、NPSを見ると画像に含まれるX線の周波数成分をしることができることになります。周波数ごとに分析することで、画像がX線量子によって作られているのか、どのようなノイズによって画像を劣化させているのかなど理解することが可能になるのです。

 

そして、実際に得られたNPSが以下のようになります。

 

縦軸にNPSという値をとり、横軸には周波数を置いています。

 

一般にエッジ(輪郭)が強調されている画像は高周波成分が多く、のっぺりと輪郭がボンヤリした画像は高周波成分の少ない結果となることが多いです。

 

周波数成分を知る意味とは?

「画像を構成する周波数成分がわかったところでなんの意味があるの?」と、思う方もいるのではないでしょうか。実際、この図が何を意味し、何の役に立つのか不思議にもなります。

 

しかし、NPSからわかることはとても重要なことなのです。

 

CT画像に含まれるノイズの多くはホワイトノイズであると言われています。画像上で白くザラザラと見られるアレことです。

 

そして、人が画像上で目障りと言われているのが、ホワイトノイズであり、高周波領域にある成分なのです。

 

つまり、画像のザラザラとしたノイズを目立たないようにしたいと思ったら高周波成分を抑えることでノイズの目立たない画像にすることが可能となります。

 

そのため、ノイズが目立つような画像なのかどうかというのは、NPSの高周波成分を見れば一目瞭然というわけです。NPSを比べてみて、「高周波成分が多いなー」と思えば、私たちの目には、少しザラザラとしたノイズの目立つ画像なんだということです。

 

では、ノイズを評価するには高周波成分だけに注目すればよいのか。

 

というと、そういうわけではありません。

 

ノイズとは、画像を劣化させる成分全体を指しているので、高周波成分だけ含まれているというわけではないのです。

 

当然のように全周波数領域に存在しているのです。ただ、目立って観察されやすいのが高周波成分だということです。

ノイズを減らす目的で高周波成分を抑えることは、一般的に良く行われる方法ではあります。

 

が、その一方で、この方法には欠点もあります。

 

それは、画像の縁取りがボンヤリしてくることです。視力が悪くなると、ボンヤリとモノがぼやけて見えてしまい人の顔を見ても輪郭がはっきりと見えなかったり、表情が見えにくくなりますよね。

 

そのような感じで、CT画像に描出される臓器や血管など、構造物がボンヤリとしていまします。これは、高周波成分の多くが構造物の輪郭をクッキリとさせる役割を担っているからです。

 

そのため、高周波成分を抑えるということは、ノイズの目立たない画像にするという利点の反面で画像を全体的にボンヤリとさせるような役割も果たしているのです。

 

つまり、高周波成分を失くしてしまうと、空間分解能(二つのものを見分ける能力)が落ちるとも言われています。

 

逆に高周波成分を強調させることで、ノイズが目立つようなザラザラとした画像になる一方で、小さな物の輪郭がはっきりとわかるようにもなるのです。

 

このような性質があるため、どちらが良いとははっきりといえないことが多いです。臨機応変に使い分けることが望ましいの一言で片づけるの一般的です。

 

例えば、顔面骨(耳小骨など)は小さな構造物の作りをはっきりと観察したいため、高周波成分を強調した画像。

 

臓器内の腫瘍など濃度差が低いものを見つけたいときはノイズを減らした画像(高周波成分が目立たないなど)を作るなどの工夫が必要になるのです。