血管内に注射された、ヨード造影剤の98~99%は腎臓から尿となって排泄されます。
静脈性腎盂造影検査(IVP;Intravenous Pyelogram)は、造影剤の排泄機序を利用して、腎臓から膀胱まで造影剤が流れる様子をX線を使って観察し、レントゲン写真を撮る検査です。
腎臓、尿管、膀胱の形態や機能(尿の流れ)を見る検査として、長い間行われてきました。
同様の検査として、点滴注入腎盂造影(DIP;Drip Infusion Pyelography)というのがありますが、造影剤を点滴でゆっくり注入するかインジェクターという機器を使って早めに注入するかが異なります。
IVP検査はインジェクターで急速注入する検査です。
今回はこの検査の受け方について紹介したいと思います。

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どんなことがわかるの?
主な検査目的は4つです。
ⅰ.尿路結石の有無
最近は単純CT撮影のほうが精度が高く、確実です!!
ⅱ.尿路の通過障害の有無
ⅲ.腎臓・尿管・膀胱の形や機能異常の診断。
ⅳ.炎症性病変の経過観察
尿路系を見る検査ですが、泌尿器科に通院している方だけが受ける検査ではなく、子宮や卵巣の病気への手術が計画された場合、手術前に尿路系に病気がないのか手術の影響(傷つけたり、機能不全になっていないか)が尿路系でていないかを確認する意味で行うことがあります。
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尿路の解剖を少しだけ知ろう!!
検査を理解するためにも、少しだけ尿路の解剖を下に載せます。
IVP検査では、下図で黒くなっているところを見る検査になります。
この部位を造影剤が流れていくの観察します。
検査前
この検査はヨード造影剤を使用します。
そのため、検査の4時間前から飲食が禁止になります。
ただ、水やお茶を少量飲む程度なら大丈夫です。
また、検査直前には一度トイレに行き、出せるだけ尿を出してください。
これは、膀胱に尿が溜まっていると、膀胱までながれた造影剤が薄くなり観察しにくくなるためです。
どんなことをするの?
大体の検査の流れは以下のようになります。
①造影剤を注入する前の腹部単純X線像を撮影。(一般的なお腹のレントゲン)
造影前に、消化管ガスの状況や別日に行われたバリウムなど造影剤が残存していないか、石灰化がないか確認を行います。
X線像では造影剤は白く写ります。造影剤を注入後、尿路以外に白いものがあると造影剤の影響で白く写っているのか、元から白く写る病気の一種なのか判別がわかりにくく、誤診の原因となります。この対策として最初にまっさらなレントゲンを撮るのです。
例えるなら、引っ越しの際、出るときを考え、後で揉めないように前もって入居先の部屋の傷を記録しておくようなものです。
この撮影はKUB撮影と呼ばれているもので、肝臓下縁から恥骨結合まで撮影します。KUBとは腎臓(kidney)、尿管(ureter)、膀胱(bladder)の頭文字を取ったものです。
➁造影剤を注入します。
注入量は体重によって異なることもありますが、50~100mlを1秒間に0.8~1.0mlくらいの速さで注入します。
➂注入終了直後に腎臓のみを撮影。(施設によっては撮影しないところもあります)
造影剤の注入直後は腎臓に高度の造影剤が存在し、もっとも濃く描出されております。そのため、腎臓の輪郭がはっきり確認できます。
左右の濃度差や腎臓の直径など測定するのに用います。
➃注入5分後に寝たまま⓵と同じ範囲を撮影。
腎実質がわずかに見られ、腎盂腎杯内に造影剤が溜まっている状態です。
多くの人は、尿管にも造影剤が流れているのが確認されます。
腎臓・尿管・膀胱の形態情報を経過時間毎に観察します。
➄注入10分後に寝たまま⓵と同じ範囲を撮影。
5分後の撮影時よりさらに造影剤の排泄が進み、ほとんど全ての尿路系の造影像が見られます。
腎、腎盂、腎杯などの形態的な変化、尿管の走行・屈曲・拡張・狭窄の有無、結石との関係、膀胱の形態などを観察します。
➅立った状態で撮影。
立位時の腎臓・尿管・膀胱の形態を観察します。
遊走腎の場合、寝ているときに比べ、約10㎝ほど下垂することがあります。
➆トイレに行き、尿を出す(排尿)。
この時点で、膀胱に溜まっている造影剤を排出するのが目的です。
➇排尿後、➀と同範囲を撮影します。
残尿の程度から膀胱の尿排泄機能を評価することができます。
また、膀胱内に溜まった造影剤で見えなかった、膀胱流入部の尿管を描出します。
膀胱の小さな病変、膀胱憩室を観察するのに適しています。
これで、終わりです。造影剤が尿路なって排泄されるのを待って進めるため約20~30分かかる検査です。
ただ、尿の排泄機能は個人差があり、病状にも影響されます。
その状態によっては、撮影が追加されたり、検査時間が延長されることがあります。
どんな写真を撮るの?




検査後
ヨード造影剤は尿から排泄されるため、普段より多めの水分を摂って、なるべく尿を出すようにしてください。
また、後になって発疹など造影剤の副作用が起こることがあるため、その時は近くの病院にかかってください。
それ以外は、普段通りの生活に戻って大丈夫です。
検査で気を付けることは?
検査には、CTなどで使われるのと同じヨード造影剤を使用します。
喘息や以前にヨード造影剤でアレルギーの既往歴があるかたは受けることができません。その場合には、必ず申し出てください。
最近では・・・
最近では、CT・MRI検査でも尿路系の検査が行われるようになりました。
そして、CT・MRIのほうが、一度に得られる情報が多いので、診断的意義も高く、IVP検査は減少傾向にあります。
ただ、CT検査のほうが被ばく線量は多く、時間もかかることがあります。
また、MRIも体内に金属を持っていたり、ペースメーカーがあると受けることができないのと、これまた時間がかかります。
どれがいいのかは、場合によって違います。