日本人の死亡原因の第1位ガンです!!
男性では45~89歳、女性では35~84歳の間で死亡する場合はガンが最も多いそうです。
ガンは今や2人に1人がかかると言われるほど、他人事ではない病気です。
また、2013年の調べによると死亡数が多いガンの出来る部位は
男性:1位 肺
2位 胃
3位 大腸
女性:1位 大腸
2位 肺
3位 胃
つまり、男性・女性ともに1~3位に占める部位は同じであり、上記の年齢の方はこの3つのガンに対する予防や検査が重要だということです。
しかし、調子が悪くならなければ病院に行かないと言われる日本人は、病気が進行してから病院に行くケースが多く、その時になって自分の状態に初めて気づくものです。
病気が進行し、治療に時間がかかるような状態になる前に、毎年検診(人間ドック)にかかり、自分の身体の状態を把握することで、病気ができても早期治療が可能になります。
そこで、肺、胃、大腸の人間ドックにおける検査の受け方についてお伝えしたいのですが、一度に3つは多い・・・ので、今回は胃のバリウム検査の受け方についてのみにします。
よろしくお願いします。
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バリウム検査とは?
バリウムと発泡剤(胃を膨らませる炭酸ガス)を飲んで食道から胃の病気を見つけるための検査のことです。
通常、食道や胃といった消化管はX線で撮影しても、その中にあるガスが見えるだけで、ガンがあるか判別することはできません。
そこで、発泡剤で胃を膨らませてからバリウムを飲んでもらい、食道や胃にバリウムを付着させることで、病気を発見できます。
病気がある場合には、バリウムが溜まる・はじくといった状態が観察されます。
はじく場合:ポリープや隆起性のガンや良性腫瘍
溜まる場合:胃潰瘍、陥凹性のガン
ちなみに・・・
よくバリウムと内視鏡検査(胃カメラ)の長所と短所を聞かれるので、ここで簡単にまとめてみようと思う。
●バリウム検査
・長所:
費用が安い
胃全体像がわかる
食道や胃の動き、食べる様子を確認できる
・短所:
異常が見つかると、後日胃カメラが必要
検査後、下剤を飲む必要がある
バリウムが出ない場合は腸で固まることがある
放射線の被ばくがある
●内視鏡検査
・長所:
カメラを通して、食道や胃の中を直接みることができる
微細な病変を診断できる
病気が疑われる場合、組織を取って顕微鏡検査がそのままできる
・短所:
費用が高い
食道や胃を傷つける恐れがある
咽頭麻酔など前投薬によるアレルギーを起こす場合がある。
で、少し余談になるかもしれないが、色々なところで言われているのは、バリウム検査でガンが見つかると内視鏡検査も後日やることになるなら、最初から内視鏡だけを受けておけばよかったということである。
この話、誤解があるようにも思えるのです。
どういうことかというと・・・
実際はその逆もあるということです!!
つまり、内視鏡検査でガンを見つけて手術をすることになっても、胃の全体像が分からないために、バリウム検査を追加で行うこともあるということです。
結局、どっちを先に受けても両方やることは珍しくないのが現実です。
先ずは、人間ドックを受けることが大切であり、自分にとって負担が少ないのを選ぶのも一つの選択肢と思われます。
検査前について
消化管検査の多くでは、検査前日から飲食に制限がかかります。
胃のバリウム検査の場合では、前日の夜9時以降の食事は禁止です。
さらに検査当日は、飲むこともできなくなります。が、それだとお昼前に検査になった場合、口が渇きバリウムを飲むのが苦しく、誤嚥の原因にもなります。
その場合は、口の中を水で湿らす程度にうがいをするといいでしょう。
もし、いつも週間で朝ごはんを食べてしまった場合、検査を受ける施設に相談するといいでしょう。
時間が経つから大丈夫と思われるかもしれませんが、胃の中はそう簡単には空っぽになってくれません。例え、バリウム検査をしても、胃の中に残っている食べ物が病気のように写ってしまったり、胃にバリウムが付着しにくくなり、発見できるはずの病気を発見できなくなることもあります。
可能であれば、後日に変更するのが、一番といえます。
せっかくお金を払い、検査を受けるのでそのような理由で受けても分からなかったという結果だけは避けるべきだと思われます。
検査の進め方
最近の人間ドックで実際に、レントゲン技師からどのような指示をだして検査が行われているか、公開したいと思う。
1.検査室に入ると・・・
検査台に背中を付けて立つよう指示を受けます。(履き物は検査台の傍で脱ぐ)
発泡剤を渡され、バリウムか水で流し込むように飲みます。(でないと口で炭酸ガスが発生してしまい、胃が十分に膨みません。追加の恐れあり!!)
炭酸ガスが発生し、胃が張って、ゲップをしたくなりますが堪えてください。
残りのバリウムは手に持ったまま待機。
2.食道の撮影【下図ⅰ】
食道は意外と長く、一枚の写真で納まらないため上部と下部にわけて撮影します。
バリウムを一口含み、「飲んでください」の合図に合わせて、ゴクリ!!
