MRI検査では、患者さんは大きな磁石の中にいることになります。
この磁石のなかで、T₁強調画像、T₂強調画像、プロトン密度強調画像など様々な画像を撮影します。
一般論でいえば、T₁強調画像は解剖学的構造を把握するため最も適しており、T₂強調画像は病理所見を推定するのに役立っています。
今回は、検査部位ごとのMRI診断の用途をまとめてみました。
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脳
一般に、MRIは脳の病気の発見と診断に最も適した画像診断法です。
特にCTによる検査が困難な領域(後頭蓋窩、小脳など頭蓋の下側の後方部分)では、MRIはCTよりはるかに多くの情報を得ることが出来ます。
また、腫瘍や他の疾患では、MRIはCTよりも明瞭に病変を検出することができます。
白質にのみ病変を生じる疾患、例えば多発性硬化症でも、MRIは高い精度で病変を検出することができるのです。
ただ、脳MRIでもいくつかの欠点があります。
MRIでは、急性の出血がCTほど明瞭に描出されないことです。
また、検査中は患者さんのそばで様子を観察するのに適さないことと検査室内が強い磁場領域であるため、心電図などのモニタリング機器が使えないことために急性外傷患者さんおよび様々なバイタルサインのモニタリングを必要とする急性患者さんには、適した検査といえないことです。
こんな場合には、MRIよりもCTのほうが適した検査といえます。
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脊椎
脊椎およびその周囲の病変は、CTまたは脊髄造影よりもはるかに明瞭にMRIで描出することが可能です。
矢状断や冠状断では、1枚の画像に多数の椎体および椎間板を撮像することが可能になります。MRIでは椎間板ヘルニアをきわめて正確に検出することができるのです。
さらに、Gd(ガドリニウム)造影剤を使用することにより、術後に症状が改善されない場合に椎間板ヘルニアの再発なのか瘢痕組織のような術後所見とを区別することができるのです。
他にも、MRI検査では、非常に高い精度で脊髄の腫瘍を検出することも可能です。
心臓および血管
MRIでは、流れている血液は明瞭なコントラストを生じるため、造影剤を使用しなくても心臓腔および血管を描出することが可能です。
しかし、検査の質を向上させるために、抹消血管の検査の場合には造影剤の静脈投与が行われる場合もあります。
またMRIでは、冠動脈でさえも撮像することができます。冠動脈の撮像では、心臓の動きを止めた状態で描出するために心電図同期(ECG-gating)が必要になります。
心臓の解剖学的構造を調べる検査でも心電図同期を行う必要があります。
したがって、不整脈をもつ患者さんのようなケースで心電図同期が失敗した場合には、MRI検査の診断能が低下するか、または診断不能となるケースがあるのです。
心臓は呼吸の影響もうけます。
そのため、心臓MRI検査は、息止めで行うか、あるいは呼吸同期のもとで行われる必要があります。
呼吸同期撮像は、いわゆるナビゲーターエコーを用いて行うことができます。これは、呼吸運動の指標として横隔膜の動きを記録するもので、横隔膜が全く同じ位置にあるときに測定されたデータを画像作成に利用します。
大動脈の診断は、MRIによって造影剤を使用しなくても簡単に行うことができるようになりました。解離性動脈瘤の診断に特に有用といわれています。
肺
肺疾患の診断は、胸部X線写真およびCTで行うのが一般的です。
肺のMRIでも病変を検出することが可能とは言われていますが、肺には陽子の含有量がすくないため、検出能はCTには及ばないといえるでしょう。
乳房
現在、造影剤を用いて施行されるMRマンモグラフィが乳腺腫瘍の重要な診断モダリティになっています。
浸潤性乳がんおよび非浸潤性乳菅ガンにおけるMRマンモグラフィ診断の信頼性は高く、X線マンモグラフィよりも正確に病変を診断できます。若い人は、乳腺組織が残存していることからX線マンモグラフィでは色々な問題を生じることがあります。
しかし、MRマンモグラフィでは、インプラントを有する患者に手術が施行される場合でも、インプラントの周辺あるいは後方部分も検査することが可能なのです。
肝臓
MRIによる肝腫瘍の検出はかなり進歩しています。
これは、MRIの撮影法の改善結果であり、造影剤の使用の結果によるものでもあります。
肝臓は組織特異性造影剤が初めて用いられた臓器であり、通常のMRI用造影剤は体内でX線用造影剤と同様の挙動を示しますが、組織特異性造影剤はX線用造影剤とは異なる体内分布をとります。
肝臓特異性造影剤には2種類あります。
正常な肝組織に存在するクッパー細胞に取り込まれるもの(SPIO)と正常な肝細胞に取り込まれるもの(Gd-EOB-DTPA)です。
いずれの造影剤も、正常な肝臓の信号を変化させます。
SPIO投与後は、T₂強調画像で、正常感は低信号に描出されます。対して、Gd-EOB-DTPA投与後は、肝臓はT₁強調画像で高信号に描出されます。
肝特異性造影剤を投与すると、正常な肝臓と肝腫瘍との間に明瞭なコントラストを生じさせ、腫瘍を正確に検出することができます。
腎臓
造影剤を投与しなくても、腎臓の皮質と髄質を識別することが可能です。
MRIは、CTで腎病変の診断が困難な場合に用いられ、腫瘍なのか非腫瘍性なのかを判断することができます。
また、MRIは腫瘍の周囲血管に浸潤することが多い腎腫瘍の正確な病期診断にも使われています。
副腎
副腎はCTでも、描出が可能です。
しかし、副腎は腫大していたり、結節や腫瘤ができることもあります。このとき、正常なのか、あるいはなにかの腫瘍性の病変なのか判断が困難となるケースは少なくありません。
MRIでは、病変が腫瘍性病変か非腫瘍性かを判断することが可能です。
血管
脳の血管などをはじめとして、MRIでは造影剤を使用することなく血管を描出することができます。
さらに、撮影法によっては、血流情報まで得ることが可能です。
骨盤領域
骨盤領域はMRIにとって、優位性の高い検査といえます。
骨盤内の腫瘍(子宮、卵巣、膀胱、精嚢、前立腺にできた腫瘍)の発見には、他の検査でも可能ですが、発生部位とその正確な範囲の特定には欠かせないものとなっています。
出典:www.k-k-clinic.jp-
骨疾患
軟骨、靭帯、腱および半月板などの検査がk能であり、その描出能に関してはCTよりも優れているといえます。
一方で、高度に石灰化した小病変を検出することに関しては、CTのほうが優れているため、目的によって使い分けが必要です。
また、MRIでは関節病変に対して、非侵襲的に正確な診断が可能であり、整形外科疾患では、重要な検査となっています。
さらに、骨軟部腫瘍の正確な病期診断も可能で、CTや超音波検査および血管造影検査よりも優れている点が多いのです。