CT検査では、体の情報を3次元画像を収集するため、3次元画像を作成することができます。
その3次元画像には、表示方法に種類があるので、主要なものだけでもまとめてみたいと思います。
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3次元画像の利点
先ずは、3次元画像の多くの利点を理解していただきたいと思います。
➀立体的な画像として把握できる。
断層像だけでは、慣れたものでなければ、骨や臓器を立体的に捉えるのは困難です。
特に、患者さんに説明する場合に、断層像を見せても理解出来る人のほうが少ないでしょう。
そんな場合に、立体的に把握できる3次元画像があれば、誰もが理解しやすくなります。
➁不要な物体を除去することができる。
CT検査を行うと、画像には自然と目的外の臓器まで写ることになります。他の臓器に病気が見つかる場合もあり、利点にもなりますが、それ以外の時には、いわば、診断や治療には不要なものです。
それは、3次元画像でも表示されますが、画像処理を施すことで、無駄を排除することが可能です。
目的の骨や臓器を、より詳細に観察しやすくすることができるのです。
➂特定の骨や臓器を見やすく色分けできる。
画像処理を施すことで、全体像のなかに目的の骨や臓器、血管だけ目立つような色付けをすることが出来ます。
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VR(ボリュームレンダリング法)
おそらく、CTの3次元画像の中で最も見る機会が多く、現在の主流のものです。
一般的な3次元画像を思い浮かべてもらうのが、一番です。
画像上に表示したいCT値の範囲を決めて(オパシティカーブで調整)、立体的に表現する方法です。
一番立体的に理解しやすい方法ですが、表面的なものしか見えません。
内部構造がどうなっているのかという、詳細な画像情報を得るためには、違った表示法や、画像処理が必要になります。
MIPとMinIP
この二つは一緒に紹介したいと思います。
・MIP(maximum intensity projection):最大値投影法
これは、光線の経路上にある最大CT値のものを前面に押し出して表示する方法です。
そのため、ある部位では、体の後ろにあるものが、ある部位では、体の前にあるものが表示されているため、奥行きの情報がでたらめになっています。
原理的に言えば、骨や血管に付着する石灰化、造影剤が主に見えることになります。
血管造影検査と同様の画像が見られるため、造影剤を注入したときの血管の見え方がよくわかる。
・MinIP(minimum intensity projection):最小値投影法
MIPとは逆の表示方法。光線の経路上にある最小CT値を前面に押し出して表示する方法。
CT値は空気が最も低い値のため、空気により近いもの(肺など)が表示される方法です。
VE:仮想内視鏡画像
最近、CTC検査の普及とともに、使われるようになった表示法です。
CT画像から、あたかも内視鏡を行ったときのような画像を作ることができます。
特に大腸の検査に使われる機会が多く、隆起性の病変など見つけることができます。
ただ、本物の内視鏡画像とは違って、内部構造の色合いまで表現することが出来ません。
内視鏡医から見ると、色合いも診断に有効な情報となるため、物足りないと思うこともあるようです。
他には?
CTの3次元画像はとても種類があり、上のVRとMIP法以外はあまり使われることがありません。
そのため、他のものはざーっと紹介したいと思います。
・RaySum
CT画像から、X線単純写真に似せた画像を作りだす。過去に撮影したX線写真との比較に使うためにあるようです。
が、あまり使用されているのを見たことがありません。
・SR(サーフェイスレンダリング法)
VRが主流になる前の3次元画像の初期型の画像。
しきい値を設定し、2値化というしきい値内のものを1、しきい値が鋳物を0といったような処理を行う。
すると、値が1を示す構造だけが残り、それを3次元画像で表示する。
血管の3次元画像には造影剤が欠かせないが、造影のムラが原因で十分な濃度が得られないことがある。その場合、2値化を行うと、必要な構造まで失うことになり、現在では使われなくなった。