SPECT検査で、もっともよく行われるといっても過言ではない骨シンンチグラフィとはどんな検査なのかまとめてみたいと思います。
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どんなことがわかる検査なの?
骨シンンチグラフィでは、骨の代謝という骨の機能がわかる検査です。
骨は常に、破壊と再生(骨代謝)を繰り返しています。この代謝関係がが崩れ、破壊の割合が多くなると骨粗しょう症になるのですが、がんが骨に転移したときや骨折したときも骨代謝が崩れ、骨を作りすぎてしまったり、骨を作らなくなってしまう現象が起こります。
骨シンチグラフィでは、この代謝反応を反映して画像化する検査のため、骨髄炎、関節炎、がんの骨転移以外にも、他の検査でわからなかった微小骨折を調べるために良く行われています。
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使う薬剤
放射性医薬品名:99mTc-MDP/HMDP(テクネチウム)MDP/HMDPとは、リン酸化合物であり、骨の無機質成分であるハイドロキシアパタイトの成分であるリン酸イオンと交換したりや化学的に吸着する性質があります。
その性質がある薬剤と、放射線同位元素である99mTc(テクネチウム)を組み合わせた薬剤です。
99mTc(テクネチウム)単体では、骨シンンチグラフィは行うことが出来ないのです。
投与量:555~740MBq
投与量は、検査を受ける方の体重によって異なります。
体重が多く、体格の良い方ほど多く投与されることになります。(被ばくが多くなる)
検査の流れ
核医学検査全般に言えることですが、全体の拘束時間は長い検査です。
➀午前中に来院し、放射性医薬品の注射。
➁薬が全身にいきわたるまで、約3時間空けます。
この時、投与された方から、放射線が放出されていますが検査の待合室で待機するほどではありません。
➂3時間後、検査着に着替える。
全身を撮像するため、全身のアクセサリー類も取り外します。
➃検査直前に排尿。
骨シンンチグラフィで使う薬剤は、尿として排泄されます。膀胱内に溜まっていると、骨盤と重なって、骨盤に病気があったときに見逃す恐れがあります。
➄ガンマカメラという検査装置に横になります。
➅検査は全身に渡って撮像します。身体を動かさないように静かに寝ましょう。
呼吸や小さな咳は問題になりません。
撮像にかかる時間は15~30分です。
放射線医薬品が身体の外に出るまで
体内に放射線を投与するため、いつ体内から完全になくのか気になるところですが、撮影時には半分は尿となって排泄されるくらいです。
2~4時間後には30~40%が骨に集まり、50%以上は尿中に排泄されていることになります。
検査の注意点
他の検査との兼ね合いを調べる必要があります。
例えば、骨密度検査が同日にある場合には、放射性医薬品を注射後に検査すると、骨密度の数値に影響する恐れがあります。
そのため、注射する前に骨密度検査を行う必要があります。
また、造影CT検査も骨密度ほど影響はないと思われますが、骨シンンチグラフィの画質低下を招く恐れがあるため、なるべく別日に受けることがいいでしょう。
飲食には制限がないため、普段通り行ってください。処方薬剤の服用も含めて大丈夫です。
画像例
右の場合だと、背骨や骨盤などが他に比べて黒く(放射性医薬品が多く集まっている)観察されます。このように骨代謝が亢進している部位に、がんの転移があることがわかります。
ちなみに、子どもは成長のため関節部の骨代謝が特に強い特徴があります。
そのため、成長線がある関節に特に多くの放射性医薬品が集積して観察されます。