【放射線治療】温熱療法とは?

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がん治療の中には、温熱療法というのがあります。

 

今回は、温度と放射線治療にはどんな関係性があり、どんな効果が期待されるのか少しだけまとめてみたいと思います。

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温熱療法とは?

温熱療法とは、ハイパーサーミヤとも呼ばれる、がんに対する治療法の一つです。

 

どんな治療法なのか?簡単に表現するならば、

「がん細胞の温度を上昇させて、やっつけよう!!」

といった感じです。

 

でも、ギモンに思う方もいるかもしれません。なぜ、がん細胞を温めるだけで、治療することができるのでしょうか。

 

それは、温度とヒトの細胞の関係に答えがあります。

 

最近では、あまり見かけない水銀体温計ですが、この温度計には41℃まで目盛りがなくそれ以上の体温は測ることが出来ませんでした。

 

実は、これは、ヒトの細胞は42.5℃以上になると死んでしまい、基本的には体温が41℃以上に上昇することがありえないためです。そして、この原理を利用し、がん細胞の温度を選択的に上昇させてがん細胞を死滅させてしまおうという考えで行われるのが温熱療法です。

 

温熱療法では、がん細胞を局所的に30~60分間、42~43℃以上に加温することで行われますが、がん細胞だけを加温することは不可能であり、必ず正常な細胞も加温されることになります。

 

では、温熱療法では、正常な細胞も死滅してしまうのではないか。と、考えることが出来ますが、そうはなりません。がん細胞と一緒に温められた正常な細胞は死んだりしないのです。

 

なぜか。

 

それは、正常細胞は加温されると血管を膨張させて血流を増加させることで、冷却させる機能を持つためです。そのため、正常細胞は温度が上昇しにくいのです。

 

一方、がん細胞の血管は脆弱のため、温度が上昇しても拡張し血流を増やすことができません。むしろ、がん細胞の血管は圧排・出血・閉塞を起こし、血流は増加するどころか低下する始末です。結果、がん細胞だけが温められ、正常細胞は守られるという図式ができあがることになります。

 

この関係をがん細胞は正常細胞に比べて温熱感受性が高いと表現されることもあります。

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温熱療法と放射線治療の関係とは?

実は、温熱療法の効果は、それ単体だけではありません。放射線治療と合わせることで更なる治療効果を得ると言われています。

・効果1:放射線治療の弱点補う

放射線治療を行う上で重要となるのが放射線感受性の問題です。放射線の感受性が低いがん細胞は放射線治療効果も低くなってしまうからです。

 

では、どんな場合には放射線の感受性が低くなるのか?

それは、

➀低酸素細胞
➁pHの低い細胞
➂低栄養細胞
➃細胞周期がS期後半の細胞

です。これらは、放射線感受性が低く、放射線治療効果が得にくいといえます。

 

ですが、温熱療法では違います。逆に上に挙げた4つ条件は全て高感受性であり、温熱療法では最も効果を得やすい細胞となるのです。

 

そのため、放射線が効きにく細胞には、温熱療法を行うことで放射線治療の弱点を補い、さらなる治療効果を得る期待が持てることになるのです。

 

出典:www.three-arrow.com-

・効果2:放射線の効果を増強する

温熱療法は弱点を補うだけでなく、放射線治療の効果を高めると言う意味でも効果があります。細胞は、42℃以上になると、放射線感受性を高まる性質を持ちます。

 

温熱療法では、がん細胞を42~43℃以上に高める治療法なので、例え放射線に抵抗性を持つがん細胞でも、温度を上昇させることで放射線による抵抗性を減らすことが出来るのです。

 

この効果は温熱と放射線を同時に適用した場合に最も発揮されますが、前後に数時間までズレてもある程度の効果は期待できると言われています。

・効果3:抗がん剤の増感効果

現在使用されている、すべての抗がん剤ではありませんが、併用すると効果が上がると言われているものもあります。

例:
➀シスプラチン(CDDP)
➁5-FU
➂マイトマイシンC
➃アドリアマイシン
➄ブレオマイシン

・効果4:免疫力の活性化

免疫力が高まるとがん細胞を自分自身の力だけでやっつける働きが高くなります。免疫力を高める効果を期待して温熱療法が行われる機会も増えてきたようです。

加温方法とは?

加温方法にもいくつかあるので紹介したいと思います。

 

・全身加温

大腿動脈から脱血

体外循環装置で血液を加温

大腿動脈に戻して全身の温度を上昇させる

・局所加温

ⅰ外部加温

マイクロ波(30GHz~300MHz)、超音波(300MHz~30MHz)、RFは(30MHz~10kHz)を用いて、人体外部からがん細胞を加温する方法。

 

マイクロ波:体表面から2~4cmまでの表在性腫瘍
RF波:最もよく使用され、深部腫瘍に効果的
超音波:体内での減弱が少なく深部まで均一に加温できるが空気や骨によって加温のされ方に影響が出る。

 

ⅱ組織内加温

腫瘍組織内に加温用アプリケータを直接刺入してマイクロ波やRF波で加温する方法。侵襲度が高いのが欠点。

 

ⅲ腔内加温

食道や膀胱などの腔内に電極を直接刺したり、加温した生理食塩水を循環させて加温する。

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