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I.I-DRとFPDの違いとは?

現在のX線透視透視装置はI.I(イメージインテシファイア)かFPD(フラットパネルディテクター)が搭載されているものが主流となっています。それどころか、時代はFPDへの移行が進み、I.Iを使用している施設はどんどん少なっているといえるのでしょう。

 

この二つの機器は、どちらも入射されたX線から画像を作りだす装置ですが、その機能には明らかな差があると言われています。

 

では、なぜ、I.IではなくFPDに変化しているのか?

 

この二つについて比較してみたいと思います。

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I.I-DRの登場によって?

まずは、I.I-DRシステムについてまとめてみましょう。

 

I.I-DRシステムとは、透視と撮影両方を行うことが出来る装置のことを言います。

 

以前、X線フィルムが最も主流だった時代でも、I.Iは使用されX線から透視画像(リアルタイムで観察できる動画)を作り検査や治療に使われていました。

が、I.Iだけでは、記録として残すX線画像の撮影は行うことができませんでした。

 

そのため、装置にフィルムを何枚ストックしておけるかによりますが、1~10枚を撮影する毎に操作室から検査室に走ってフィルムを交換してから検査を再開するような時代だったのです。

 

しかし、現、若い技師たちは思うかもしれません。

 

「自分の施設ではI.Iを搭載している装置を使用しているのにフィルムの交換などしたことがないではないか!!!」と。私自身もそうです。

 

では、どうやってフィルム交換せず撮影を行っているのか?

 

それは、それまでにない機能が追加されているということになります。

 

それが、DRシステムです。

 

このDRはデジタルラジオグラフィーの略であり、つまり、現在液晶の画面で見れるような、デジタルX線画像を撮影できる機器のことです。

 

リアルタイムに透視画像を見れるI.IとデジタルのX線画像を撮影できるDRの組み合せてI.I-DRシステムと呼ばれるようになります。

 

これが出現してからは、明らかに作業効率がアップしたのだと思いますし、フィルムの交換に走る時代が終わりを告げたのでしょう。

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I.I(イメージインテシファイア)とは?

では、I.Iとはどんものでしょうか。

 

I.Iは、入力面、光電陰極、集束電極、陽極および出力面を真空内に構成したものです。

 

そして、入射されたX線は以下の順に画像へと出力されることになります。

 

・画像出力までの機序

➀ヨウ化セシウムで作られた入射面にX線が入射。

 

➁入射面(CsI)の内側(光電面と呼ばれる)でX線⇒電子変換される。

 

➂変化された電子は、集束電極から発生する電界の影響を受けて、集束加速されながら衆力蛍光面まで進む。(電荷のないX線は曲げられないため、電子に変換し電磁場で収束させる。)

 

➃可視光となって出力される。

 

➄TVカメラで撮影し、透視画像出力する。

この一連の流れを、示したのが下の図になります。

I.I原理

ちなみに、I.Iの有効入力面は直径23cm~40cmで視野サイズの切り替えが可能なものが多い。 出力面口径は20mmから30mmが一般的です。

 

そして、I.I装置自体は入力面が円形状であり、出力される画像で円形視野で出力されます。

画像の視野が円形

なので、TV画面のような矩形なら写る領域も写らない、また、入力面が丸みを帯びているため、中心と端では空間分解能に違いが画像の歪みとなって現れるのが特徴です。

 

I.I-DRの利点と欠点

・利点

➀撮影線量の低減(フィルム撮影に比べて)
➁画像処理
階調変換やエッジ強調など画像処理によって、診断能を向上させる。
➂リアルタイム動画表示
➃連続撮影
➄デジタルの利点
画像の保存・ハードコピー作成、ネットワークの活用、フィルムレス

 

・欠点

➀大きな視野では空間分解能が低い
(視野を小さくするほど、空間分解能はよくなる)
➁低濃度域ではコントラストがよくない

➂視野が円形である

➃ハードコピーがライフサイズではない

➄ノイズ
画面のざらつき

➅画像の歪みがあり、計測精度が低い
I.Iの端にいくほど、歪みがでやすい。

➆経年劣化が激しい。

FPDとは?

FPD(フラットパネルディテクター)は、薄型で大面積の液晶モニタの技術を応用したもので、X線情報を電気情報に変化し画像出力する。

 

そして、X線を電気信号に変える過程の違いによって、2種類に分けられます。

 

それが、直接変換方式と間接変換方式です。

 

・直線変換方式(a-Se)

入射されたX線を直線電気信号に変換する。

・機序
➀X線の入射
➁a-Se(アモルファスセレン)でX線に応じた電子を発生させる
➂電荷を薄膜トランジスタに蓄積
➃電荷を出力し、画像データ出力

・間接変換方式

入射されたX線を一度、光信号に変換してから電気信号に変換する。

・機序
➀X線の入射
➁X線変換膜(CsI:ヨウ化セシウム)で可視光に変換させる
➂フォトダイオードで可視光から電子に変換
➃薄膜トランジスタに電荷を蓄積
➄電荷を吐きだし、画像データ出力

 

・直接変換方式と間接変換方式の図

FPDの利点と欠点

・利点

➀画像がDRおよびF/Sシステムに比べて鮮明

➁DRよりもノイズが少ない

➂空間分解能や濃度分解能はDRやF/Sと同等以上
FPDがでるまでは、空間分解能はアナログであるフィルム/スクリーンが最高だった。

➃撮影線量はDR9インチとほぼ同じ 総量としてはDRよりも低減

➄DRの有用な機能をすべて備えている
連続撮影、リアルタイム動画表示、画像処理

➅視野が正方形

➆F/Sシステムで行っていた検査法とDR用の検査法との併用が可能
読影時の診断能が向上する

➇経年変化が少ない。

 

・欠点
➀パネル自体が高価

➁直線変換方式では、透視画像の画質が不十分。
透視画像の画質 直線変換方式<間接変換方式
 撮影画像の画質 直接変換方式>間接変換方式

I.I-DRとFPD