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ガンマカメラの性能評価~固有と総合の違いとは?~

核医学検査では、ガンマカメラを使用されるため、装置がきちんと検査が行える状態であるのか、また、どの程度の精度をもつかなど知る必要があります。

 

そして、その評価を行うのが装置の性能評価法となるのです。

 

ただ、ガンマカメラの性能評価項目はとても多いため、一度にまとめきれる気がしないので、まずは、固有と総合では何が違うのかまとめてみたいと思います。

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ガンマカメラと性能評価の必要性とは?

そもそもガンマカメラを一言で表すならば、シンチレータと光電子増倍管の塊です。

 

核医学検査では、被験者体内に放射性同位元素を投与し、その放射線同位元素は体内からγ線を発し、それをガンマカメラで検出することで画像化しています。

 

ただ、ガンマカメラの場合、直接型のFPDのように検出されたγ線から直接的に画像化するということは行いません。

 

画像化までには、γ線をシンチレータで光に変換し、その光を光電子増倍管で電子に変化し、それを増幅させてから出力し、それを様々な回路や機構といったところで洗練し画像化しています。そのため、ガンマカメラとは、シンチレータでガンマ線を光に変換できなれば、画像化することもできないことになり、シンチレータはとても重要な要因であるといえます。

 

しかし、シンチレータとは、使用し続ければ必ず劣化し、ガンマ線を検出する能力を表す感度が低下してしまうのです。

 

そこで、使用しているガンマカメラがきちんと検査を行えるだけの性能を有しているのか、劣化が起こっているのであればどの程度であり、シンチレータの取り換えが必要になるのかなど日々、確認する必要がでてくるのです。

 

その確認作業が性能評価です。

 

もちろん性能評価とは、装置の性能がどの程度あるのか装置毎の違いがあるのかを確認すると言う意味で使用されることもありますが、装置性能が担保されているのか評価すると言う意味でも重要な項目であるという認識が必要となっているのです。

 

そして、性能評価は、固有と総合と分けて評価する必要があるとされているのです。

 

では、固有と総合では何が違うのかいかにまとめていきたいと思います。

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固有性能評価と総合性能評価の違いとは?

ガンマカメラの性能評価には、大きくわけて固有と総合の2種類があります。

 

では、その2つの違いとはなにか。

 

実は、この2つの違いはとても単純なんです。

 

その違いとは、ガンマカメにコリメータに装着しているのかどうかです。

 

つまり、ガンマカメラだけの純粋な性能を評価したものを固有の性能評価といい、ガンマカメラにコリメータを装着し検査に使用する際の評価を総合的な性能評価となるのです。

 

また、固有と総合では、性能評価時に使用する線源も異なります。

 

固有と名の付く性能評価では必ず、点線源を使用し、コリメータがない分γ線の高すぎるエネルギーに影響を受けないよう、距離を離すことが鉄則です。一方で、総合性能評価では、面線源、線線源など評価する内容に応じて変化させる必要があります。

性能評価の内容とは?

固有性能と総合性能の両方の多くある全ての評価法までまとめようとすると、長くなりすぎてしまうため、別の機会にしますが、評価内容のなかには、固有と総合の両方で行うものもあります。

 

なので、もしこれから覚えるのであれば、そのあたりから行くといいでしょう。

 

ということで、以下にその代表的な評価項目を挙げていきたいと思います。

➀空間分解能

空間分解能は解像度とも呼ばれるものですが、核医学検査に置ける空間分解能とは体内に存在する放射性同位元素(RI)の分布をどれだけ詳細に検出できるのかという目安の意味で使用されます。

 

例えば、体内で近い距離に2つのRIの集積が合った場合に、この集積が2つあると認識できるのか、はたまた、2つのものが1つに見えてしまっているのかといったことが空間分解能です。

 

空間分解能が悪いと画像の劣化やRIがどの程度、集積しているのかなどの定量評価にも影響を与えることになります。

 

ただ、空間分解能はガンマカメラを構成するシンチレータの発光精度、光電子増倍管の大きさ、位置演算機構の性能にも影響され、さらに、ガンマカメラの外側に装着するコリメータの有無、種類にも影響されるため固有性能と総合性能の両方で評価する必要があります。

➁感度均一性

感度の均一性とは、ガンマカメラで一様な放射能分布をもつ被写体を撮像した場合、得られる画像濃度が一定で表現されるのかを評価するものです。

 

ただ、一様な放射能度による一定の画像濃度とは、ガンマカメラを構成するシンチレータが同じエネルギーのγ線を検出した場合、同じ量の光を発したり、光電子増倍管で一定の電子増幅が起こるという前提が成り立つ必要があります。実際、それが理想です。

 

しかし、シンチレータ、光電子増倍管ともに経年とともに劣化します。まな板の中心部分だけが洗っても常に汚れをためてしまうように、シンチレータもまたその場所によって劣化の程度が異なり、それによる発光精度が均一ではなくなってしまうのです。

 

また、コリメータでも影響を受けるため、ガンマカメラ自体の均一性とコリメータを装着した場合の均一性の両方を評価する必要があります。

➂感度

感度とは、シンチレータ内でγ線をどれだけ光に変換できるのかという能力を表したものです。感度が高いほど、どんなエネルギーγ線でも光に変換することが可能であり、逆に感度が低ければ、限られたエネルギーのγ線のみ光に変換できることになります。

 

感度が高くなれば、より多くのγ線を光に変換できることになりますが、その一方で、複数のエネルギーのγ線がシンチレータに入射して全てで発光が起こると、どの光がどのγ線によって起こったものなのかわからなくなってしまい、結果として空間分解能の低下を起こすことになります。

➃計数率特性と時間分解能

計数率とは、ガンマカメラが検出した時間当たりの放射線のカウント数のことです。放射能濃度と計数率は低い放射濃度のところでは、直線関係にありますが、高い放射能濃度のところでは、ガンマカメラは全ての放射線を数えることができません。

 

これは、続けて入射してくる放射線の数が多すぎるために、分離して数えることが出来ない、つまり、許容オーバーになってしまうため、それ以上を数えないという拒否にあうためです。これは、数え落としと呼ばれる現象であり、本来、高い放射線の数を数えることが出来る環境であっても、逆に少なく数えてしまうというものです。

 

時間分解能はこれに関係する内容で、連続して入射してくる光子を分離して検出できる最小の時間幅をいいます。言い換えれば、どれだけ、継続して放射線を数えることが出来るのかという能力です。

光子を検出した後に、次の光子を検出することが出来ない時間を不感時間といい、数え落としの原因となる時間帯をいいます。

➄エネルギー分解能

検出するγ線のエネルギー分析の精度を表す指標です。体内で発せられるγ線から起こる散乱線は画質の劣化と、定量データの信頼性の低下にもつながります。

 

そのため、核医学検査では、ガンマカメラで検出するγ線のエネルギーを限定することを行います。これによって、低いエネルギーを持つ散乱線による影響を低減することが可能となるのです。

 

このエネルギーの違いを見分ける能力をエネルギー分解能といいます。