放射線治療では、各種体積の線量を明確に表示する必要があります。照射される部位の体積と線量の関係を把握することが重要なのです。
そこで、今回は体積と線量に関係する用語をまとめた位と思います。
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標的基準線量
線量分布計算時に決定されるPTV(計画標的体積)内の標的基準点における線量のことです。
標的基準線量はCTV(臨床標的体積)へ投与する予定線量で、線量分布計算によって決定されるものです。放射線治療の指標となる線量で、カルテへの記載も必須となっています。
標的基準点は、以下の基準を満たすことが推奨されています。
➀その点の線量が臨床的に意味があり、PTV(計画標的体積)内の線量を代表できること。
➁位置が明確であること。
➂物理的線量を正確に決めることができる。
➃線量に急激な変化が起こらない位置であること。
標的基準点の位置は、PTVの中心点、またはPTV内の線量の代表できる位置で設定される必要があります。
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最大線量
最大線量には、PTV内の最大線量、PTV外に存在する正常組織の最大線量およびホットスポットがあります。
そのため、正常組織の最大線量は、放射線治療による副作用の評価や副作用の抑制を行うために重要なポイントになるのです。一般的に、3次元線量分布計算によって最大線量を示す体積は、直径15mm以上であれば臨床的に意味があるといわれています。
その具体的な例として眼・視神経・喉頭などの小さな臓器が挙げらます。
一方で、肺・肝・腎・皮膚など大きな正常組織の耐容には小さな体積の最大線量はあまり関係しません。
最小線量
定義された体積(例:GTV,CTV、PTVなど)で最も小さな線量を指します。
最大線量とは異なり、最小線量を記述する場合には、特にその体積を記述する必要がありません。
平均線量
問題とする体積内で等間隔に分布する任意点格子点の線量平均値として計算されたものです。
つまり、任意体積における線量の平均を指します。ただ、標的平均線量と表現するとPTV内における平均線量を表すため、区別されていることに注意が必要です。
中央線量
全格子点の線量値を大きい順に並べ、その中央値のことです。
中央標的線量となるとPTV内の中央線量を表します。
最頻線量
ある体積内の格子点における最も頻繁に生じる線量のことです。
ホットスポット
放射線治療では、PTV外の組織が比較的高い線量で照射される場合がよくあります。
ホットスポットとは、その標的外の組織が受ける線量が標的基準線量よりも高い線量となる領域を示しています。等線量曲線で囲まれた面積が直径15mmの大きさを超える場合にのみ、臨床的に意味があり、重要視されます。
ただ、小さな臓器では直径15mmより小さくても考慮する必要があります。