ヘリカルCT撮影では必ずでてくる用語がピッチです。ピッチとは、どれだけ寝台を早く動かして撮影しているのか?(正確には違うと言われそうですが・・・)
という、指標を示したものです。
でも、このピッチとは視点が変わるだけで、名前が変わり、数値が変わるのでややこしくなってしまうものです。
また、医療機器メーカーでも基本数値が違うので、メーカーの異なる施設間の人と話すとさらにややこしくなってしまうのです。
そこで、今回はピッチの用語の違いをまとめてみたいと思います。画質への影響については、また別の機会にやりたいと思いますので、今回はあまり触れませんのでご了承ください。
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主なピッチは二つ
と、仰々しく書いてしまいましたが、おさえるべきピッチは主に2つです。
それが、
・ピッチファクター
・ヘリカルピッチ
です。
ただ、この二つがビームピッチであったり、ディテクターピッチでなど色々と言葉を変えて出てくるのです。
ちなみに、
・ピッチファクター=ビームピッチ
・ヘリカルピッチ=ディテクターピッチ
と表現されることもあるので、一緒に覚えておくと良いでしょう。
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ヘリカルピッチとは?
では、さっそくヘリカルピッチとはどういった指標なのでしょうか。
ヘリカルピッチとは、検出器の幅に対して、管球が一回転する間に寝台がどの程度移動したかを表すものです。
式で表してみると、下のようになります。
寝台の移動距離とは、まさに言葉の通りになるのですが、では、コリメーション幅とは、CT検出器の一列分の幅のことです。
例えば、64列のCTで、一個の検出器が0.5mmであれば、コリメーション幅は0.5mmになりますし、0.5mmを2個使い1mm×32列の検出器として使用して撮影するのであれば、コリメーション幅は1mmとなります。
つまり、コリメーション幅とは、検出器の最少値ではなく、一個の検出器とみなした幅の大きさを表したものなのです。
このことを踏まえて、0.5mm×64列のCT管球が一回転する間に、寝台が32mm動いたとしたときのヘリカルピッチは
ヘリカルピッチ=32mm/0.5mm=64となり、ヘリカルピッチ64となります。
ヘリカルピッチ64とは、一回転する間に検出器の幅と同じ分だけ寝台が動いたということを表しています。このように検出器を基準にした指標であるため、検出器を英語で表したディテクターと合わせて、ディテクターピッチと表現されることもあります。
ピッチファクターとは?
では、一方でピッチファクターとはなんのでしょうか?
ヘリカルピッチでは、検出器の幅(コリメーション幅)に対する、寝台の移動距離を表していました。が、ピッチファクターとはX線のビーム幅を基準にした寝台の移動距離を表したものになります。
そのため、ビームピッチとも呼ばれているのです。
どういうことかと、まず式から見てもらうと、
例えば、64列CTにおいて、スライス厚0.5mm×64列のヘリカルスキャンと行うとします。X線を0.5mm×64列=32mm分広げて照射して行う撮影であるともいえます。
この時に寝台をどれくらい動かすかで、ピッチファクターの値が変化することになります。もし、一回転する間に32mm動いていれば、ピッチファクターは1になりますし、16mm動かしていれば、ピッチファクターは0.5となります。
ヘリカルピッチとピッチファクターの関係とは?
医療機器メーカごとにどちらのピッチを採用しているかは様々です。
なので、ある企業のでCT装置ではヘリカルピッチで表現されていれば、他の企業ではピッチファクターで表現されているということになります。この二つの指標は学会等でどちらも飛び交うことになり、混乱することがあります。
が、安心してください。
ちゃーんと、お互いに変換する式が存在するのです。そのポイントとなる値が、CT装置の検出器列数です。
どういうことか。
ヘリカルピッチを検出器列数で割るとピッチファクターになり、ピッチファクターに検出器列数を乗するとヘリカルピッチになるのです。
つまり、
・ピッチファクター=ヘリカルピッチ/検出器列数
・ヘリカルピッチ=ピッチファクター✖検出器列数
ただ、このときの最大の注意点があります。ここでいう、検出器列数とは、撮影時に使用した検出器列数を表すということです。
例え、0.5mm×64列のCT装置でも、0.5mmの検出器を2個組み合わせて1mmの一個の検出器として利用し、撮影した場合には、上の式の検出器列数は32となります。
なので、検査時や学会、勉強会などでヘリカルピッチやピッチファクターがいくつなのかという数値が出た時には、検出器をどのように使って撮影したのかまで、必ず見ることが重要になります。