正直なところ、CT部門に配属され、業務を覚え始めて間もない頃、『ビュー数』なんて言葉にウンともピンとも反応できませんでした。
大学の授業で習った覚えもないですし、CTの本を読んでも書いて有ることすら少ないように感じます。(書いてあっても重要と思わず飛ばしていたのかもしれませんが・・・)
それでも、普段の業務や研究会、勉強会など様々な場面で『ビュー数』という言葉がでてくるので、そこで初めてビュー数という意味はわからなくても言葉を知ったような気がします。
最近は、特に『ビュー数』が2.5倍にできるというのを売りにしているCT検出器もあるため重要性が増しているようにも感じます。
なので、そもそも『ビュー数』とはなんなのか?
数というからには増えたり減ったりするのはわかってもなにがどう変わるのかについてまとめてみたいと思います。
同じ疑問に苦しんでいる方の力になるべく、頑張ります!!内容が幼稚になってしまったらすみません。
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CT検査とは・・・
そもそもCT検査とは、どうやって検査をしているのか復習したいと思います。
CT検査はX線を被験者の体の周りを回しながら照射し、データを収集します。
こんな感じで、X線管球と検出器を被験者の周りをX線を照射しながら、一回転させて被験者のデータを収集していきます。
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ビュー数とは?
では、ビュー数とはなんでしょうか?
これは、どれだけ多くの角度から被写体を観察できたかということになります。
例えば、人をカメラで写したとき、正面の一方向から撮影しただけでは背中側がどうなっているのか、横顔はどんな感じなのか、真上からみると髪型はどんな風にまとめてあるのか写真だけでは伝えることが出来ません。
しかし、前後左右、上下も含めて様々な角度から撮影することで、体型や服装、髪型などより詳細な情報を得ることができ、すべての写真をみれば、撮られた人物の詳細を伝えることが出来ますし、見る方も読み取ることが出来ます。
当たり前かもしれませんが、撮影する角度が多いほどより詳細に誰かに物事を伝えることが出来るのです!!
実は、これ、CTでも同じなのです。
CTは被験者の周りを一回転するのが限界ですが、その間に、『X線を照射→検出器で受け取る』という行為を多く行ったほうが詳細な画像を得られ、小さな病気も見つけやすくなるのです。
そして、この被験者の周りを一回転するまでに何回検出器でデータを収集できたかというのがビュー数になります。
同じ検出器でデータを収集しつづけるには?
だったら、ずーっとX線を照射して、ずーっと検出器でデータを収集すればいいじゃないか?
と、考えるのですが、現実はそうは甘くありません。
なぜなら、検出器がデータ処理する速度には限度があるからです。
どういったことでしょうか?
検出器には、X線が検出器届いてから次のX線を受け入れる準備が整うまでにタイムラグが生じます。
この間に、X線を光に変換させ、光を電気信号を構造物の透過データとして読み取る作業を行います。
さらに、検出器を元の状態に戻し、次のX線を受け入れる準備を整えるためには、検出器内で発光させた光が消えるのを待たなければなりません。
前に入射してきたX線で発光した光が消えないうちに、X線が入射し光に変換されても、以前のと混じってしまい、画像がボケるなど悪影響を起こすため、被ばくするだけ無駄な検査になってしまいます。
つまり、ずーっとX線データを収集するという理想を叶えるためには、検出器が光を起こすと消すという行為を同時に行えるような感じでなければできないということになります。これは、現在の技術では無理です。
ビュー数を多くするには?
では、より詳細な画像を撮るためにビュー数を多くするには、どういった工夫が必要になるでしょうか?
それは、
➀被験者の周りを一回転する速度を遅くする。(Rotation timeの増加)
回転速度を遅くすれば、X線の照射と検出器での認識する回数は増加することになります。結果的にビュー数は増加します。
逆に、回転速度を早くするほど、ビュー数は減少し、画質は劣化します。
➁検出器の性能を上げる。
基本性能が上がった検出器を使用するのも手段の一つです。
現在、GE社で使われているGarnetという検出器は、従来の検出器に比べて、発光スピード100倍、光が消えるまでの速度(アフターグロー)が1/4短縮という性能を持っています。
結果的に、ビュー数も従来にに比べて、2.5倍にもなっているようです。本当にスゴイ技術です!!
ビュー数が増加すると・・・
ビュー数が多くなるほど、詳細な画像が得られるということは散々行ってきましたが、具体的にはどうかわるのでしょうか?
それは、空間分解能の上昇です!!
空間分解能とは何か?
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、一般的には、
接近した2つの物体を独立した2つと認識できる能力のことをいいます。
上の画像でいうと、どっちがくっきりと細かいところまで見えてますか?ということになります。
特に血管ステントの評価に威力を発揮することが報告されており、今までCTで評価困難だったステント内部の血流を評価することができるようになったようです。