腔内照射における適応で有名な一つとして、子宮頸がんが挙げられます。日本ではManchester法(マンチェスタ法)が採用されていますが、がんの治療効果とその周りへの影響を評価する点を評価点といいます。
そこで、今回はこれらに関することをまとめてみたいと思います。
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子宮頸がんとは?
まず、子宮頸がんがどんな病気なのでしょうか。
子宮とは、下の図のような形をしており、子宮にできるがんとして子宮体がんと子宮頸がんの2種類に分けられます。
子宮体がん、子宮内膜がんともよばれ、胎児を育てる子宮体部の内側にある子宮内膜から発生するのが特徴です。
また、子宮頸がん、子宮の入り口にあたる、子宮頸部に発生します。
子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察でや観察や触診・画像検査がしやすいため、発見されやすいがんとして知られています。
早期発見であれば、比較的治療しやすく予後のよいがんと言われていますが、やはり進行すると治療が難しいことから、早期発見が重要性が高いことは他のがんと違いはありません。
さらに、初期の子宮頸がんは、普通は全く症状がありません。
そのため症状がない場合でも、20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がんの検診を受けることが望ましいとされています。
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子宮頸がんの放射線治療とは?
子宮頸がんの放射線治療は、外部照射と腔内照射の併用が原則です。
・外部照射
リニアック等の放射線照射装置で、体外から体内の癌病巣に放射線を照射して治療する方法。
外部照射では、子宮内にある病巣からがんが進行する可能性のある腟や子宮周囲の靭帯、骨盤内リンパ節まで含めた広い領域。
・腔内照射
腔内照射とは子宮腔内および腟腔内に192Ir(イリジウム)や137Cs(セシウム)などの密封小線源を挿入し、子宮頸部の主病巣に高線量を照射する方法であり、以下の方法で行われることになります。
➀腔内照射は原則として、子宮内線源(tandem)と腟内線源(ovoid)による照射を併用する。
➁腔内照射は腔内照射可能となった時点で、外部照射期間中のできるだけ早期に開始する。
➂TandemとOvoidは同時に使用されるが,別個に使用されることもある。
➃Tandem線源は子宮底まで挿入する。
➄Ovoid線源の線源間隔はできるだけ大きいものを使用する。
➅腔内照射の線源配置は歴史のあるマンチェスター法または類似の方法で治療することが望ましい。
ここで、でできたマンチェスター法が線源配置場所を決定し、治療効果を判定する線量評価点に関係することになります。
マンチェスター法とは?
マンチェスター類似の線源配置とはtandemとovoidの各線源の強さ(放射能と照射時間の積)が同程度のことです。
つまり、図で示すと、
といった感じになります。
そして、病巣線量はA点線量を基準に、,骨盤壁への浸潤病巣、骨盤リンパ節に対する治療量の指標にはB点線量と呼ばれる線量を用いることになり、このA点、B点が線量評価点になります。
子宮頸がんの線量評価点とは?
それが、A点線量、B点線量になります。
・A点線量
外子宮口から子宮腔軸に沿って2cm頭側の高さを通る垂線上の2cm外側の点のことです。
原発巣の治療効果を最もよく表す線量であり、腔内照射における病巣の線量基準点として定義されています。
つまり、原発巣の治療線量の指標となる点です。
また、膀胱直腸の障害量の指標にもなっています。
A点線量は左右2つありますが、左右差があるときは少ない方の線量を用いることが一般的です。
・B点線量
外子宮口から2cm上方の点を通る水平面上でA点と同じ高さで正中線から5cm外側の点。(骨盤腔内にて前額面上、左右A点の中間の高さで正中線より側方5cmの点)
骨盤壁付近の線量の目安であり、骨盤壁浸潤・骨盤内転移に対する線量の指標となります。
A点、B点線量点の位置は、ややこしいです。
なので、私はA点は2cm外の子宮軸に沿った点、B点は5cm外の身体軸に沿った点と覚えていました。
2cm頭側になる基準点は同じなので、それだけ覚えていれば、何とかなることが多かったのです。
今回で、また復習することになった訳ですが。