診断目的のために行われるX線血管造影検査は他の検査精度が上がっていることからも減少傾向にあります。
ただ、一方で、血管系のインターベンション、つまり、画像をガイドにした血管疾患の治療は逆に増加しています。
今回は、その種類についてまとめてみたいと思います。
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バルーン血管形成術
細くなった(狭窄)動脈にバルーンカテーテルを留置し、その語、風船部分を膨らませることで血管を拡張させる治療です。
バルーン血管形成術(PTA=percutaneous transluminal angioplasty、経皮的血管形成術ともいう)は、血管を再開通させるための重要な手段の一つです。
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血栓溶解術
通常、血管の狭窄は動脈の一部が徐々に狭小化し、最終的には完全に塞がります(閉塞)。最初は、閉塞は血栓によって生じます。
血栓が作られるうえで重要な成分はフィブリンというものですが、フィブリンは繊維網を形成し、その繊維網の間に血液細胞が蓄積し、補足されます。
さらに、血栓は経時的に変化します。
時間が経つと血管壁の組織が血栓を取り込むように増殖し、次第に血栓は器質化します。
しかし、フィブリンを溶解するフィブリン溶解剤を注入することによって血管を再開通することができるのです。
ステント
細くなった血管をバルーンカテーテルで拡張すると、狭窄部は一時的には拡張します。
が、バルーンを抜去すると元の狭窄した状態に戻ってしまうことも・・・。血管自体の弾性反跳や血管外からの圧力によるものが原因となるのですが、これでは、せっかく血流を再開させても無駄になってしまいます。
こんな場合は、ステントを使います。
ステントはカテーテルで血管内(または胆管)に留置することができる金属です。内側から圧力をかけて拡張させることで、内腔を開いた状態で保ち、血管が再度狭窄するのを防ぐのです。
それでも、一部の患者さんでは、血管内皮が非常に厚く増殖し、ステントの内腔が徐々に狭小化または閉塞してしまうことがあり、予防するために薬剤でコーティングされたステント(薬剤溶出ステント)を用いることがあります。ステントは狭窄または閉塞した血管だけを対象にしているわけではありません。
腹部大動脈瘤などの治療に用いられ、瘤のところにステントを留置することで、ステント管内のみに血流が流れるようにして、瘤内に血液が流れるのを防ぎます。そうやって、動脈瘤が破れてしまうことを防ぐのです。
アテレクトミー
動脈狭窄や閉塞の原因の多くは、動脈硬化症が原因とされています。これらの病変は、アテロームというものによって起こるものです。
バルーン拡張術は単に、血管壁を伸展させ断裂させることで、狭窄した部分の内腔を大きくします。が、アテレクトミーは血管を拡張する別の方法の一つです。
どんなことをするのか?
それは、特殊なカテーテルを使って、アテロームを削る、切り取ることによって血管内腔を大きくすることをします。
塞栓術
今までは、血管を拡張させるものがほとんどでしたが、IVRは開通だけが目的に行われることはありません。逆に塞栓術によって血管内に塞栓物質を入れて、を塞栓させることもあるのです
どんな場合に行うのか?
それが、手術が出来ない場合の止血です。塞栓物質は、大きさや材料など様々で非常に多くのものがあります。
一例としては、粒子状物質、離脱式バルーン、金属コイル、組織接着剤などです。
腫瘍焼灼術
腫瘍の治療に使われことがあるので紹介しましょう。組織はある限度を超えて加熱すると、蛋白質が破壊され、組織細胞が死滅します。
また、組織が凍結させた場合にも同様のことが起こります。
この作用を利用して、高温と低温作用を用いて腫瘍を局所的に治療するということができるのです。
この場合、局所麻酔下にて特殊な針を経皮的に腫瘍に穿刺します。続いて、穿刺した針を用いて、レーザービーム、RFプローブあるいはマイクロ波によって組織を加熱します。
また、冷却や凍結も特殊な針を用いて施行されます。
これらの手技は、超音波、CTやMRIなど、様々なガイド下で施行され、特にMRIでは、腫瘍の治療をリアルタイムで観察することができるので、期待が高まっています。
ドレナージ術
何らかの原因で、液体を排出できず、体内に溜まることがことがあります。
例えば、肝臓では、胆道閉塞を起こすと、胆汁が逆流して胆管が拡張し、結果として肝臓に障害をきたしますし、尿路閉塞は、尿の逆流を引き起こし、重篤な腎症に繋がり、感染によって膿がたまることもあります。
このような場合に、カテーテルを留置し液体を体外に排出する処置をします。
下大静脈フィルター留置
エコノミー症候群で知られる、肺塞栓症は死に繋がる怖い病気です。この肺塞栓症は通常、足の静脈にできた、血栓(血の塊)が血流にのって肺の血管まで運ばれてしまうことでおこります。
しかし、逆に、足の静脈でできた血栓を肺まで運ばれることがなければ、起こらないとも言えます。
そこで、血栓の通り道である下大静脈に血栓を受け止めるためのフィルターを留置することで、肺塞栓症による死亡を防ぐことができるのです。フィルターは一般には金属製のワイヤーで構成されており、カテーテルを通して留置されます。
血栓がフィルターに補足されると、一部は溶けてますが、一部は下大静脈の血流を妨げますが、肺動脈ほど生命に危険を及ぼすことはないので安心できます。