肥満には、皮下脂肪が多く溜まる洋ナシ型(女性に多い)か内臓脂肪が多く溜まるリンゴ型(男性に多い)の二つにわけることができます。
特に内臓脂肪の蓄積量が多いリンゴ型は、高血糖、高血圧、高脂血症、動脈硬化性疾患の発生リスクが高まることが確認されているため、油断なりません。
しかし、内臓脂肪量は腹囲の測定だけではわからないため、腹部CT検査が行われます。これは、日本内科学会総会でも推奨されていることもあり、人間ドックでも行われる機会が多くなってきました。
そこで、どんな検査なのかまとめてみたいと思います。あまり費用の掛からない検査なので、参考いただければ幸いです。
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そもそもメタボリックシンドロームとは?
日本では、腹囲径(おへその高さ)が男性85cm女性90cmを超え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3つのうち2つに当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。
さらに、メタボリックシンドロームの診断には、内臓脂肪の蓄積が必須条件となっています。
メタボリックシンドローム診断基準
必須項目 | ウエスト周囲径 (内臓脂肪面積) |
男性 ≧ 85cm 女性 ≧ 90cm (男女ともに≧100㎝²相当) |
---|---|---|
選択項目 3項目のうち 2項目以上 |
高トリグリセリド血症 かつ/または 低HDLコレステロール血症 |
≧ 150mg/dL < 40mg/dL |
収縮期(最大)血圧 かつ/または 拡張期(最小)血圧 |
≧ 130mmHg ≧85mmHg |
|
空腹時高血糖 | ≧ 110mg/dL |
この内臓脂肪量の測定をCTで行うことを望ましいとされているので、人間ドックでも脂肪量測定CTが広く行われているのです。
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どんな検査をするの?
内臓脂肪量を測定するには、へその高さの腹部CT画像が一枚あれば、行うことが出来ます。そのため、一般的な腹部CTとは違い、一枚~数枚撮影すれば、撮影自体は終わりになります。部屋に入るところから出るところまででも5分あれば十分なことが多いでしょう。
撮影時は、呼吸を止める必要ありますが、数秒程度、吐いたところで息を止める程度です。(呼気時に息止め)
安く・楽な検査ですね。
CTを撮影すると・・・下のような画像を得ることができます。そして、内臓脂肪に該当する箇所を指定し、そこに含まれる脂肪に該当するX線吸収値を占めるところを色づけします。
すると・・・
内臓脂肪と皮下脂肪を色分けした解析画像を得ることが出来、その面積を求めます。1人2~3分程度あれば解析も可能なので、午前中に検査を受ければ、午後には結果がわかっていることも少なくないはずです。
同じ腹囲でも・・・
肥満型によって内臓脂肪量が異なるので、CT画像を撮るまでは本当の内臓脂肪量はわかりません。なので、腹囲測定だけでは、検査としては十分ではないのです。
上の画像では、同じ腹囲径でも内臓脂肪が3倍以上も異なっており、当然、危険なのは内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪型肥満は男性に多く、皮下脂肪型肥満は女性に多いと言われています。
お腹周りが気になってきた男性は、一度チェックしてみるといいかもしれませんね。
危険区域は?
では、どの程度内臓脂肪が蓄積したら危ないのでしょうか?それは、メタボリックシンドロームと診断される基準である、男女ともに100㎝²以上になるようです。
このあたりから様々な生活習慣病のリスクが高くなります。
人間ドックで渡される結果例として、
内臓脂肪面積1~99cm2:正常
100cm2~130cm2:過量、
131cm2以上:かなり過量
といったような判定をして、過量以上の判定の受信者には注意を促しているところもあります。
コメントや注意の促し方は検査を受ける施設で異なるので、参考までにお願いします。
被ばくは大丈夫?
CT検査は被ばくが多いことで有名なので、被ばくが心配になるかもしれませんが、上でも言ったように、一枚へその高さの画像があれば十分な検査なので、被ばくはさほどありません。
さらに、脂肪量を測定するだけであれば、一般的な腹部CT検査よりも少ないX線量で行うことが出来るという報告もあります。
一枚~数枚しか撮影しないこと、X線量を必要としないという2つの理由から被ばくは少ないといえるでしょう。具体的な値は、受けるかたの体型と施設間で異なるため、一概には言えませんが、0.数mSv程度と思われます。