【X線CT】フルスキャンとハーフスキャンの違いとは?

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心臓CT検査では、常に動いている心臓を撮影するため短時間で撮影することが重要となってきます。その工夫の技術の一つとして挙げられるのがハーフスキャンです。

 

では、ハーフスキャンとはどういったものなのか?

 

フルスキャンとハーフスキャンの違いからまとめてみたいと思います。

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フルスキャンとハーフスキャンとは?

通常、CT検査では画像を再構成するためには、管球一回転分のデータが必要です。

 

なので、通常では管球一回転分のデータを得るため、管球を一回転させ被写体のデータを360度分の投影データを得ることが必須となるのです。

 

これがフルスキャンと呼ばれるスキャン法です。

 

ただ、一回転分のデータのデータが必要であるに対して、その約半分の程の投影データを得ることで画像再構成する方法があります。

 

それがハーフスキャンと呼ばれるものです。

 

それでも、実はハーフスキャンは言葉に騙されがちな場合があります。

 

どのように騙されるのかというと、フルスキャンが管球一回転分の投影データを得ることを言うので、その流れで考えてしまうと、ハーフスキャンは管球が半回転分の投影データを得る方法なのではないかということです。

 

私自身、そうやって思っていたこともありますし、この記事を読んでくださっている方もそう考えていたことがあるのではないでしょうか。

 

そうなんです。

 

ハーフスキャンは管球の約半分、そう『約』半分の投影データを得ることで画像を再構成しているのです。

 

では、なぜ『約』半分なのか?

 

それは、管球の回転角度で考えると、画像再構成に必要なデータを得るためには半回転では足りなく、プラスでファン角分の投影データを得る必要があるからなのです。

 

つまり、

【フルスキャン=360度】

 

なのに対して、

 

【ハーフスキャン=180度+ファン角】

 

となるのです。

 

さて、この言葉を教わっても納得しきれない気持ちがある方のためにももう少しだけハーフスキャンについてまとめたいと思います。

 

なぜハーフスキャンという名前でありながらファン角分の回転が必要なのか、なぜ管球の半回転分のデータでは画像再構成には不十分なのでしょうか。

 

私個人的には、この問題を抱えてしまう原因は管球の角度とファン角という二つの角度が混在しているためだと思われます。

 

どういうことか。

 

フルスキャンとハーフスキャン、ともに回転角度を考える場合には、管球がどの程度回って投影データを得たのかということを焦点にしています。

 

この時、多くの方は勝手に管球から一本の線がでており、半分回転すれば半円が描けるため半分のデータを得るという役割を果たしていると考えがちです。

 

しかし、CTで使用されるX線はファンビームと呼ばれる幅を持ったX線です。そのため、一度に照射されるX線の中にも右端と左端という部分ができてしまっているのです。

 

そして、ハーフスキャンで必要なのは半回転分の投影データです。

 

ファンビームの右端と左端の両方の半回転分のデータを得ようと考えたら管球の半回転分だけでは足りなくなってしまうのです。

 

つまり、ファンビームは幅を持つので、管球を一番上から回転させても、ビーム自体の端は一番上から少し遅れた部分にあります。

 

そのため、管球を180度回転させるだけでは、管球と回転始まりが同じであるファンビームの一端は半回転していることになる一方で、遅れた位置からスタートしている、もう一端は半回転分に達していないということになります。

 

よって、ファンビーム全体が半回転していることにするためには、管球を【180度+ファン角】回転させる必要があるのです。

 

図で表すと下のようになります。

 

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ハーフスキャンの利点と欠点とは?

フルスキャンとハーフスキャンの利点と欠点を知らなければ、どちらのスキャン方法が良いのか場面で選択することもできません。なので、フルスキャンに対するハーフスキャンの利点と欠点を下にまとめたいと思います。

・利点

➀スキャンの時間の短縮

単純にスキャンに要する時間が約半分になります。
フルスキャン時に0.4秒の場合⇒ファン角50度の場合ハーフスキャン時には0.25秒に短縮されます。

 

➁時間分解能の向上

スキャン時間の短縮により、動いているものを止まっているように写す能力である時間分解能の向上が期待されます。

そのため、時間分解能が重要視される心臓CT検査では、ハーフスキャンの利点が発揮されやすい撮影といえます。

また、時間分解能は、再構成に使われる生データの収集された時刻の始まりと終わりの時間差によって決まります。
装置架台のの回転スピードが同じであれば撮影FOVが小さいほど、時間分解能が良くなります。

 

➂被ばく線量の低減

ハーフスキャンは投影データ数が少ないため、フルスキャンに比べて被ばく線量の低減も期待できます。
ただ、実際には、フルスキャンを行っておき画像がボケてしまって場合にハーフスキャンによる再構成を試すということも行われます。

ハーフスキャンに比べ、フルスキャンのほうが画質が良く、診断に有用な画像が得られやすいため、ハーフスキャンによる被ばく低減より画質劣化をリスクに捉える場合もあるようです。

・欠点

➀画像均一性の低下

CT画像は投影データ(収集データ)が多いほど、画像の均一性、空間分解能が高くなる性質を持っています。

 

しかし、ハーフスキャンではフルスキャン時に比べ、投影データが少ないため、画像均一性の低下、空間分解能の低下が起こります。

 

それでも、時間分解能が向上しているため、動いている臓器を撮影する場合には、空間分解能は逆転することもあります。

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