今回はCTを行う側の話になるかもしれません。CT検査では、FOV(Field Of View)という言葉が毎日飛び交うことになります。普通のFOVは画面に表示する範囲という意味で使われるのですが、収集範囲を意味する場合もあります。
この二つの違いをまとめてみたいと思います。
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ディスプレイFOV(DFOV)
『FOV』いう単語だけでは、こっちのFOVを意味していることが多く、DFOVと言われることもあります。
DFOVは収集したデータから、任意で画面上に表示させる範囲を示すものです。
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スキャンFOV(SFOV)
スキャンFOVとは、SFOVと省略されることもあります。CT画像では、よく表示されている画像が全てだと思われますが、よくよく見てみると、体部を撮影したときには、皮膚の一部が欠けて表示されています。
これは、「検査ではこの範囲が見れれば大丈夫です!」という範囲をDFOVで決められて、その範囲のみ表示されているからですが・・・
実は、体のデータはもっと広い範囲で収集されているのです。
どういうことか?
CTの画像データは、収集方法にもよりますが、ガントリー中心から半径50㎝までデータを収集することができます。
つまり、画像上に表示されていなくても、もっと広い範囲のデータが収集できているので、後からでももっと広い範囲の画像を作ることができるのです。
最悪、撮影が失敗と思われるような画像になっていても、
落ち着いて、もう一度再構成し直してみると、画像データがあることも・・・。
ややこしくなったら、
DFOV≦SFOV
とだけ覚えておくと、なんとなく思い出せます。
DFOVとSFOVを図で表すと・・・
なぜ、わざわざDFOVで撮影する必要があるの?
と思うかもかもしれません。
だって、みんなSFOV最大で撮影すれば、失敗も減りますから。
でも、DFOVを決める理由は、ちゃんとあるのです。
それは、空間分解能、つまり画像の解像度に影響するからです。
CT画像の画素数は512×512と決まっています。
なので、撮影した画像が画面に対して小さすぎると、一つの物質を表現するピクセル数が減少し、空間分解能が劣化するためです。画素数の多いデジカメと画素数の少ないデジカメでは、明らかに前者のほうが画質がいいですよね。
また、自分の目で見えている範囲と、双眼鏡などでのぞいて見えている範囲では、自分で目で見た方が広い範囲を見えていますよね。でも、双眼鏡や虫眼鏡などは、見える範囲は狭くなりますが、より細かく観察できますよね。
自分の目で見ているときがSFOVの状態で、虫眼鏡で覗いているときがDFOVだと思っていいかもしれません。
CTの場合、画素数は決まってしまっているので、細かいものを見たいとおもっって綺麗な画像を撮影したいと思ったら、拡大して画像を表示させるしか工夫がないのです。
なので、SFOVはあくまで画像データの収集範囲を表し、DFOVは見たいと思うような観察領域を決める必要があるのです。