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がん検診に関連するバイアスとは?

バイアスとは、偏りのことです

 

比較する二つのデータがルールに従って集まっていない場合に用いられ、比較するのに適しているのかどうか考える際に使われることがあります。

 

例えば、ある手術を受けたがん患者さんと受けなかったがん患者さんの5年後の生存率を比較する場合、手術を受けたがん患者さんの生存率が高いと判定されることがあります。
この場合、なら手術を受けたほうが良いではないかと思うのが一般的だと思います。が、それでも、単純に手術をした方の5年生存率が向上していると解釈するのは難しいのです。
なぜなら、手術を受けた患者さんは、元々体力があり、病気の程度も軽かった可能性が否定できないため、手術そのものが延命効果に、実は無関係だったのではないかという可能性を否定できないからです。

 

このようなことを言いだしたらきりがないと思いますが、統計的なデータ上では裏付けが重要なファクターを占めます。

 

以前、TVで恋愛に興味がない男子(絶食男子)が増えていると報道されていることがあり、取材先が秋葉原でされていることから波紋が起こったことがありました。これも、恋愛に興味がないであろう人が集まる地域と恋愛に積極的な人が集まるであろう地域それぞれで、取材すれば、結果が異なってくると誰もが感じたはずです。

 

このように、出された結果に作為的なものがあったり、集計・統計結果に偏りあると、誰も信用しなくなってしまうのですが、バイアスを完全に制御するのは困難です。

 

なので、なぜデータに偏りがあるのか、作成者側にどのような作為が働いているの可能性がるのかなど、その種類や性質を理解することで、医療の現場でも予後調査や疫学的研究結果を正しく考察することができます。

 

ということで、データを正しく読み取るためにはバイアスへの理解は重要です!!

 

以下にがん検診に関係が深いバイアスについてお話したいと思います。

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自己選択バイアス

がん検診受診者の自発的な行動・選択によって起こり得るバイアスのことです。

 

例えば、検診を受診する人たちは、元々健康への意識が高く、検診以外にも健康に良いとされる行動を行っている可能性や生活習慣にも高い意識をもっていることがあります。

 

検診受診者と非受診者間で、癌の罹患と死亡の関係を比べた時、検診を受けている人のほうが死亡率が低いことで受診を促されることがあります。が、実際は、検診を受けたことによる真の効果か否かの判断が難しいことがあるのです。

 

つまり、普段から健康的な生活習慣を送っている人の比率が検診受診者に高い場合には、検診の効果が過大に評価されている可能性があるのです。

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リードタイムバイアス

検診を受けて癌を発見した方と調子が悪く病院に行ったらがんが発見された人の間で生存率を比較する場合に起こりうるバイアスのことです。

 

癌の発生から死亡に至ってしまうまでの時間が両者等しい場合でも、早期発見された時間の分だけ検診で発見されたがん患者さんのほうが生存期間が長くなり、見かけ上生存率は上がったように見えます。検診受信者はより早く発見される分だけ、発見されてから死亡に至るまでの期間が長くなるためであり、検診受信者の生存率が向上しているという解釈を安易にできないことになります。

レングスバイアス

定期的に検診を受けている場合、進行の遅い癌でも発見される可能性が高くなり、検診で見つかった癌は通常来院時に見つかる癌に比べて、早期に治療が行われるため、予後が良くなる可能性があります。

 

これも、生存率を比較すると、検診の受けたことによる効果が過大に評価されることに繋がります。