現在の病院システムで欠かせない存在となってきた3つシステム。それがHIS、RIS、PACSです。病院で働き始めるとわかることも多いのですが、私は学生時代にこの3つを習っても呪文のようにしか聞こえませんでした。
そこで今回は、この3つについてまとめてみたいと思います。
スポンサーリンク
HISとは?
HISとはHospital Information Systemsの略であり、病院情報システムのことです。よく一つ大きなシステムのようにイメージされますが、多くのシステムの集合体であり、患者さん情報や病室の空き状況など様々な情報を共有し、病院稼働に欠かせないものです。
HISを構成するシステムをの一例を下に示すと・・・
➀受付システム
患者さんが病院に来院時に受付する機器など。
➁会計システム
医療費の計算など。
➂オーダリングシステム
薬の処方から検査予約など。
➃電子カルテ
患者さんの診療録の記載など。
➄入退院管理システム
入退院する患者さんの情報を管理し、同時に病室の空き状況も管理など。
と、これ以外にも多くのシステムが集まっており、病院内でやり取りされるありとあらゆる情報がHISと呼ばれる情報システム内で繋がっているのです。
各病院ごとにある専用のネット回線だと思ってもいいかもしれません。インターネットのように、HISに登録されている情報は病院内のどこからでも閲覧し、共有することができるようになるのです。
ただ、最近は個人情報に敏感な時代のため、情報の種類によっては病院内でも権限をもつ限られた人しか閲覧できないような設定が行われることも珍しくありません。
HISの導入は、あらゆる効果をもたらしています。その例を以下にあげましょう。
➀医師からの指示をHIS内に入力することで、手書きの指示票(処方箋や投薬の指示など)に比べて、より迅速で正確な情報伝達ができる。
➁患者さんが複数の診療科に診察を受ける場合、診療科同士で情報を共有できる。
➂検査結果も共有できるため、無駄な検査や薬の重複を避けられる。
➃薬の量の間違いや薬の相互作用のチェックを自動的に行える。
➄診療録は会計にも反映されるため、正しい医療費請求に繋がる。
スポンサーリンク
RISとは?
RISとは、Radiology Information Systemsの略であり、放射線科情報システムのことです。HISが病院全体の情報を集めるシステムであったのに対して、RISは放射線機器で行う検査と治療だけに限り、予約から検査結果の管理を行うシステムを言います。
もっと具体的にRISの機能を挙げると・・・
➀放射線検査の依頼管理(検査予約入力とオーダ情報受信)
➁検査予約管理
➂撮影装置に対する患者情報の送受信
➃検査実施情報の送受信
➄照射録管理
➅フィルム管理
➆検査結果レポートの作成と管理
となります。
RISの導入は、これまで一つの検査を行うにあたり多くの書類を作成する必要があったのですが、それがコンピュータ上で全て管理でき、業務の効率化という効果をもたらしてくれました。
来院される患者さん数が多い病院では、スムーズな検査進行のためには欠かせないシステムとなっています。
PACSとは?
PACSとは、Picture Archiving and Communication Systemsの略であり、画像保存通信システムのことです。
現在、放射線機器(レントゲン、CT、MRIなど)で行った検査結果画像は全てDICOMという拡張子にて保存されています。PACSは、放射線機器から送信された検査画像(DICOM画像)を受け取り、保存するHD(ハードディスク)のような役割を果たしています。
さらに、HISと連携することで、電子カルテからPACSへとアクセスが可能となり病院内のどこからでも画像を参照することができるようになります。まさに、病院内で共有する専用HDやCloudみたいなものです。
ただ、医療機器は進歩を続けており、良好な検査結果を得られる代わりに画像容量は増す一方になっています。よって、PACSの総容量は少なくても数十TB(テラ)から大きい病院では数百TBとなることもあります。
それだけの容量も備えていても、医療画像は法律によって決まった保存期間があるためたまり続けてしまうため、10年も持たず増設が必要なケースもあります。
HIS・RIS・PACSの関係とは?
最後にこの3つのシステムをシンプルにまとめたいと思います。
➀HISから放射線検査が指示されるされる。
⇓
➁HISから指示された検査がRISに予約入力される。
⇓
➂RISに入力された検査を放射線機器に送信。
⇓
➃検査の実施、RISで検査実施報告をHISに送信。
⇓
➄検査画像をPACSに送信。
⇓
➅HISからPACSにアクセスし、医師が検査画像を参照。(場所は病院内のPACSにアクセスできるHIS端末があればどこでも可。例:診察室など)