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MTFとは?-放射線画像-

MTFは放射線画像の空間分解能を評価するうえで、絶対に使われる項目です。

 

でも、授業で教わっただけでは分からなかった人も多く、教科書を見直しても式や求め方が書いてあるだけで、結局、分からないからわかったふりをするようなこともあるのではでしょうか。

 

そこで、今回はMTFとはどういうものなのか、イメージを掴む意味でまとめてみたいと思います。

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そもそも空間分解能とは?

空間分解能とは、2つの物体が2つの物体と認識できるかを表す指標のことです。

 

簡単な言葉で表すならば、『解像力』と考えるのが一番でしょう。

 

といっても、あまり想像できないと思うかもしれないので、少し例をあげてみたいと思います。

 

例えば、昔の携帯電話(俗にいうガラケー)の写メとスマホでの写メを考えてみましょう。

 

昔の携帯電話の写メは、それはもう解像力が悪く、文章などを撮影して、後で見直すことがあっても文字を読むことができませんでした。なので、一生に一度となるような思い出も含め、重要なものは携帯電話ではなく、デジタルカメラなどカメラ機能に特化したものが必需品であったといえます。

ただ、iphone6Sなど、スマホで撮影した画像は、一昔前のデジタルカメラと同等以上であり、スマホ一台があれば良画質の画像を残すことができるようになりました。もちろん、小さな文章のようなものを撮影しても読むことが出来るようになっているので、書き写すのが面倒な文章でも、撮影さえしておけば、見直すことが可能となっています。

 

この内容を空間分解能という言葉を使って表すと、

 

画像で文字が読めないガラケー写メは空間分解能が低い。

   文字の読めるスマホの写メは空間分解能が高い

となります。

 

画像に写っているものが、目で見て正確に認識できるかどうかが空間分解能の良し悪しを決めているのです。

 

でも、このまま主観で判断していては、他の人に説明するときにどの程度素晴らしいのか、はたまた、全然ダメなのかということに関して、説得力に欠けてしまいます。

 

「どーせ、都合よく解釈してるだけだろ」と言われるだけです。

 

そこで、空間分解能を主観ではなく客観的に表現する方法としてMTFが使用されているのです。

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MTFとは?

MTFとはModulation Transfer Function:変調伝達関数の略のことで、被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを空間周波数特性として表現したものです。

 

といっても、難しいので・・・

 

画像がどんだけボケているのか?

逆に、どの程度鮮明に写しているのか?

 

といったものを、数値化し表現しているものだと考えていただくのがいいかもしれません。

 

それをグラフで表したのがMTFチャートです。

 

理想的なMTFチャートは、点のものを撮影したときに点としての信号を受け取り、点として表現していることを証明しているものです。

 

画像でいうと、全くボケが無い画像のことをいいます。

 

その場合のMTFチャートはどの周波数領域(あらゆる信号成分)でもMTF値が1.0を示すことになります。(求め方の一例になりますが)

 

理想的MTF

 

しかし、実際の撮影には、画像のボケとなる要因が沢山あるので、その要因をすべて取り除くことは不可能です。

 

つまり、ボケない画像はないのです。

 

それは、放射線画像でも同様で、最低でも6個の要因が挙げられます。

 

➀X線管球の焦点寸法によるボケ

➁撮影中の被写体の動きによるボケ

➂X線検出器のボケ

➃信号伝達・処理系によるボケ

➄画像処理の効果によるボケ

➅画像表示系によるボケ

 

などなどです。

 

すると、先ほどと同じものを撮影しても、ボケてしまい本来はインパルス信号と呼ばれる、線上の信号も広がりをもち、周波数成分で表現すると、信号成分の減少が見られることになります。

 

ボケのある画像のMTF

 

理想的なMTF値はいずれの周波数でも1.0を示すことですが、ボケが起こるとその周波数でのMTF値は減少し、画像の解像度は低下することになります。

 

 

MTFの求め方とは?

では、このMTFはどうやって求めるのでしょうか。

 

方法は大きく分けて2つです。

 

一つは、点や線を撮影し、そこからPSF(point spread function:点広がり関数)やLSF(line spread function:線広がり関数)をフーリエ変換して求める『フーリエ変換法』。

 

もう一つは,いろいろな周期をもつ正弦波の入出力コントラスト比を求める『コントラスト法』です。

 

さらに,フーリエ変換法には点や線、エッジを用いる方法の3つに分けられます。

 

・フーリエ変換法

フーリエ変換法では,現実的には,PSFを正確に求めることは技術的に難しいので,金属スリットを撮影して得たLSFをフーリエ変換する方法が一般的に用いられています。この方法をスリット法と呼ぶ。

これに対し,エッジ法は,エッジを撮影して得られたエッジ像を微分しLSFを求め,それからMTFを測定する手法です。

・点を用いる方法

・線を用いる方法

 ・エッジを用いる方法

・コントラスト法

コントラスト法では,いろいろな周期をもつ正弦波の入出力コントラスト比によってMTFを求めることができます。

が、実際には,異なる周期をもつ正弦波をX線分布で得ることが技術的に非常に困難です。

 

そこで,いろいろな周期をもつ矩形波テストパターンを撮影して,矩形波の入出力コントラス比を求め,その後コルトマン補正によって正弦波の入出力コントラスト比を求める方法が通常用いられている.

 

この手法は,矩形波レスポンス関数(square wave response function:SWRF)法,または,矩形波チャート法と呼ばれている.