放射線治療計画は、位置、量、方向など、どのように照射を行うのか今後の方針を決定する意味でもとても重要です。
ただ、その治療計画の立て方には大きく分けて2つ、フォワードプランニングとインバースプランニングがあります。
フォワードやインバースという言葉からも外や内といったことが考えられるかもしれませんが、今回はこの2つについてまとめてみたいと思います。
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フォワードプランニングとは?
放射線治療が始まった、その時からある手法であり、通常の計画はこの手法が使用されます。
では、フォワードプランニングとはどういった手法なのか。
まず、治療計画装置にあらゆる照射条件を設定します。
このとき、設定する照射条件はとても細かく・・・
➀照射門数
➁ガントリ角度
➂ベッド角度
➃それぞれのポートの強度配分
➄コリメータ角度を含んだ照射野開度
➅ウェッジフィルタなどビーム修飾装置の有無 などです。
条件を設定後、治療計画装置に線量計算を行わせます。
このとき、出力された検査の定量的な優劣は、単純な線量評価法であるDVH(容積線量ヒストグラム)を利用して行われる場合が多いです。
それから、さらに最適な治療を行えるように条件を何通りも変化させ数種類のプランを作り上げ、その中から、最良のものを採用するというのがフォワードプランニングです。
この手法の欠点は、最終的な照射を決めるまでに試行錯誤を人が行い、繰り返すです。自ずと時間がかかります。
経験や技術に富んだ人が行えば、数十分で終わることもありますが、経験と技術に乏しい人または困難な例の場合には、数時間もかかる作業を行う必要があることです。
人の技術と経験に依存する部分が大きく、同じ症例に対して誰もが同じ照射計画を立てれるとは限らないともいえます。
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インバースプランニングとは?
一方、インバースプランニングとはどのような手法なのでしょうか。インバースプランニングは、治療したい部位、逆に照射をしたくない部位(要注意臓器)、そして線量を入力し、治療計画装置自体に最適な照射方法を導き出させる方法です。
そのため、治療計画を立てる人{オペレータ}の経験や技術に依存されることもありません。ただ、オペレータが何もせずに装置が照射方法を自動で算定するわけではありません。
装置が計画を立てる前に必ず、PTV、正常組織、要注意臓器の抽出とこれら、それぞれに対する線量と許容範囲を決定する必要があるのです。
要注意臓器への線量を抑えつつ照射を行える強度変調放射線治療(IMRT:intensity modulated radiation therapy)はインバースプランニングの利用を前提としています。
この手法の欠点は、入力したターゲットに対して自動的に線量分布を作成するため、PTV・ターゲットの大きさや形、マージンをどのように設定するかが重要となることです。
またGGD(goal dose)やIW (important weight)の値をいくつにするのかといったことも重要となります。