今回はCT検査の受け方、検査の流れを紹介したいと思います。
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CT検査とは
CT(Computeed Tomography:コンピュータ断層撮影法)とはドーナッツ状の装置で、中にはX線管球(X線を発生する)とX線検出器(身体を通過してきたX線を受け取る)が搭載されています。
この二つを身体の周りでグルグルと回転させて、輪切りの画像を作成し、体内の情報を得ることができます。体内を輪切りにして観察することで、X線画像よりもより詳細な情報を得ることが可能です。
画像は、水を基準にして作られており、水の色の濃さを数値で0としたとき、水よりX線吸収が高いものをプラス(10,20.100など)の値で示し、数値が高いほど白く表現されます。逆にX線吸収が低いものをマイナス(-100、-1000など)の数値で示し、マイナスの数値が大きくなるほど、黒く表現されます。(この色の濃さをCTではCT値と呼びます。)つまり、CT画像は水のCT値を基準にした相対的画像です。
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検査前には?
CT検査では、金属が検査部位にあると、診断の妨げになるため、金属のついた衣服は着替え、アクセサリー類は取り外す必要があります。また、造影剤を使わない単純CT検査と造影剤を使用する造影CT検査があります。
この二つによって、検査前の準備が多少異なりますので紹介致します。
・単純CT検査(造影剤を使わない場合)
特に、着替える以上の準備はいりません。飲食も可能です。
※ただ、胃や胆嚢の検査場合には造影剤を使わない場合でも、飲食を制限されることがあります。これは、食事後だと、胃に食べ物が入って観察しにくくなることと、胆嚢が縮んでしまうためです。
・造影CT検査(造影剤を使う場合)
検査の4時間前からの飲食が制限されます。食事を摂ったうえで造影剤を使用すると、以前に造影剤使って問題なかった人でも、嘔吐する場合があります。
ジュースや牛乳など糖分や脂肪分が含まれる飲み物や食事は摂らないでください。(水やお茶といった水分を取ることは可能ですが、量は少なめが理想です。)午前中の検査であれば朝食を、午後の検査であれば昼食を摂らないようにすれば、大丈夫です。
検査中
・単純CT検査
Ⅰ.頭部~頚部
CT装置の寝台にあおむけに寝て(頭はCT装置に向けて)、手はお腹の上に置きます。寝台ごとドーナツ状の装置内(ガントリー)を移動させて撮影します。 息止めの必要はありませんが、撮影中に目が瞬きをすると、ブレてしまうことがあります。
検査中は目を閉じていたほうがいいでしょう。検査時間は5分程度です。
Ⅱ.胸部~骨盤部(体幹部)
CT装置に足を向けて寝台にあおむけに寝ます。腕を頭の上まで挙げて(バンザイする)検査部位に腕が入らないようにします。 腕が下がると、画像に黒い線が入ってしまい、体内の観察に影響がでます。
検査は寝台が移動しながら撮影しますが、撮影が始まる前に「息を吸って止めてください」といったような呼吸に関する指示が入ります。
息を止めないと、肺の病気が発見しにくくなったり、横隔膜(胸と腹の境界)が動きでブレるため、その周囲臓器の病気の判別に影響を与え、診断が困難になります。
検査範囲によって息止め時間は変わりますが、多くても15秒程度です。頑張りましょう。変則な撮影法でなければ、多くて3回の息止めが必要です。(一回目・位置決め写真の正面撮影、2回目・位置決め写真の側面撮影、3回目・輪切り写真の撮影)検査時間は5~10分です。
・造影CT検査
小さな病変や正常組織とX線吸収がほとんど変わらない病気はCT画像上でも診断が困難です。より正確な診断のために造影剤を使った検査を行います。また、造影剤の臓器への取り込まれ方や、排出のされ方を撮影すると、病気の特定をすることも可能となります。
撮影法は単純CT検査と変わりませんが、単純CT検査を行ったうえで追加で行われる場合が多いです。また、造影剤の動向をより詳細に観察するために、2~3回撮影を繰り返す場合もあり、それに応じて撮影数と被ばく量が増えることになります。
ただ、動脈瘤や大動脈解離、肝臓や腎臓のガンといった血流の情報が手術にも影響するような場合には、重要性が高い検査であり、行われる機会は多いといえます。
検査時間は10~20分程度です。
※造影剤注射後に不快な感じがした場合はがまんせず、声を上げましょう。検査室の声は全て、撮影室に聞こえているはずです。
検査後
・単純CT検査
特に制限も何もありません。
・造影CT検査
造影剤は尿となって排泄されるため、水分を普段より多めに摂るよう意識してください。ただ、医師に水分摂取に関して制限されている場合には、相談したほうがいいでしょう。
それ以外の制限はありません。入浴や食事など普段通りの生活を送ってください。
※授乳中の方の場合
水分を多めに摂るのは変わりありませんが、造影剤は微量ながらも母乳に含まれることがあります。2~3日は断乳期間とし、その間は水分補給と搾乳をお薦めします。
造影剤の副作用
造影CT検査はヨード造影剤という薬を使うため、副作用が起こる恐れがあります。現在使われているヨード造影剤は「非イオン性造影剤」と呼ばれ、以前に比べ副作用が起こりにくくなっていますが、大体3%の確率で起こると言われています。
その症状は以下の通りです。
・軽度
吐き気、嘔吐、かゆみ、じんましん、熱感(造影剤注入時に熱い感じがする)などです。これらの症状は、検査中~検査後1時間の間に起こることが多く、特別な治療を
必要としない軽度のものがほとんどです。
・重度(1万人中4人の割合)
咽頭の浮腫(むくみ)、血圧低下、呼吸因難など
このような場合には、速やかに担当の医師が適切な処置を行います。
・遅発性副作用
稀に検査終了数時間~数日後にかゆみやじんましん、吐き気、めまいなどの症状があらわれることもあります。この場合には、すぐに病院へ連絡してください。
ヨード造影剤を使えない場合
造影剤は以下のような場合に方には使用することができません。 当てはまる場合には、必ず申し出る必要があります。
- ヨードまたはヨード造影剤に過敏症の既往歴がある
- 重篤な甲状腺疾患のある
- 気管支喘息を持っている(副作用が起こりやすい)
- 重篤な腎障害のある
- 糖尿病治療薬の服用中
被ばく線量
CT検査の被ばく線量は検査目的によって大きく異なりますが、5~30mSvの間と言われています。主に被ばくの多い検査は以下の3つと思われます。
・頭部
脳は骨で囲まれており、X線が届きにくい環境であるため、詳細な観察には多くのX線が必要になります。
また、CT画像はX線量に応じて、綺麗に見えたり、ざらざらに見えたりします。脳の病気は正常組織との判別が難しく、ザラザラした画像では診断は困難です。正確な診断のために多くのX線量が必要になります。
・心臓
心臓は常に動いている臓器です。検査時は心臓の動きに合わせてゆっくりと細かく撮影する必要があります。そうすることで、動いている心臓を止めてように観察することができ、冠動脈を観察できるようになるのですが、ゆっくりと精密に丁寧に撮影するために被ばく量が多くなってしまいます。
・腹部
肝臓や腎臓、または大動脈などの検査では、造影剤の動きを追いかけながら撮影を行うことがあります。これをダイナミック撮影と呼びますが、この撮影の場合には、2~3回撮影するため、被ばく量が多くなります。