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診療放射線技師は医学物理を目指すべきなのか?!

診療放射線技師を目指す理由に多いのは、

「放射線治療に携わる仕事をしたい!!」

ということです。やはり、医療職種というと治療に携わることが大きな魅力になるためと思われます。

しかし、実際は、放射線治療に携われるのは、ごく一部です!!

就職した病院に放射線治療を行う装置がなかったり、治療を行っている病院に就職しても、配属されるとは限りません。

また、放射線治療部門に配属されても、想像していたのと実際の業務内容にギャップを感じる方も多いはずです。

そうなると、「放射線治療がしたかったのにできない」、「やりたかったのはこれではない」という不満が溜まるのではないでしょうか?!

そういった方を減らすため、少なからず放射線治療に携わりたいく放射線技師を目指す方は、医学物理士を同時に目指すべきだと思います。

その理由は、医学物理士という資格を取得するだけで、放射線治療に携われる業務内容が大きく広がるためです。

診療放射線技師としてのキャリアアップにも繋がるので、そういった観点で取得してもいいかもしれません。

ということで、医学物理とはどういったものか紹介したいと思います。

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放射線治療とは?

放射線治療は、外科手術、化学療法(抗がん剤治療など)に並ぶ、がんに対する治療法の一つです。がん細胞に外から高エネルギーのX線をあてて、進行を抑えたり、死滅させる局所的な治療法です。

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診療放射線技師が行う放射線治療業務

放射線技師が行う主な放射線治療業務は、医師が決めた放射線治療計画に基づく、照射を行うことです。
そのためには、以下の内容も業務に含まれることになります。
・放射線治療計画CTの撮影
・立てられた治療計画の検証
・治療装置の精度管理
・患者さんに対する放射線の照射
・放射線治療情報の整理・保存

 

重要な役割として位置づけられていますが、実際の業務は想像と違うところが多く、治療計画用のCT撮影、患者さんの入れ替えと放射線の照射位置を合わせて照射するというルーチン業務がほとんどのようです。

そのため、診療放射線技師としての業務では、治療を行いたいと思って技師を目指した人にとっては物足りなく感じるかもしれません。

医学物理士とは?

では、医学物理士とはどういった存在なのでしょうか?

 

医学物理士とは、放射線を用いた医療が適切に実施されるよう、医学物理学の専門家としての観点から貢献する医療職のことです。

医学物理士の業務は、①臨床サービスとコンサルタント②研究開発③教育に大きく分けられる。

 

➀臨床サービスとコンサルタント
医学物理士は、放射線治療において、重要な業務は、放射線治療計画の立案である。必須業務は、がん治療で使用される放射線機器(放射線治療装置、密封小線源治療装置等)の出力の校正・測定である。核医学においては、放射性同位元素を用いて内部臓器を描出し、重要な生理的情報(代謝率・血流など)を測定するために医師と協力することである。他の重要な業務は、装置・機器の品質管理、画像処理システムの品質管理、放射線施設の設計、放射線障害に関する管理である。医学物理士は、医学領域における多くの身体的問題を解決するために、臨床において科学的な助言と、問題解決能力の提供が求められる。

 

➁研究開発
医学物理士は、医学研究において不可欠であり、重要な役割を担う。医学物理士の業務は、がん・心臓病・精神病など広い領域を含む。がんにおいては、放射線に関する研究(放射線の生物学的影響・メカニズム、新しい装置の開発・放射線の正確な線量測定技術の開発)に対して取り組む。また、コンピュータを用いた放射線治療の線量計算や、画像表示も含まれる。粒子線治療は、活発な研究領域である。心臓病や精神病においては、生体機能の評価に携わる。そして、診断上の問題に対してデジタルコンピュータを使用した情報理論の応用も含まれる。医学物理士は、放射線診断のために新しい装置の技術開発にも関与する。これらは、X線画像を操るための磁気・電気光学記憶装置の使用、デジタルコンピュータ技術を用いた静的動的画像の定量解析、組織の特性や組成を解析するための放射線技術なども含む。医学物理士は、赤外線・超音波を利用した画像技術の領域でも研究開発に携わる。

 

➂教育
医学物理士は、大学などで教育に携わることがある。医学物理士レジデントや研修医、医学生、診断や治療で使われる多くの装置を操作する放射線技師に対しての教育を行う。

日本医学物理学会のマーク

 

医学物理士を取得するには?

日本医学放射線学会によって実施される医学物理士認定試験に合格し、認定申請資格に従い認定を申請したものに対して認定される。

 

この認定試験を受けるのも、以下に示すような一定以上の学歴と経験が必要になります。

 

➀機構認定の医学物理教育コースに 1 年以上在籍または修了した者。

➁理工学系修士以上の学位を有し(取得見込みを含む)、細則に定める業績評価点 5 単位以上を有する者。

➂放射線技術系修士以上の学位を有し(取得見込みを含む)、細則に定める業績評価 点 5 単位以上を有する者。

➃医学系研究科に設置された医学物理教育コース修士以上の学位を有し(取得見込み を含む)、細則に定める業績評価点 5 単位以上を有する者。

➄ 学歴によらず医学物理の発展に寄与したと特に認められ、かつ細則に定める業績評 価点 10 単位以上を有する者

➅ 平成 24 年度までに理工学系学士の学位を取得し、医学における経験年数 3 年以上 の者

➆に放射線技術系学士の学位を取得し、医学における経験年数 2 年 以上の者。

➇診療放射線技師免許を取得し、医学における経験年数 5 年以上 の者。

➈平成 22 年度までに、医師または歯科医師以外で医学または歯学博士の学位を取得 し、医学における経験年数 1 年以上の者。

 

医学物理士になるためには、様々な道がありますが、診療放射線技師から見れば、大学院に進むか臨床経験が5年以上あればいいことになります。

 

 

医学物理としての就職先は少ない

放射線治療において重要な役割を担う医学物理士ですが、医学物理士としての就職先は少ないようです。

その理由は、放射線治療を行える施設は限られており、大きな病院に限られます。

さらに、大きな病院だろうと、放射線治療部門に数人単位で在籍していれば事足りてしまう職種でもあるので、全国的には就職先は限られてくることになります。

そのため、医学物理士の資格だけで働く場合には、医療機器メーカーで働くことも視野に入れる必要があります。

年収は?

この資格の残念なところは、診療放射線技師がこの資格を取得しても給料には反映されないところです。
つまり、仕事のやりがいという自己満を得ることに重点を置いていることになります。

そのため、診療放射線技師の平均的な年収と変わらないといえます。