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放射線治療用リニアック装置の構成とは?

X線装置の中でも、構成が少し複雑なリニアック装置は、国家試験の問題にもなりやすいようにも思えます。

 

そこで、リニアックとはどんな構成で成り立って、どんな装置なのかというのをまとめてみたいと思います。

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リニアック装置とは?

リニアック装置は、放射線治療で使用される装置であり、X線、電子線を体外から照射するためのものです。

 

放射線治療で最も多く使用されている主力装置であり、放射線治療を受けている大半の方は、この装置をご覧になっているのではないでしょうか?!

リニアック装置 出典:ja.wikipedia.org-

装置性能はどうなっているのでしょうか。(情報が古かったらすみません)この装置では、なんと、X線は2種類のエネルギーを選択することができます。(デュアルエネルギータイプ)

 

さらに、とういかもちろんですが、電子線の照射も可能であり、そのエネルギーは3~20MeVまでの数種類を選択することができるのです。

 

放射線治療で使用されるということで、治療位置(アイソセンタ)におけるX線・電子線の出力も重要であり、2~5Gy/minになるように設定されています。そして、様々な方向から照射できるよう、アイソセンタを中心に、照射ヘッド・ガントリを回転させる全回転方式となっています。

 

回転できる半径は約1mと意外と大きいため、装置も動く範囲も広いとなると、治療を行う部屋も自ずと広くなってしまいます。

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リニアックの構成とは?

では、このリニアック装置の中身はどうなっているのでしょうか。リニアック装置では、他の検査機器とは異なり、高エネルギーでX線・電子線を照射するため、その装用は異なる点が多いです。

 

その模式図を見ると・・・

となります。リニアック装置の加速から出力までの流れをまとめると・・・

 

➀電子銃から電子を約10~70kVの電位差(電圧)で加速管内に発射。

 

➁加速管(進行波型・定在波型)内は、発振管(マグネトロン・クライストロン)で発生させた約3000MHzのマイクロ波による高周波数の電場になっている。

 

➂加速管内に注入された、電子は電場によって加速。

 

➃加速された電子が偏向マグネット(ビーム偏向系)で90°または270°に曲げて、下水平方向から下方向に進む電子ビームにする。

 

➄真空中(加速管内からビーム偏向系まで)から大気中に出てきた電子は、X線または電子線として人体に照射される。

 

・X線の場合・・・ターゲットに衝突させてX線を発生⇒フラットニングフィルタ(円錐形の金属フィルタ)でX線強度を均一化させる。

 

※なぜX線の強度を均一にする作業が必要なのか?

放射線治療の場合、腫瘍に対して均一なエネルギーが照射されることが重要となる。電子をターゲットに衝突させて、発生したばかりのX線の強度は中心部分が高く、端に行くほど低いという特徴を持っています。

 

これでは、腫瘍の中心部分には強度の高いX線が照射され、端の部分は強度の低いX線が照射されることになり、同じ腫瘍内でも照射された線量が異なってしまう。すると、中心部分には過剰に照射されることになり、その延長線上にある正常組織への影響も大きくなってしまう。

 

また、腫瘍内部の線量管理をすることができなくなってしまう。そこで、発生したX線をフラットニングフィルタで強度を均一にする必要がある。

 

・電子線の場合・・・電子取り出し窓から出た電子ビームをスキャッタリングフォイルで拡散させてから人体に照射。

※電子線はなぜ拡散させる必要があるのか?

電子線は、大気中にでてきた直後ではペンシルビームと呼ばれるような非常に細いビームである。そのまま照射することは可能であるが、照射できる範囲がとても狭くなってしまうため。

 

機器を構成する、各々に関しては次回以降からまとめたいと思います。