放射線治療では、標的に対して可能な限り均等に放射線を照射する必要があります。
それに加えて、正常臓器にはできる限り放射線が照射されないように配慮しなければならないため、照射するビームにおける体内の線量分布が大変重要になってきます。ただ、体内の線量分布を直接測定することは不可能に近いほど困難です。(方法を知らないだけかも・・・)
そこで、用いられるのが等線量曲線です。
今回は、その、等線量曲線について簡単にまとめてみました。
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等線量曲線とは?
等線量曲線とは、2次元平面上で線量の等しい点を結んで得られる、治療ビームによる線量分布図のことです。等線量曲線によって、体内のどの範囲にどの程度、放射線が照射されているのか知ることが出来ます。
ただ、等線量曲線は実際に測定された線量分布ではなく、シミュレーションされた図であるということを忘れてはいけません。
その元になるデータがPDDとOCRです。
PDDは深部量百分率で吸収線量と組織内の深さを関係を表し、OCRは軸外線量比でビームの中心軸と中心軸外の線量比を表しているため、照射する放射線による吸収線量と深さ、範囲の関係を知ることができるのです。
等線量曲線には使用する放射線のエネルギーの基準点を100としたもの、かつ、空中線量を100としたもの、またSTD法による病巣の位置を100としたものなどがあるため、基準となる線量がどこに照準されているのか認識することが重要となります。
そのうえで、標的となる病巣に必要な線量が照射されているのかどうか判断するのです。
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等高線と似ている??
と、思われた方もいるのではないでしょうか??実際、私が学生の時には、そう思いだしてしまったものです。
そこで、横道どころか関係のない話ですが、等高線のことを少しだけ・・・。
等高線とは、地図上の土地の高さを表すもので、海面からの高さが同じ所を結んだ線を上から見たものです。山など3次元に高さをもつものを2次元上の地図で合わすために生み出された工夫です。
等線量曲線も本来3次元で表現できるといいのですが、それが2次元上に表現されているので、似ているところがあります。ただ、等高線は土地の高さだけでなく、斜面の勾配を等高線の間隔で表現しています。
下の図を見てもらうとわかりやすいと思うのですが、等高線の間隔が狭くなるほど急な斜面であり、等高線の間隔の間隔が広くなるほど緩やかな斜面であることを示しているのです。
と、まぁ少し、小学校で習ったことを懐かしみながら、山登りを始めようかなと思っている方は、ルート検索の参考してみていただければ幸いです。ちゃんと学ぼうと思う方は、他のサイトを検索するといいでと思います。
等線量曲線が変化する要因とは?
では、話を等線量曲線に戻したいと思います。等線量曲線の形はいくつかの要因によって変化します。
その主な要因を以下にあげます。
➀放射線の種類
X線・γ線と電子線とではPDD曲線もOCRが異なるため。
➁放射線のエネルギー
エネルギーが高いほど、深部の透過しやすく、最大吸収線量は深部方向に移行する傾向があるため。
➂半影の大きさ
エネルギーや照射野の大きさによって、半影の大小は変化しますが、その影響は等線量曲線にも出現します。
➃フィルター
ウェッジフィルターやフラットニングフィルターなど、意図的に放射線の線量分布を変化させる器具によるものです。
上の等線量曲線は⁶⁰Coγ線、6MV X線、20MV X線のです。高エネルギーになるほどPDDが大きく、最大深も深くなります。
X線・γ線の線量分布は、一般に高エネルギーほど側方散乱がなく、平坦度が良いため上のような線量分布を得られます。ただ、高エネルギーX線の平坦度は治療装置の照射ヘッドに装備された、フラットニングフィルタにより決められている部分が大きいそうです。
ウェッジフィルタのようにフィルタの厚みに傾斜があるようなものを使用すると、等線量曲線は上の図のように変化する。