結婚を考える多くのかたが望むのは、やはり妊娠や出産です。
しかし、6組のうち1組が不妊に悩み、なんらかの治療を受けている人は50万人と言われています。
そんな時、婦人科の医師から提案されるのが、子宮卵管造影(Hysterosalpingography;HSG)です。
この子宮卵管造影とはどんな検査なのかまとめてみました。
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どんな検査?
通常レントゲン写真には子宮や卵巣といった生殖器は写りません。(X線の吸収が低い臓器のため)
子宮卵管造影では、子宮の中にX線に写る造影剤を注入し、X線で撮影することで子宮内の異常や、卵管の通過性などについて調べる検査です。
不妊の原因を調べるのに、早めに行われる検査です。
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どんなことがわかるの?
この検査では、以下のことがわかります。
・子宮の内側の形態
(子宮奇形、子宮内膜ポリープや子宮筋腫・子宮腺筋症による変形、子宮腔内の癒着)
・卵管閉塞
(卵管が疎通性が良いのか、悪いのか、塞がっているのかなど)
・卵管留水症(卵管に水がたまって腫れる疾患)
・卵管や子宮周囲の癒着
子宮や卵管の内側をはっきりと写すことができるので、奇形がある場合にはわかりやすい検査でといえるようです。
習慣性流産や不育症の方は、子宮奇形の可能性が高いので、特に重要な検査とされています。
検査の受け方
➀検査前に、感染症(梅毒、B型・C型肝炎、HIV)の血液検査を行います。
クラミジア感染が陽性の場合、不妊症の原因となるので、治療を行う。
➁検査を行う時期は、月経が終わり出血がない日で排卵前です。大体、月経開始から7~9日目頃。
(その期間は、受精卵がX線に被ばくすることがないように、検査終了するまでは必ず避妊を行う必要がある。)
➂更衣室で検査着に着替える。(下着も脱ぐ必要がありますが、検査室まで離れている更衣室で着替える場合は、検査室についてから脱いでも大丈夫。)
➃検査室の台上に仰向けに寝る。
ここからの方法は「バルーン法」と「嘴管(しかん)法」の2つあります。
・バルーン法
子宮の入口から細いゴムの管を子宮腔内に挿入し、先端の小さな風船を膨らますことで造影剤が腟内へ逆流しないようにしてから造影剤を注入してから、レントゲン撮影する。卵管閉塞の有無を確認するときに行う手法。
・嘴管(しかん)法
子宮の入口に造影剤を注入する金属製の器具を固定する方法で、卵管の様子だけでなく子宮頸管から子宮腔内まで確認する。卵管因子だけでなく、子宮頸管や子宮腔内に問題があると考えられる不育症の原因検索や、子宮内の病変が疑われる時に行う。
レントゲン撮影は、以下の2枚です。
➀卵管の先端まで造影剤が流れた時
➁卵管采から造影剤がおなかの中に流れた後
の2枚を撮影します。
さらに、油性の造影剤の場合には翌日にもう一枚、水性の造影剤では30分後にもう一枚の計3枚撮影することになります。
検査時間は15~20分です。翌日の撮影は5分程度。
使う造影剤の違いは?
この検査で使う造影剤はその病院によって異なりますが、油性造影剤か水性造影剤のどちらかです。
どちらにも利点と欠点があります。
・油性造影剤の場合
利点:造影効果が高く、刺激が少ない。
欠点:血管内に入ると、閉塞の原因になる。(可能性は低いと言われています。)
・水性造影剤の場合
利点:造影剤が体内に吸収されるのが早く、排泄も早い。
欠点:造影効果が低く、油性造影剤に比べ卵管など細い部位が観察しにくい。
検査後に注意することは?
検査中は個人差はありますが、痛みを伴うことがあるようです。
特に、卵管が閉塞している場合などは痛みを感じるケースが多いようです。
検査後は副作用として感染や出血を起こすことがあります。
感染防止のため、抗生剤を処方されるます。出血はにじむ程度と言われていますが、検査当日はナプキンを用意するといいでしょう。
また、検査後2~3日は、腹痛や発熱が起こる場合があり、その場合は病院へ連絡しましょう。
検査以外の効果とは?
子宮卵管造影は検査の意味以外に、検査後に妊娠率が上がると言われています。
これは、卵管内をふさいでいた粘液などが造影剤注入により排除され、疎通性が高まること、卵管の動きを阻害していた癒着が外れること、卵管内が刺激されることなどによるものです。
効果は検査後数カ月続くと考えられており、治療的な意味を兼ねて検査を行うようです。この特徴は、油性造影剤を使用したほうが効果が高いと言われています。