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散乱X線の影響とは?

散乱X線は散乱線とも言われるが、レントゲン画像に様々な影響を及ぼします。

 

起こり得る影響と対策は国家試験でもお決まり問題にもなっているほど、重要なことがらですので、まとめてみたいと思います。

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散乱X線とは?

X線菅から被写体に照射されたX線の一部は透過(通過)し、一部は被写体内に吸収されます。

 

ただ、被写体を透過できなかったX線の全てが被験者に吸収されるわけではありません。

 

吸収されなかったX線のなかには、体内にある臓器や骨、または被験者が寝ている台も含め、あらゆるモノと衝突して、反射するように散乱するものがあります。

 

このあらゆるモノに衝突して、いろんな方向に飛び散ってしまうX線が、

 

散乱X線です!!

 

この散乱X線は、人の体であれ、物質であれ必ず起こるもので、広い範囲に照射したとき、容積の大きいものほど、多く発生します。(人の体の場合、胸よりお腹のほうが多く、痩せている人より太っている人ほど発生する。)

 

さらに、困ったことに、画像の劣化や被ばくにまで影響を与えるのです。

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画質に与える影響

そもそもX線画像は、被験者を透過してきたX線を検出器で受け取って画像化したものです。

 

これは言い換えると、良くも悪くも検出器にまで届いた全てのX線を画像化するということになります。

 

そして、もう一つ確認するならば、もっとも純粋で正確なX線画像とは、X線菅からまっすぐに被験者に照射され、そのまま検出器に入射され、作られた画像といえます。

 

それに対して、散乱X線は、散乱されたことでX線の強度も変わり、正しい情報を持たないX線であり、本来飛んでくるはずのない方向から検出器に入った邪魔ものです。散乱X線が上乗せされて検出器に入射されることで、画像に劣化が起こるのです。

散乱X線が画像にもたらす影響は、主に2つです。

 

  1. かぶりやボケを発生させる
  2. コントラストを低下させる

 

これによって、正確な診断の妨げになるため、対策が必要になります。

散乱X線への対策

画像の劣化を防ぐために、行える実践的な対策は2つです!!

絞り

絞りとは、X線菅に備え付けられている照射範囲を限定するものです。(つまみを回すだけで調節可能です。)
X線が照射されない範囲は散乱X線が発生することもなければ、被験者の被ばくにも影響しません。
X線菅から放出されるX線の大きさと形状を診断に必要な領域に制限することで、散乱X線の発生を抑え、画質の劣化を防ぐことができるのです。

また、X線を照射する範囲を限定することで、被ばく量も減らすことが出来ます。

 

散乱X線除去用グリッド

鉛箔をスリット状に配置した板をグリッドといいます。
グリッドは、被験者と検出器の間に配置して、X線菅から照射された方向とは異なる散乱X線を除去する役割をもっています。

邪魔なX線を排除する役割です。
鉛箔が密に配置されているほど、散乱X線を除去する効果が高いです。

ただし、一次X線もある程度除去してしまうため、撮影に使うX線量には配慮が必要になります。

被ばくに与える影響

散乱X線は被験者の被ばくを増やすとともに、そばで手技を行う検査技師や医師の被ばくにも影響します。
そのため、検査技師や医師は鉛の防護衣やメガネなどあらゆる防護措置が必要になります。