放射線治療の外部照射法の中には、運動照射と言われる部類があります。
これは、文字のごとく照射中にビームを移動させる照射法であり、病巣に線量を集中させる目的に行われるものです。
今回は、運動照射の種類についてまとめてみたいと思います。
スポンサーリンク
回転照射とは?
体軸付近の病巣を回転中心(アイソセンタ)に合わせて線源を360°回転しながら照射する方法です。
簡単に回転をさせながら照射を行っていると考えてもいいでしょう。
1方向から照射を行うわけではないので、腫瘍組織に治療に十分な線量を照射しつつ、正常組織への影響を抑えることができます。
そのため、線量分布はアイソセンタを中心にした同心円状になるのが特徴です。
※適応
肺がん、膀胱がん、食道がんなど
・・・さらに、回転照射では、打ち抜き照射という手法が使用されることがあります。
打ち抜き照射とは、病巣付近のリスク臓器を保護することを目的に、回転照射中にリスク臓器の形に合わせて遮蔽ブロックでビームを遮蔽する方法のことです。
脳下垂体の照射時に、どうしても照射が免れない水晶体を保護するためなどに使用されます。
また、現在では、回転照射という単体で証言される機会が減ってきており、原体回転照射と表現されることが多いです。
・原体照射とは?
そもそも、原体照射とは固定多門照射または回転照射で、病巣の形に合わせて照射野をMLC(Multi-Leaf Collimator:多段階絞り装置)などで整形し、正常組織への照射を抑える照射法です。
よく、強度変調放射線治療(IMRT)と混合されますが、IMRTは照射野とビーム強度、方向と様々な要素を変化させ、正常組織への影響を最小限に抑えつつ腫瘍組織への治療を行う方法です。通じるものがあるのは確かですが、少し異なるものです。
ビームを照射中にガントリーを回転させることで,一定の正常組織にのみ照射されることを防ぐことができ、肺や肝臓が適応となります。
3次元のデータをもったX線CT画像を用いて、3門以上の多門固定照射あるいは運動照射のことを3次元原体照射法(3D‐CRT:three dimensional comformal radiotherapy)と呼びます。
スポンサーリンク
振り子照射とは?
体軸中心から少しかたよった箇所に存在する病巣に対して、線源が一定の角度を往復回転しながら照射する方法です。
まさに、振り子のように動きながら照射を行うため振り子照射と覚えて良いかもしれません。
線量分布は、振り子角度と照射野などの条件で大きく変化しますが、角度だけでいうと以下のようになります。
振り子角度(大)⇒線量の最大点が回転中心に近づき、分布図が円形に近くなる。
振り子角度(小)⇒線量の最大点がビームの入射方向に近づく
※適応
肺がん、食道がん、直腸がん、前立腺がん