x%e7%b7%9a%e7%94%bb%e5%83%8f%e6%bf%83%e5%ba%a6%e3%81%a8%e7%89%b9%e6%80%a7%e6%9b%b2%e7%b7%9a%e3%81%ae%e9%96%a2%e4%bf%82%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f-2

X線画像濃度と特性曲線の関係とは?

特性曲線とは、X線装置、特にフィルム(または検出器)性能を示す需要な指標の一つです。

 

ただ、そんな重要な要素であるわりに学校で学ぶ時間は一瞬のように感じるため、理解できずにいる方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は特性曲線についてまとめてみたいと思います。

スポンサーリンク

特性曲線とは?

特性曲線とは、センシトメトリック・カーブ、HD曲線とも呼ばれ、横軸に相対X線強度または露光量、縦軸に写真濃度を取って表したものです。

 

どんなものかわかりやすくするために、その一例を下に載せたいと思います。

では、ここからなにがわかるのか。

 

実は、この曲線一つで結構色々なことを表現しているので紹介したいと思います。

 

まず、特性曲線を知るうえで第一に理解するべきことは、X線の量と写真濃度を表したグラフであるということです。

 

どういうことか。

 

先に横軸に露光量、縦軸に写真濃度を表現しているといいましたが、別の言葉でいうならフィルムまでに届いたX線の量とそのX線量における写真濃度ということになります。そして、そのX線の量に対応する写真濃度を縦軸にすることで、フィルムにどの程度のX線量が到達すれば、写真にはどのような濃度で表現することができるというフィルムの性能を表していることになります。

 

なので、特性曲線は右上がりの曲線系の形をしているので、フィルムに多くのX線量が到達するほど高い濃度(一般的にはより黒く)として画像に現れることになります。逆を言えば、フィルムまで届くX線量が少ない場合には、低い濃度(一般的には白く)表現されることになります。

 

良く見かける胸のレントゲン画像でその例を示すならば、肺領域にはフィルムに届くX線量(露光量)が多いために写真濃度は高く(黒く)なる、その他の腹部領域ではフィルムに届くX線量(露光量)は少ないために写真濃度は低く(白く)なるといった関係になり、以下のような関係になります。

 

 

ただ、露光量と写真濃度の関係には2つの注意が必要です。

 

それは、露光量と写真濃度の関係には限界があるということです。X線量が多いほど写真濃度が高くなるというのはX線写真の基本的な概念の一つではあるのですが、X線量が多ほど写真濃度が高くなり続けることはないのです。

 

実は、フィルムが表現できる写真濃度とはそのフィルムの性能によって決まっています。そのため、一定以上のX線量(露光量)がフィルムに合った場合には、いくらX線量が増えても一定の濃度として表現されてしまうのです。(この濃度を最大濃度という)

 

また、逆に露光量が一定よりも少ない場合も同様です。

 

X線画像を作るためには、フィルムが表現できるだけの最低限のX線情報を届ける必要があります。しかし、フィルムに到達するX線量(露光量)が少なすぎる場合には、その情報は云わば足キリのように、露光がないものと同然の扱いをされてしまい、フィルムがもともと持つ写真濃度と同様の表現をされることになるのです。(この濃度をカブリ濃度という)

 

そして、この最大濃度とカブリ濃度は特性曲線の端の部分に表現されています。

 

 

フィルムが表現できる最大濃度、画像を作るのに必要な最低限の露光量の関係があるためにフィルムで濃度として表現できる露光量との関係とは決まっています。そのために、フィルムでは表現できる写真濃度の幅というのは特性曲線によって決まってくることになるのです。

 

そして、この表現できる写真濃度というのは、特性曲線の寛容度(ラチチュード)によって影響を受けることになります。

 

寛容度(ラチチュード)とは、特性曲線のX線の露光量に応じて写真濃度を変化させることが出来る範囲のことをいい、露光量が増えれば、写真濃度が高くなるという関係をもつ領域をいい、その範囲を特性曲線を使って具体的に表現すると、直線部に肩部と足部と呼ばれる領域を足した領域をいうことになります。

 

このラチチュードは広い特性曲線であるほど、広い写真濃度を表現することが出来るようになります。

ただ、ラチチュードが広いだけでは、実際の画像が微細な濃度変化まで表現できるというわけではありません。

 

なぜか。

 

それは、特性曲線の直線部の傾き(γ)に画像のコントラストは影響されるからです。

 

特性曲線の傾きが急になるほど、露光量に対する写真濃度の変化は大きくなり、メリハリのある画像になることになりますが、その反面、画像上に表現できるX線の露光量の範囲は狭くなり、結果、寛容度(ラチチュード)は狭くなってしまうのです。

 

逆に、特性曲線の傾きが緩やかになるほど、画像の濃度変化は緩やかになるため、ボンヤリした画像になりますが、表現できるX線の露光量の範囲は広くなるのです。

さらに、特性曲線の基本的な事項の中にはもう一つだけ理解が必要なことがあります。

 

それは、特性曲線とフィルムの感度の関係です。

 

特性曲線が右にずれるほど、画像として表現するにフィルムに多くのX線量が到達する必要(露光量が必要)になることがわかります。この場合、少量のX線では画像を作れないということになるので、感度が低いと表現されることになるのです。

スポンサーリンク

アナログとデジタルの特性曲線の違いとは?

最近では、X線画像はデジタル化が進んでいますが、特性曲線はアナログとデジタルでは、画像が出来上がった後でも特性曲線を変化させることができるのか、できないのかといったことが重要になります。

 

どういうことか。

 

アナログシステムの場合、撮影後は現像システムにかけて写真として出力することになります。

 

この場合、感光材や現像液、定着剤などを使用することになるのですが、特性曲線はこれらの薬剤や現像するまでのシステムによって決まるため、基本的に写真が出来上がった後から、もう少し写真の濃度を変化させようと思ってもできません。

 

出来上がったX線写真がX線量が多すぎて黒くなりすぎたり、X線量が少なすぎて白くなりすぎてしまっていたりと見たい写真が撮影できていない場合には再度撮影をするしかなかったのです。

 

しかし、デジタルシステムになってからは違います。

 

CR(Computed Radiography)となり、IP(Imaging Plate)やFPD(Flat Panel Detector)では、撮影を行い画像が出力された後から特性曲線の位置を左右にズラすことや傾きを変えることによって、画像濃度を変化させることができるようになったのです。

 

そのため、出来上がった画像が見にくい濃度で出力された後でも、その出力画像の特性曲線の位置や傾きを変化させることで、診断に影響がないような適切な画像濃度へと変化させることができるようになったのです。

 

さらにこのことは、被ばくの低減にも繋がります。

 

アナログシステムの場合では、撮影時のX線量や現像システムの劣化などが原因で写真濃度が診断できないような適切な濃度にならないだけで、再度撮影する必要がありました。それだけ、小さなミスにも敏感なシステムであったともいえます。小さなミスに敏感なシステムであるため、それだけ再撮影を行なわないためには、適切な照射X線照射量を知るために経験が重要でもあったのです。

 

しかし、デジタルシステムの場合、撮影後に特性曲線を変化させ画像濃度を変化させることができるために再度撮影を行うということは、極端に少なくなったのです。

さらに、FPDの特性曲線は肩部や足部といった部分が少なく、直線部が広いためにラチチュードも広くすることが出来るの特徴です。そのため、少ないX線量でも画像に表現することができるようになるために、被ばくも少なくなるといわれています。