脳ドックを受けるときなどよく見られるのが、
【頭部MRIと頭部MRAの二つを行います。】
という記述です。
そのためか、実際に検査に訪れた方には、
「MRIとMRAってなにが違うの?」
と尋ねられるものです。
ぼくも最初は、どういう意味で聞いているのだろうと思ってしまったものです。
でも、色々な検診のホームページを見てみると、頭部MRIとMRAは別の検査であるかのような印象を受ける場合もあります。
勉強して知っている人には当たり前だと思っていたことでも、初めて関わる人には当たり前どころかややこしい一面があるのだと知ったものです。
ということで、「MRIとMRAの違いとはなにか?」という疑問に挑戦してみたいと思います。
少しでも納得していただければ、幸いです。
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結論からいうと・・・
上の前置きの時点で、想像がついた方もいるかもしれませんが、MRAとはMRI検査の一種です。
どういうことか?
MRAとはMRI装置で行う、血管だけに特化した撮影のことをいうのです。
なので、よく頭の血管を撮影するときにMRAという言葉が使われていますが、MRI装置で血管に特化した撮影を行えば、それはどこの部位を撮影してもMRAと呼ばれていることになります。
そもそも、MRIとはMagnetic Resonance Imagingの略を表しています。
これを直訳すると、磁気共鳴画像となるのですが、磁気を使って撮影する画像をすべてMR画像と呼ばれていますが、MRAもMRI装置を使って撮影している以上、磁気を利用した画像なのは変わりありません。
なので、少し図で表すならば・・・
といった感じで、MRAとはMRIのなかに含まれていることになります。
MRI装置で血管を撮影した画像、それがMRAなのです!!
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なぜMRAと呼ぶのか?
では、なぜ、わざわざ紛らわしくもMRAなどと呼ぶのでしょうか?
実は一回で行うMRI検査では、色々な種類の画像を撮影することになります。
その画像、一つ一つにも名前があり、T₁強調画像やT₂強調画像なんて名前で呼ばれているのです。
そして、どんな画像が必要なのか、医師と検査技師で共有するためには名前とは欠かせないものです。
そこで、血管を撮影するMRAには、以前から行われていた血管造影検査(Angiography)に代替えする検査として(正確には完全に代替えにはなっていませんが)、MRAngiogyaphy略して、MRAと呼ばれるようになったのです。
MRAがMRIと区別して宣伝に使われるのは・・・
その技術の高さを強調したい、ここまで今は検査できるんだぞ!ということを表現したいという施設側の意図が見られるように感じます。(個人的にはですよ)
今でこそ、MRIが当たり前のよう受けられるようなって、血管を非侵襲的に検査できるようになりましたが、それまでは血管造影検査が主流でした。
むしろ、血管の検査と言えば、血管造影検査(アンギオグラフィー)だったのです。
しかし、受けた方はわかるかもしれませんが、アンギオグラフィとは、血管に直接カテーテルを挿入し、造影剤を流しながらX線画像を撮影するという検査のため、入院が必要なほど侵襲性が高い検査です。
それに比べて、MRAはMRI装置に入るだけで行える検査です。
カテーテルの挿入も造影剤も必要ありません。
それなのに、血管の検査ができて、動脈瘤だって発見できますよというのは大きな利点であり、ここまでできるんだぞというアピールにもなるだと思います。
もちろん、血管に特化した検査もきちんと行って、病気を確実に早期発見するために全力を尽くしていますというのを表現しているのかもしれませんが、どうしても技術の進歩や装置の凄さを宣伝に使われているのは、明らかのようにも感じられるのです。(信用のためには大事なのですが)
最後に
画像の違いについて、少しだけ触れたいと思います。
MRIとMRAの区別をされている場合、以下のように表現されていることが多いです。
・MRI⇒輪切りの画像
・MRA⇒血管の画像
この二つの画像を例に、下に示して終わりにしたいと思います。
・MRI
症状の伴わない『隠れ脳梗塞』や『脳腫瘍』、『脳出血』など脳の疾患を発見することができます。
・MRA
脳ドックでは、一番左の画像が撮影されます。
そして、『脳動脈瘤』や『脳動脈閉塞』など、血管にまつわる病気の発見が可能です。