エンドリークとは、腹部大動脈のステント治療後におこる、動脈瘤内の血流が残存している状態のことです。最近は、腹部大動脈瘤への治療法として、ステント治療(EVAR)が主流になっています。
ただ、ステント治療後にも経過観察は必要です。なぜなら、動脈瘤内に血液が流入してしまう恐れがあるからです。こうなると、動脈瘤内に圧力がかかり、動脈瘤のさらなる拡大や破裂などの危険性が残ってしまいます。
このエンドリークには便宜上Ⅰ~Ⅳまでの種類に分けられており、特にⅠとⅢは追加治療が必要なほどの事態です。この鑑別は、治療方針を決定する意味でも、とても重要です!!
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エンドリークの分類
・TypeⅠ
ステントグラフとの端(片方か両方)から血液が瘤内に進入している状態をいいます。
【原因】
血管とステントの接着が悪い。
治療計画時に予定していた位置とステントの留置位置がズレルことによって起こる。
【対策】
カフと呼ばれる、小さなステントを追加して端の部分の接着をよくする。
・TypeⅡ
動脈瘤から出ていた腰動脈や下腸間膜動脈などから血液が逆流している状態。
【原因】
瘤への圧力が下がることによるもの。
【対策】
経過観察。瘤径が増大するようであれば、追加治療。
・TypeⅢ
ステントグラフトのつなぎ目から血流が瘤内に進入している状態。
【原因】
ステントグラフトの構築不良。
【対策】
バルーンで圧着。消えない場合、ステントグラフトを追加。
・TypeⅣ
ステントグラフトの膜を透過し流入がある状態。留置直後に見られるが、いずれ消失するもの。他のエンドリークと紛らわしい場合がある。
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診断には?
ステント留置後の経過観察には、造影CT検査が一般的です。ただ、今までの造影CT検査ではエンドリークの有無は判断できても、どのTypeなのかとまでは判断できないことが多かったのです。
そのため、追加で血管造影検査を行い、TypeⅠかⅢの場合であれば、治療。TypeⅡかⅣであれば、経過観察と診断していました。でも、血管造影検査はカテーテル挿入をして行うため、CTに比べると侵襲性が高い検査といえます。
なので、検査には入院が必要なこと、カテーテル操作ミスによる、新たな合併症を引き起こすリスクを伴うことになります。
例え、経過観察で十分な場合でも、追加の治療を要する場合がでてきてしまうこともあるということです。そこで最近は、4DCT検査を行う施設も増えてきたようです。4DCTとは、面検出器CT装置を使い、造影剤を流しながら、決まった時間、何度撮影することです。
簡単に考えるのであれば、CT装置による動画撮影だと考えるとわかりやすいかもしれません。
ステントの部分を動画のように何度も撮影することで、エンドリークする瞬間を捉えることができるため、どの分類によるものか診断することが出来るので、血管造影検査のような侵襲性の高い検査を必要としません。が、被ばく線量が多くなるのが難点と言われています。
ただ、侵襲性が高い検査(血管造影検査)か侵襲性が低い検査(CT)では、確実に後者が増えるのではないでしょうか。