MRI装置を触れたことがある方が、時々、耳にするチャンネル数という言葉。このコイルは8ch、16chだの先輩技師たちは当たり前のようにいうかもしれません。
だけど、そもそも難しいMRIです。そんな中突然、チャンネル数と言われても、なにが違うのか理解しにくいと感じてしまいます。
そこで、フェイスドアレイコイルとチャンネル数について少しだけまとめてみたいと思います。
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検出チャンネル数とは?
フェイスドアレイコイルに使われる用語のことで、主に32chヘッドコイルだの、16chボディーコイルなどという言葉で使われています。
では、そもそも、フェイスドアレイコイルとはなんなのでしょうか?
フェイスドアレイコイルとは、撮影する部位に配置する表面コイル(サーフェイスコイルともいう)をいくつも組み合わせたコイルのことです。例えば、32chヘッドコイルであれば、下の図のように32個もの表面コイルが配置されているものをいうのです。
このように、このコイルは16chだよと言われれば、16個のコイルが配置され、64chだよと言われれば、64個もの表面コイルが配置されているのがフェイスドアレイコイルなのです。
実際、中身があらわになっていると、なんて原始的な・・・という感じはするかもしれませんが、このコイルは現在のMRIでは欠かせないものとなっています。
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フェイスドアレイコイルの効果
フェイスドアレイコイルは、大きく3つの効果をもたらしてくれました。
・強い信号強度
フェイスドアレイコイルは、それまで一個のコイルしか配置されていなかった表面コイルに比べて、多くのコイルが配置されています。その分、患者さんから多くの信号を受け取ることができるのです。(感度がよい)
多くの信号を受け取り処理することが出来るというのは、そのまま画質向上に繋がり、より詳細な検査を行うことができるようになったとなるのです。
ということは、多チャンネルのフェイスドアレイコイルを開発すれば、どんどんMR画像は綺麗になるということになるのですが、実際にはそう簡単にいきません。
画像を再構成する際に受け取る信号には画質に良い影響を与える信号と悪い影響を与える信号(ノイズ)が同時に入ってくるためです。ノイズが多くなりすぎると、診断用の画像としては使えなくなります。
そのため、開発には信号とノイズの比(SN比)を担保できているのかというのが、大きな要素となってくるようです。
・大きな撮像視野
表面コイル一つというのは、上の画像の一つのコイルなので、とても狭い領域しか撮影できないことになります。ただ、この表面コイルを沢山広い範囲に配置することで、広い領域の撮影が可能になったのです。
また、感度が上昇していることから、それまで苦手だった体の深部の撮影も良好な画質を得ることができるようになったんのです。画質の劣化が激しかった体格の大きな人でも、良好な画質が得られるようになったといえます。
・早い撮像時間
フェイスドアレイコイルでは、撮影時間の短縮も可能です。このコイルで行う高速撮像法は、位相エンコードステップを間引くことで撮像時間を短縮します。
ただ、位相エンコードの間引きによって得られる画像は、折り返しアーチファクトを生じるため複数のコイル素子で得られた感度分布をもとにして折り返しの無い画像に展開するという工夫が必要になります。
ちなみに高速撮像は、医療機器メーカーによって名前が異なります。
もしかしたら・・・
フェイスドアレイコイルのように沢山の表面コイルを配置しなくても、大きなコイルで十分なのでは?
と思うかもしれませんが、ダメです!!
コイルの感度は流れる電流に比例して大きくなります。ただ、コイル半径(輪っか状なら)に反比例して抵抗が大きくなってしまい、コイルに流れる電流が弱くなってしまうのです。
結果、感度が悪くなるため信号を受け取れない、信号量の低下がSN比の低下という悪循環をもたらしてしまうのです。
なので小さな表面コイルをたくさん並べて同時に信号を得てSN比を低下させることなく
広い範囲が撮像できるフェイズドアレイコイルが主流になっているのです。