このときに上部食道を撮影します。
続けて、バリウムを数口ずつゴクゴクと飲んでください。続けて飲むと、下部食道が広がる瞬間があって、そこで撮影します。
撮影時は身体を動かさないことが大事なので、「動かないでください」と言われたら、一度飲むのを止めてもいいでしょう。焦って飲むと誤嚥の原因になりますので注意です。
バリウムを全部飲みほすと、食道の撮影は終わりです。
3.胃の撮影の前に・・・part1
検査台を倒します。
このとき、左側を向いたまま倒れていきます。
手すりをもって、しっかりと検査台にもたれかかることが大切です。
検査台が倒れきったら、仰向け(上向き)になります。
4.胃の撮影の前に・・・part2
身体を右周りで一回転します。これを3回続けて繰り返します。
胃液や胃の粘膜をバリウムではがし、バリウムを均一に付着させるためです。
ここでは、少し素早い動きが大切です。
素早い動きほど、バリウムの付着がよく、胃から腸へバリウムが流れにくくなるので、より効果的な検査ができます。
5.胃後壁の撮影(胃後壁正面像:下図ⅱ)
身体を回し終えると、すぐに撮影です。
まっすぐ仰向けの状態で撮影です。息を止めます。
6.胃の後壁の撮影(胃後壁第一斜位像:下図ⅲ)
仰向けの状態で撮影を終えたら、もう一度、右から一回転します。
仰向けまで戻ったら、身体全体を少しだけ左向きにします。(腰を持ちあげる程度)
その体制で撮影です。息を止めます。
7.胃の後壁の撮影(胃後壁第二斜位像:下図ⅳ)
もう一度右側から一回転します。(ここまで合計5回転です)
仰向けに戻ったら、身体全体を少しだけ右向きにします。(腰を持ちあげる程度)
その体制で撮影です。息を止めます。
これで、胃の背中側(胃後壁)の撮影が終了です。
8.次の撮影の前に・・・
仰向けの状態から、右側からうつ伏せになります。
その状態で、少し検査台が立たせていき、みぞおちにお腹を圧迫するような、小さな布団を入れます。お腹が圧迫されるためゲップを一番したくなるかもしれませんががまんです。肩に肩当を当てて、手すりを逆手で掴み、準備O.Kです。
9.胃の前壁の撮影(胃前壁正面像:下図ⅴ)
お腹が圧迫された状態のまま、段々と検査台が倒れて、頭が下になるように下がっていきます。
頭が逆さになって、頭に血が上りそうな状態で撮影します。息を吸って止めます。
撮影後、すぐに検査台は起き上がっていきます。
10.胃の前壁の撮影(胃前壁第二斜位像:下図ⅵ)
もう一度逆さになります。
その前に、少し右側を向き(腰を持ちあげ、ひねる程度)、体制を変えた状態で頭が逆さまになるまで、検査台が倒れてから撮影です。息を吸って止めます。
これで、頭が逆さまに検査の終わりです。
検査台が起き上がり、お腹を圧迫していた布団を外します。
11.胃上部前壁の撮影(胃上部前壁ー小弯:下図ⅶ)
左向きで検査台を倒して、仰向けに戻ります。
仰向けに戻ると、右向きからまたうつ伏せに!!
その状態で検査台が起き上がり、少し身体全体で左側を向きます。
その状態で撮影です。息を吸って、吐いて止めます。
12.胃の上部小弯(胃の内側)の撮影 part1-右側臥位二重造影:下図ⅷ-
右向き真横まで(90度)向き、撮影。
このとき、勢いをつけて身体を動かすとバリウムの付着がよくなります。
横向きで撮影です。息を止めます。
13.胃の上部小弯(胃の内側)の撮影 part2-半立位右側臥位二重造影:下図ⅸ-
右向き真横を向き(90度)、検査台を起こします。
身体を真横から、少しだけ仰向けに戻します。(個人差はありますが70度くらい)
撮影です。息を止めます。
14.胃の上部小弯(胃の内側)の撮影 part3-振り分け撮影:下図ⅹ-
45度近く、右を向き、胃の中のバリウムを上部と下部に振り分けます。
撮影です。息を止めます。
撮影後、仰向けに戻ります。
15.胃の上部大彎(胃の外側)の撮影:下図ⅺ
左真横向き(90度)になり、検査台が起き上がります。
少しだけ仰向けに(70度)に戻り、撮影になります。息を止めます。
撮影後、正面に戻り、完全に起き上がります。
16.胃の圧迫撮影:下図ⅻ
ここまでくれば、ゲップを我慢しなくて大丈夫です。(むしろゲップをしたほうがいいくらいです)
胃の4か所をX線で観察しながら、押されていきます。
痛かったら、すぐに申し出てください。肋骨を圧迫すると骨折の恐れもあります。
ここまで、約10分です。短時間に結構な運動量で、疲れる検査で有名ですね。
実際の画像
検査後はどうするの?
バリウム検査の場合、検査後にもやることが残ります。
それは、バリウムを出しきるために下剤を飲むことです。
下剤は施設によって、処方する種類と量が異なるかもしれませんが、容量と用法を守って飲むのが一番効果的です。そして、下剤を飲むときには、すぐにトイレに行ける環境のゆっくりした場所で飲むといいでしょう。
それでも、下剤だけでは効果が低い場合もあります。
そのため、昼食や夕飯をきちんとした量を食べること、普段よりも水分を多めに摂ることが重要です。
白い便がでて、いつも茶色い便に戻ればもう安心な状態と言えます。
ただ、バリウム検査1週間後までにX線を使った他の検査(レントゲンやCTなど)が予定されている場合は注意が必要で、検査担当者に申し出るといいでしょう。
十分なバリウムが排泄された場合でも、少量のバリウムが残っている可能性が高く、検査に影響を与える恐れがあるためです。
バリウムが出ない時は・・・
バリウムが排泄されるタイミングは個人差がありますが、検査の2~3日後までに出たと言う方が多い印象を受けます。
バリウムが出ない場合、腸のなかでバリウムが固まり腸閉塞(腸が詰まる)や腸管穿孔(腸に穴が開く)が起こる場合があるので、確実に排泄する必要があります。
検査後にバリウムがほとんど出ない状態が4日~1週間程度続くようであれば、一度病院で処置を受けるといいでしょう。
また、普段から便秘がちの方は多めに下剤を処方してもらうなど、事前に対策しておくと良いかもしれません。