レントゲンでは、X線管球と被写体、フィルム間の距離の関係で画像が拡大したり、ボケたりします。
この関係を理解することは綺麗な画像を抵抗するうえで重要な事柄の一つです。
そこで、今回は拡大率と半影の関係についてまとめたいと思います。
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拡大率の関係とは?
まず、なぜレントゲン画像上で実物よりも大きく写るのか考えてみましょう。
この答えには、照射されたX線がどうやって空間や物質内を進みフィルムに入射されているのかが関係しています。
X線には、放射状に広がりながら進むという性質があります。
これは、 発生地点(焦点)から距離が離れるほどに照射される面積は大きくなるということです。(その代わりX線は遠くに行くほど弱くなりますが・・・)
その様子を表したのが下の図です。
さらに、X線は人やモノなど、物体を透過する性質を持っており、 レントゲン画像とは、透過したX線の量を画像化したものです。
ただ、この時、X線が体をどのように進んでいるのかということに注意しなければなりません。
X線は人の体内を通過するときも、放射状に広がりながら進むため、体に入射されたときと透過して出てきた時では、照射されている面積が異なっているのです。
そして、透過したX線を受け取るフィルムまでも同様です。
体を透過したX線は骨や臓器の情報を取得しながら進みますが、情報を取得したX線は底からフィルムまで最短にまっすぐ進むのではなく、放射状に、斜めに向かいながら進むことになります。
すると、体の右側を通過したX線はより右側に左側を通過したX線はそこよりも左側に向かって進むことになります。
結果、情報を得たX線はその時点よりもフィルムに届くまで広がってしまい、広がった先でフィルムに入射してしまうために画像上では本来よりも大きな像となってしまうのです。
では、具体的に、どの程度、画像上に写る像は拡大しているのでしょうか。
それを求めるために式があります。
a:焦点-被写体間距離
b:被写体-フィルム間距離
これは、一般的な写真でも同様です。遠近法を使って写真を撮ると、人と東京スカイツリーが同じ大きさに見えたり、実際の人が手の平に乗っているいるかのような面白い写真を撮ることができますが、これは、光が放射状に進んでいると性質を持っており、遠くのものを小さく見えるために行うことができるのです。
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拡大像の利点と欠点
ついでに拡大像の代表的な利点と欠点を理解しておくといいでしょう。
人の目では微生物など極々小さいものに関して肉眼で観察することはできません。それらを観察するには虫眼鏡や顕微鏡など拡大する機器が必要なのです。
同様に、人の体の構造の中には小さく・細かい領域が多く存在します。
いくらその部分を、レントゲン画像で撮影しても、小さいものを小さいまま撮影しても観察することができません。
そこで、拡大する機器を使う代わりに、拡大して撮影するのです。
すると、小さいものでも、大きく見やすい画像となって観察することができるようになります。
しかし、拡大撮影は良いことだけではありません。
むしろ、学校では悪いこととして教えられる機会が多いといえます。
原因は主に2つあります。
1つ目は、体の前と後ろにある構造物では拡大率がことなってしまうということ。
例えば、胸部のレントゲンを撮影する場合。撮影したことがある方は知っているかもしれませんが、通常、胸のレントゲンは胸側(体の前側)をフィルムに密着させて撮影します。これは、心臓が体の前側に存在するためであり、心臓が画像上に拡大して写ってしまうことで、心拡大など病気の誤診を防ぐためです。
しかし、病院では起きて撮影することが出来ない方もいます。その場合、仰向けで寝ている状態で撮影することになるのですが、フィルムは背中がに配置する個となってしまうのです。すると、体の前側にある心臓は、胸側にフィルムを配置したときに比べて拡大して写ることになってしまいます。
2つ目の欠点は、画像がボケるということです。
レントゲン画像に限らず、拡大した画像はボケてしまうのです。
これを半影というのすが、画像がボケるということは、構造物の区別が付きにくく、正確な診断が行えないことにも繋がります。
そのため、拡大させ過ぎては逆効果になってしまうのです。
ちなみに、半影の大きさを求める式もあるので紹介したいと思います。
F:焦点の大きさ
a:焦点被写体間距離
b:被写体フィルム間距離
M:拡大率
不要な拡大を避けるには?
最後に不要な拡大像を避けるためにはどのようなことを注意すればよいのか列挙したいと思います。
・焦点-被写体間距離を大きくする
・被写体-フィルム間距離を小さくする
・焦点をサイズを小さくする
といっことに気を付け、時には、逆に利用することでうまい画像を撮影できるようになります。